何様

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103330622

感想・レビュー・書評

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  • 就活生を主人公にした「何者」に対して、就活生たちを面接し合否を判断する企業側の人間の葛藤を描いた表題作を含め、ひとの心の、どちらかというと鬱屈とした感情を描いた短編が複数収められている。

    登場する人物たちはみなどこかみっともなく、満たされずにいる。
    そのみっともなさ、満たされなさがあまりにもありのままに描かれていて、読んでいると自分の気持ちがざわざわするのは、自分の中にも同種のみっともなさや満たされなさがあって、それらが刺激されるからだろうか。

    すぐ隣にある人間関係の不穏さにぞっとする。
    不穏さだけでなく明るさや救いを感じる短編もあり、人間と人間の関わりは複雑だなと改めて思った。

    表題作「何様」の中で、就活をしているときは、コミュニケーション能力や英語能力などを強みとしてアピールしても実際に社会に出てそれがそのまま通用する強みではないと気づく、というようなくだりが出てくるのだけれど、言われてみれば本当にそうだな、と思う。
    自分が就職活動時に必死にPRポイントとして列挙した「強み」の一体何割が今の自分の仕事に関わってるのだろう。

    社会に出るということ、人を評価すること、当たり前のようになされているそれらの活動は決して単純な物ではないということ、結局すべてのことは人と人の関係性の中にあるということを考えさせられる。

  • 何者を思い出さねば…

  • 就活学生の群像劇『何者』のアナザーストーリー。
    直接の続きではないものもあるので、全作読んでなくても、忘れててもOK。
    短編なのに思わせ振りな書き方とかするから、すんなり入っていけなかったりするんだけど、もやもや、むしゃくしゃ、ヒリヒリする感覚が上手い。

    装画 / 石山 好宏
    装幀 / 新潮社装幀室
    初出 / 『小説新潮』2011年12月号、2014年12月号、2016年1月号、『yomyom』2014年32号、2015年38号、書下ろし1本

  • 直木賞受賞作、『何者』スピンオフ。就活生として出会う前のみんなの物語。やっぱり光太郎の話が一番好きだな。最後の話も面白い。就職活動をしている人や始める人、人事担当も面白く読めると思う。作品としては『何者』のほうが熱量が高いけど。

  • 「何者」のスピンオフ6編。
    「何者」の登場人物はすっかり忘れていたが、単独の短編集として読めた。

    理香と隆良の出会いからルームシェアまでの話、理香の不器用な性格が良く現れていて面白かった。
    (図書館)

  • 名前のためか作品タイトルのためか、ほとんど手を出していないのに私の中で朝井リョウさんは「軽い作家」というイメージがありました。調べてみたら大学時代は堀江敏幸さんのゼミに所属していたのですね。
    さて、この『何様』。ベストセラー『何者』のアナザーストーリということですが、その『何者』を読んでいません。読んでいたらもう少し印象が変わったのかもしれません。
    自分に向けた「何様」という感覚を描いた短編集です。主人公たちの、自分が本当に求めているものが判らなかったり、求めるものと行動が乖離してたり、世の中一般の「べきである」に縛らたりして悩む姿が描かれます。内面の物語です。それを描くため、主人公がある思いを抱いた時に、内部的には主人公の独白が始まり、一方で外の世界はそれと無関係に物事が進行するする形で話が進む場面が多いことが特徴的です。ある意味、それはリアルなのですが。。。
    共感はできるのですが、何故か私はその中に充分に入り込めませんでした。相性というべきものかもしれませんし、あるいは朝井さんのこういう手法のせいなのかもしれません。

  • 「何者」を就活直前に読んで震え上がり、今作「何様」を社会人一年目で噛みしめるように読みました。笑

    友達と馬鹿騒ぎしている最中、頭の上からすぽんっと、もう1人の自分が飛び出す。そして、冷めた目で自分達を見下ろして鼻で笑う……そんな瞬間って、ありますよね。
    朝井リョウさんはそんな時の寂寥感を描くのが、抜群に上手い。そう思うのです。

  • 何者のアナザーストーリー。何者を読み終わってから数ヵ月後にこれを読んだが、前作を意外に覚えおらず、ネットで調べながら読んだ。「水曜日の南階段はきれい」は素敵な話でいい意味で期待を裏切られた。

  • これという答えがないだけに
    読み終わっても もやもやは残るんです
    登場人物の立場にたつと
    「消してしまいたい黒歴史」
    の部類に入る話かも
    私ならきれいさっぱり
    忘れたいと思いますね。
    しかし 細部を覚えてなくても
    うらやんだり 挫折したり 悔しかったり
    そんな気持ちの上に今があるんだな。

  • 先日(去年)、朝井リョウさんの「何様」を読みました。

    「何者」のアナザー・ストーリーの短編集ですね。

    青春小説だったり、仕事小説だったり、面接官側から描いた就職活動小説だったりと、「何者」に出てきた登場人物たちの過去を描いたり、また、「何者」に出てきた登場人物たちの周りの人たちを描くことによって、「何者」に出てきた登場人物たちがリンクしてきたりと、そんな短編集でした。

    ただ、僕も以前、「何者」は読んだんですが、各キャラクターの設定など、忘れてしまっていて、あらためて調べ直して読んだので、「何者」とリンクしてる部分を、全て把握できてないと思うので、「何者」を読んでから、あまり間を空けずに読むといいかもしれません。

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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