本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103350910

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。古典文学を読み込む中で、当時の生活を浮き上がらせ、とりわけ、現代のヒドイとされていることは、昔はなかった。というのは嘘で、むしろ時代が下るにつれて改善されているのだと。 生類哀れみの令は、「犬」だけがクローズアップされている。が、実は、牛や馬、病人、捨て子(人間)などを保護する目的であった。ぎゃくにいうと、それらは放置され見殺しにされていたのだと。 一生添い遂げるのが美しいというのは、過去の日本にはなく、子の絶対権利者(しばしば毒親であった)が離婚させる。嫁姑問題は、離縁させて解決。それだけでなく、わりと結婚に失敗したとおもったら別の所でやり直すのもアリだった模様。キリスト教が日本で布教したときに一番抵抗が大きかったのが、「離婚は許さない」とのこと。 他にも、人間の本性しては、ヒドイ奴は一定数いる。ブラック企業、貧困ビジネス、広くは奴隷売買、女性への管理売春などなど、いまの基準からしたらあり得ない感じ。赤子は捨てられ、野犬が食ったり、育てられないと思ったら、間引く。赤子同様、弱者の病人や介護で、地獄絵図、やっぱり私は現代がいい。2014/10/25 古典に書いてあることを、読んでたら、昔はよかったとかいえねーよ。っていう。のを実例をあげて書いてあるらしい。2014/04/20

  • 古典
    歴史
    文学

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  • ふむ

  • 面白かった!
    内容はタイトルのとおりだが、それにつけても感嘆させられるのが、著者の知識の該博さ。古典はもちろん、その当時から現代までの人々が記したさまざまな研究書や関連書、それどころか一見無関係に思える「戦前の少年犯罪」(管賀江留郎)まで、出るわ出るわ。この人の読書量と記憶力は「どんだけ」かと、ため息を禁じえなかった。

    2018/9/27読了

  • 日本に限らず昔話には残酷シーンが結構多い。
    子どもを捨てたり、いじめがあったり、妻を殺害したり…。

    しかしこの本に紹介されているのはもっとすごい。
    村という運命共同体からはじかれたら生きていけないから、夜泣きがうるさい子どもを捨てなくてはならなくなったり、老人介護問題で家族がぎくしゃくしたり。
    ストーカー殺人があったりブラック企業があったりと、現代特有のような事件ですらすでに古典に書かれているという。

    びっくりしたのは生類憐みの令。
    学校で習ったときは、とにかく評判のよくない悪法ということでしたが、この本によると法の趣旨はとてもよいものであると。
    犬を捨ててはいけない以前に、病気の馬や牛などを捨てたり殺したりしてはいけない。
    さらには食うに困って子どもを捨てたり、病人を捨ててはいけない。
    これらは実際に行われていたことのようで、身分の高い人であっても、病気になると道端や墓場に捨てられることがあったらしい。

    “善悪問わず、現代人がやった程度のことは、とっくの昔に誰かがどこかでやっているものです。そうした謙虚な姿勢で古典を読み解けば、現代特有に見える病理や事件も実はそうではなかったと分かるし、同じ悲劇を繰り返さないための賢い対処法を考えることができるでしょう。”

    読みやすくて面白くて、目からウロコの楽しい本でした。

  • 確かになあ。昔昔の日本って、美化されているけどそんなことなくって、離婚は当たり前、子供や女性、妊婦なんて、差別の対象。生きるか死ぬかって感じの世界。不倫も上等
    だったんだってお話し。
    お妾さんの存在も「朝が来た」の主人公のころは当たり前だったんだし。1900年ごろは、子供も7人ぐらいいて、名前つけるのも、面倒だから1,2,3,4とか番号だったり、女性をもう生まないように留さんって名前だったりしたんだものね。
    衣食住足りて礼節を知る。
    そんな感じなのかもな。
    あとは、需要と供給の話かも。
    改めて気づかされました。

  •  著者は古典エッセイストだそうだが、日本の古典文学を広く大量に読んでいることがよくわかる。それらには、捨て子、虐待、奴隷、ストーカーなど極悪非道な話が散見され、15章に分けて紹介する。これらは実際にあったことを下敷きにしているだろうと示唆する。
     そして、ニュースで子供の虐待死などが報道されるたびに、それが現代という時代の問題扱いすることに著者は違和感を抱く。昔からあったのだと。昔はもっとひどかったのだと。
     昔はよかったという言説には注意が必要で、人の命がもっと軽んじられていたことを忘れてはならないと思う。本書は、読み物としても面白いし、そのようなことも考えさせてくれる本でもある。ゆっくり古文を読んでみたいな、という気にもなる。

  • 現代の日本社会の社会問題。
    育児放棄、虐待、介護問題、いわゆる「ブラック企業」。
    採用試験の面接での「容姿」…。

    これらは、今にはじまったことではなく、古代からあったことが、古典文学作品に描かれていることがわかる。
    しかも、数例ではなく、数多く。
    さらに、その実態たるや、現代と同じか、あるいは以上に苛酷なものがったことがわかる。

    いかに「法の支配」が重要なのかということも考えさせれれる。

    「昔はよかった」と嘆くのを今でもたまに見聞きするが、中世、近世でも、同じような言葉が見られるのがおもしろい。


    数多くお古典作品、有名なものからほとんど知られていない作品まで扱っており、また、他の参考文献を元にしながら、筆者の文章は進む。
    その資料の読み込みに感服するばかり。

    「今よりも昔の日本はよかった」というのが、淡い幻想であること、そして、昔も今も何もかわっていないということをつくづく感じさせられる。

    また、そこ(古典)から学ぶことも多いのも確か。

  • 悲惨な犯罪をニュースで聞くたびに、「なんてひどい」と、恐るが昔の時代にも、似たようなことが多く、子供は今よりも手のかかる厄介者だと言う認識があったようだ、、、と、古典から身の毛もよだつような犯罪や物語をピックアップして、日本人の道徳観、人生観などを述べていくという本なのだが。読み進むうちに頭がだるくなってくような、、。一話一話をたまに聞くならいいかもしれないが次々と読むこの量感はいささか重すぎて、うんざり。

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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