噂の女

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003526

感想・レビュー・書評

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  • 田舎町に現われたちょっと艶っぽいイイ女、美幸。キナ臭い話は数知れず、泣いた男も星の数。夜ごと語られるは彼女にまつわる黒い噂…。愛と悲哀と欲望渦巻く連作長編小説。

    高校時代は地味だった女が悪女になっていく…。人々に噂を語らせる手法で10編の短編によって描く。実在の容疑者をモデルとしているらしい。奥田英朗らしい詠み易さで惹き込まれるが、どの話も中途半端で物足りなさが残った。続編、あるのかな?
    (C)

  • 図書館にて。
    読みたいと思っていたら本棚に会った。
    やるな、噂の女!!
    「パチンコの女」と「スカイツリーの女」が好きだった。
    爽快。

  • 美幸って、知っとる? この町のどこか夜ごと語られるは彼女にまつわる黒い噂──。町で評判のちょっと艶っぽいイイ女。雀荘のバイトでオヤジをコロがし、年の差婚をしたかと思えば、料理教室で姐御肌。ダンナの保険金を手に入れたら、あっという間に高級クラブの売れっ子ママに。キナ臭い話は数知れず、泣いた男も星の数――。美幸って、いったい何者? 愛と悲哀と欲望渦巻く人々を描く、奥田節爆裂の長編小説。

    1 中古車販売店の女
    地方の零細企業(従規10人)に勤める4人の男。
    会社の同僚が買った車がすぐに故障。クレーマーの先輩がいちゃもんをつけに店に文句を言いに行く。その店の事務の女がエロイ。とりあえずぬく。
    中学時代の同級生だった。昔の友人に聞くと短大時代にキャバクラでバイトし、現在は愛人、その愛人の会社で働いている・
    社長の耳に、入るので中古車販売店の男が頭を下げるだけで何も出さない。クレーマーの先輩は、クレームをやめない・

    2 麻雀荘の女
    地方の零細企業(従規20人)の4人の営業。営業の車はボロボロ。
    社長のブス娘を会社の金で留学させようとしているのボーナス悪い。
    近所にできた新しい雀荘の女。BMWで通っいる。
    土建屋の男達は下品にからむ。土建屋の社長がくると、秘書にならないかと誘っている。 社長を説得しようと、新しく来た、最近、中途入社した60歳の男、大企業を定年退職、を麻雀に誘う。
    会社の調子がいいので、社長に言っておく。男は社長の親族だった。
    営業は後悔する。
    女は同僚と中学が同じ。最近、見せを閉じた中古車販売店に勤めていた。社長の愛人をしていた。気持ちがなえた。ぬくのはやめた。

    3 料理教室の女
    結婚間近の女達。講氏は元教師なので上目線。食材が悪いのを指摘したら、気にいらないなら出ていけ!全員残ったが、糸井美幸、が皆を先導し事務局に文句をいいにいく。短大時代の知り合いが教室にいた。
    彼氏を横取りし、取っ組み合いの喧嘩を見たことがある。
    結婚は普通の人とする。仕事は普通の事務。素性がわからない。
    男の前と女の前でオーラが違う。
    公務員と結婚する女に公務員住宅の空き部屋の斡旋を頼む女。
    10万円払うと言われた、婚約者に確認すると友人の場合は20万。
    自分の婚約者が10万取る。

    4 マンションの女
    年老いた元社長とマンションで一緒に暮らす美幸。
    一族は遺産目当ての結婚に大反対。婿が様子を見にいく。
    マンションで飲む。ソファーで老人が寝てしまう。自分も泊る。
    全裸の美幸が「欲しいの」体の上にのってきた・
    5 パチンコの女
    失業保険で暮らす女達に美幸が睡眠薬を頼む。
    女達にちょっかいを出す男とホテルに行くが、金を払わない。
    美幸に相談する。ヤクザの弟がやってきて男をボコボコにする・
    6 柳ケ瀬の女
    夜の保育所で働く、女。ヨーロッパ旅行の貯金をしている。失業している父
    家のローンも払えない。大学生の弟は二世代ローンを強いられていた。
    美幸がついに店を出した。流行っている。スカウトされて働く。
    7 和服の女
    建築会社の談合。一社が拒否。東工大卒の自慢の息子が「このままでは
    10年もちません。」美幸の店につれていく。弱点を発見。
    談合はつづく
    8 檀家の女
    寺の住職を誘惑し、4億円の大改造をたくらむ
    9 内偵の女
    警察署長の送別会
    金を地元の風俗店に頼む。
    不動産会社の社長の溺死を疑う娘の相談を聞くと明らかに怪しい。
    美幸は遺産を断るが保険金を受け取る。
    睡眠薬をどこから調達したのか不明。
    土建屋の社長は社員旅行の風呂場で溺死。社長と美幸は別のホテル。
    本妻に隠すために、偽装していた。
    美幸のまわりで3人の男が死んでいる。
    美幸に捜査の手が伸びる。手柄を独り占めしようとする刑事。
    10 スカイツリーの女
    美幸のバックには大物政治家。美幸の店に登場。
    県会議員の秘書の女は、美幸と議員の東京出張の手配。
    スカイツリーの予約がとれない。
    地元の飲み会に参加。女体もり。女が「はやくすませたら」と囁いた
    わかめ酒も飲んだ。二次会で美幸の店にいく。短大時代の同級生。
    昔の同級生に電話。睡眠薬と美幸の件で刑事がきていた。
    自分にもハンサムな刑事がきた。携帯番号を交換。
    ゼネコンルートでスカイツリーのチケットを入手。
    美幸は逃げた。4人の男に睡眠薬を飲ませ、風呂で溺死させた。
    自分でスカイツリーに行くことにする。裏金の2億円が消えた。
    きっと美幸の仕業だ。自分の金じゃないので、痛くない

