みみずくは黄昏に飛びたつ

  • 新潮社
4.06
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534341

感想・レビュー・書評

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  • 川上さんが想定以上に村上さんに突っ込んだ質問をしていた。村上作品を深くよんでいるなあ。楽しくふむふむ読んだ。

    非リアリズムと地下二階、地下一階はクヨクヨ室で、そこは目を伏せて通ること
    村上作品を内面的に読書すること
    太った郵便配達人
    プラトンの話(おかしかった)

    しかし村上さんも鋭い問いをうまくかわしているようなとこもあったのが惜しかった(登場する女性についてなど)ような気がするが、それが村上さんなのかも。

  • 物創りをする人の話を読んだり観たりするのが好きで、さらに今回は訊き手も常に注目している川上さんだったので、訊く側の視点もかなりおもしろかったし、なんだか小説の中にいるように読み進みました。時間を味方につける、キャビネットと抽斗、女の子に手を引かれたことのある記憶。村上氏の人となりももちろん興味深かったですが、やはり「職業としての」やり方、自然なことのようでやはりきちんと自分の中で何かを決めて考えて創り出し、創り終えている過程などが、覚書のように心に残りました。

  • 初読。図書館。川上さんを1冊も読んだことがなかったが、とにかく面白かった。インタビュアーとしての川上さんは膨大な予習を背負って村上さんに迫っていくし、村上さんはそれを誠実に面白そうに受け止めて丁寧に返していく。読者と作家の両方の視点から放たれた問いは、過去に何度も語られた答えも新しい答えも取り混ぜて引き出される。p154からの「イデア」の件は、川上さんのひるまない突っ込みに感心すると同時に大笑いできる。p243からのフェミニズム的質問は川上さんの勇猛さに驚愕。川上さん、ぜひ村上さん専属インタビュアーに。

  • 楽しく読めた。

  • 自分を貫き、強いんだろうなと思う。

  • どこが良かったではなく、一冊のインタビューとして、本当に良かった。最後まで読んで、胸が熱くなったし、深いところで、影響を受ける内容だった確信があるw。
    物語のちから。妙な切実感。

  • 物語とは、マテリアルをくぐらせる作業。牡蠣フライを油にくぐらせるみたいに。

    古代の洞窟スタイルの語り口。

    文章の生成の中にしか自己は存在しない。

    「つんぼじゃねえや」と、太った郵便配達人。

    などなど。面白かったです。

    「世界はメタファーだ」という自分自身好きだった言葉が用いられた時に、村上さんがそんなこと書いたのを全く覚えていなかったのには笑ってしまった。

    川上さんの本も読んでみたいと思いました。

  • 傑作『ヘヴン』などで知られる作家、川上未映子が訊き手として、敬愛する村上春樹へのインタビューをまとめた一冊。時期的に、やはり『騎士団長殺し』の話が多くを占め、過去作品との関連性、登場人物の造形の理由、女性の登場人物の役割や意味合いなど、鋭い話題が多くを占める。

    このインタビューの先立つ川上未映子の準備量は相当なものであることが伺われ、かつ同じ作家、かつ女性という違いを持つ者としての独自の論点設定など、後世に残る優れたインビュー集ではないだろうか。何よりも、村上春樹自身が鋭い質問については考え込みながら発言をするシーンなど、独特の緊張感が表れており、スリリングな瞬間もある。

    川上未映子自身が村上春樹の作品の構造を、”家”を題材として、整理した概念図(というかイラスト)は、彼の作品を理解する上で非常に優れた視点を持つ。自身のプライベートな精神世界/近代的自我のようなものを描く地下1階と、さらにそこから下方に続く地下2階が集合的無意識のような”洞窟”であり、そこに『ねじまき鳥クロニクル』以降の作品で重要なモチーフとされる”悪”が描かれている、というインタビュー内での議論は、強い説得力を持つ。

  • 910.268

  • これは面白い本です、今年の10作の一つでしょう(残り9つは聞かないように)。
    まぁ色んな言葉を川上が村上より引き出していて、刺激的な内容ですが、何はともあれ「僕よりうまく書ける作家は少ない」という自信。仮に思い込みであっても、確たる自己への信頼がなければやっていけませんわね、作家たるもの。村上春樹ほどの毀誉褒貶の荒波に揉まれるのであれば猶更のこと。
    あと川上未映子の戦闘性も見物です(聞き手としての積極性ではなく、作家としての意識・目線という意味)。この人もアウトロー的立ち位置なんですなぁ。
    それにしても村上春樹って何でそんなに皆惹きつけられるんでしょうか?上記のアウトローじゃないけど、この作家、そんなに万人受けするタイプじゃなく、絶対にカルト的な支持を受けるタイプと思うんだけれども。未だ当方の腹に落ちてこない不思議の一つです。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川上未映子の作品

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