  • ガール、とかをちょっと彷彿とさせますよね。
    テーマは違えども、現実にありそうでないような、それでいてゾッとする。
    おもしろい作りですよね。

  • 噂の女。糸井美幸。男好きのする肉感的なボディとセクシーな唇。はい、完全に私の中では壇蜜。魔性の噂の女糸井美幸が各話に登場する。最初は中古車ディーラーのいち事務員として登場するが、時間を経るにつれ美幸の魔性ぷりがエスカレートしていく。きっと彼女は今もどこかで男を手玉にとって転がしている。おーこわ。2013/243

  • 高校までは目立たなかった女が、色っぽい女性となって男たちをたぶらかす。その女が働く場所、通うカルチャーセンターなどを舞台に書かれた連作集。

  • 旧態依然とした地方都市、中古者販売店、雀荘、パチンコ屋......どうってことない場所で ぱっとしないエピソードが続きます。
    その中に必ず登場する女、美幸。最初はジミに登場する彼女のコワさがだんだんとわかってくる。

    持てる知恵と度胸と色仕掛けでのし上がっていく美幸は、同じようにぱっとしない地方都市でダメなまんまの男を描いた「純平、考えなおせ」と対照的。
    これぞ女性の時代到来? いやはや、ほんまショウモナイおっさんが ようけでてくる話でした。
    これが日本の地方都市の空気だと真夏の湿度のようにじっとりと伝わってきます。

    ドラマ化するなら吉高ちゃんなのかなぁ...

  • 地方の普通に生きる人たちの、妙に真面目で、でも粗雑で、哀しく矮小な日々の中に、悪女の業が光る。

    この悪女がまた、自分の「格」を知っているかのように、狭い人間関係の煩わしいこの地域を出ることなく、人の「ウワサ」など気にも留めずに、男の使い捨て(というか、使い殺し?)と金集めにまい進する。

    真面目で小さな人々と女の対照が、なかなかに…痛快ではあった。

  • いかにもサスペンスドラマで出てきそうな女が、成り上がるために・・・

  • 中古車店に毎晩クレームをつけに通う3人組、マージャンに明け暮れるしがないサラリーマン、パチンコで時間をつぶす失業保険受給中の女、寺への寄進に文句たらたらの檀家たち、鬱屈した日々を送る彼らの前に現れた謎の女・美幸。(帯より)

    短編連作ですが、ラストどうなるのかな?と思っているうちに読み終わってしまいました。

  • 田舎のしがらみの強く残る環境と女の本性が不気味にマッチ。

  • 女を武器に男から金を巻き上げていく女の噂話と言ったていの奥田英朗著にしては小粒な作品。しかし、最後はここまですれば天晴れ!と言いたくなる面白さ。
    男好きする身体に豊かな胸、厚ぼったい唇、女を武器に男を手玉に取りどんどんお金を掴んでいく。

  • 地味で目立たなかった糸井美幸が大人になってヒョウヘン!!

    次々男をテダマニとって…

  • 最初は噂の女の噂を、ただの噂と聞き流しているが、どんどんと噂が具体的になり、女の存在がリアルになってゆく。火の無いところに煙は…と、次つぎ噂を繋ぎ合わせてゆく。

  • 捕まらずに終わるのか…
    平凡過ぎる日常に飽き飽きしてる女友達からはちょっと羨ましがられてあぁいうラストもわかるけど、私はやっぱり勧善懲悪の気質なんだろうな、捕まって終わりがよかったな。

  • 奥田さんらしい本だった。
    美幸の本性が気になるけど、これだけのやり手は実際にもそういないと思う。
    本当にありそうな話でもある。
    噂はきっと本当のことも多いのかもしれない。

  • 伊良部先生シリーズやサウスバウンドは最高だったが、この作品は地元ねた?でイマイチ感…
    それなりの面白さか

  • 地方都市の不条理さ、噂のいいかげんさと鋭さ、女に振り回される中途半端な社会的地位のある男、人生にもがくけど全然前に進まない人々、など味わいいっぱい。ラストは「ちょ、噂で終わるんかい!」って感じでした。

  •  噂の女=糸井美雪に関わったことで持ち振り回される人々。

     美雪の客あしらいの技術等はすごいなと思いました。他の人に言いにくいことを逆手にとってうまく立ち回り、去るときの手際も時を読んでいて見事。託児所で働いていて美雪の元で働くことにした博美は今後大丈夫かとラストで心配になってしまいました。
     同じような展開で進んで行き、各短編のラストが中途半端に感じてしまいあまり好きになれませんでした。地方の公務員は本当にまだこんな感じなのでしょうか。。。美雪の時折見せる姉御的な行動は素敵でした。

  • 舞台は岐阜・・・田舎のしがらみ~工業機器を扱う小さな商事会社に勤める北島は,同僚が買った車に欠陥があったことで先輩と中古車屋にクレームをつけに行き,中学時代の同級生・糸井美咲が事務員として働いているのを発見する。目立たなかった子だが,妙に色っぽい。知り合いに聞くと,短大時代に人が変わった様になったのだという。よく聞くと,中古車屋のオーナーの愛人で,店で目を光らせているらしい。衣料問屋の営業仲間は,夜は麻雀,昼は図書館で昼寝する。新しい雀荘で見かけたアルバイトの糸井美幸は人扱いが巧い。土建屋が出入りして,社長とできたらしい。結婚を目前にした岡本小百合は駅前の料理教室に通う様になったが,食材が非道い。先生が親戚のスーパーで捨てるはずの材料を仕入れている。それを掴んで詰め寄るのは,短大時代の知り合い,糸井美咲だ。糾弾した挙げ句,先生を放り出した美咲は,愛人が二人死亡し,65歳の不動産会社の創業者と結婚するらしい。マンションに越した美咲は,夫になるべき男の4人のこどもから責められ,談判に来た婿と関係を持った。避妊はしていない。パチンコ屋で知り合った二人は,美咲から不眠症であると医院で訴えて,遂にハルシオンを手に入れ,バイト料を受け取り,パチンコ屋で知り合った運転代行業の男に誘われてホテルに行った挙げ句,2万円を手に入れられなかったトラブルは,美咲の弟が暴力で解決した。二十四時間託児所に勤める塚本博美は母から生活費を6万円入れる様に要求され,一人暮らしを考え始めた。こどもを預けているホステスも不景気に悩まされているが,25歳でクラブを持っている美咲は,ホステス二人に加え,保育士の博美に声を掛けてきた。客と愛人契約を結べば,楽な暮らしができるという誘いを断ることはできなかった。建設会社の団体で,息子が東工大に入って帰ってきた一社だけが,古い体質を改善すべきだと主張している。副社長をクラブに誘い,美咲の愛人の県会議員の脅しが利いて大人しくなった。寺の住職が代替わりして寄進の要求が強くなり,世話役の和田は寺に電話して檀家総代と会うことになったが,待ち合わせのホテルに糸井美咲は現れ,巧くあしあわれてしまった。寺の若奥さんに糸井という女のことを聞くと,住職との話し合いがセッティングされた。住職は,酔っぱらって男と女の関係になり,県会議員に脅され,建築会社と美咲の間で2億円の話が進んでいる。世話役達も寄進を断る住職の秘密を手に入れた。西署の署長が栄転となり,普段はない刑事部まで餞別50万円の割り当てが廻ってきた。下っ端がない集金先を捜さなくてはならない。何気なく探り始めた糸井美咲を探ると不審死は3名,全員が風呂で溺死だ。周囲を探ると睡眠薬を不正に手に入れていたが,課長は2年寝かせろ言う。副署長の本部警務課転勤を受け入れた。県会議員の稲越の秘書をしている星野美里はスカイツリーのチケットを手に入れるために必死だが,土建屋の会合に議員の名代として出席し,愛人の店で短大の知り合い,糸井美咲に出会う。チケットが手に入りそうになって喜んでいると,隠し口座の2億円と共に美咲は姿を消し,美里は美咲を羨ましく思う~1話読んで,そんな悪女じゃないというオチかとぼんやり考え,2話目で別の噂の女の話かと思い始めたことを後悔し,3話目からはどんな悪事をしでかすのかと期待が膨らみ,最後は主人公を羨ましく思う女達が沢山いて,閉塞した状況を誰もが打ち破りたいのだと考えさせられた。それにしても,都会よりも田舎の方が詰まりに詰まっているね

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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