- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104422050
作品紹介・あらすじ
浅草は田原町の喜十の店に、今日も北町奉行所隠密廻り同心の上遠野平蔵がやってきた。べっとりと血の痕がついた黄八丈を指し、事情を知らぬかと問うてくる。汗をかきかき聞き込みを重ねる喜十の前に、水茶屋から身を落とした娘の影がちらついて…。
感想・レビュー・書評
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古着屋が隠密同心の手伝いをする、という設定は面白いと思うんだけど…。
宇江佐真理さんのお話って、時に、なんていうか、「あらすじ」だけで進んでいく、っていう感じのものがある気がする。
古着屋の主とその若妻の2人の過去や性格など、あれこれ面白いものを抱えているのに、そんな2人の会話に奥行きがない・・・。(素人のくせに偉そうですみません。)
そして、何より、隠密同心の人柄に全然好感が持てないし、なんで喜十が仕事を放り出してまで彼を手伝わなければならないのか。定町廻りの同心ではなく、せっかく隠密同心にしたのに、時々、変装をしているくらいのものでそれ以上の面白味もないし。
喜十が彼を嫌がっているのに、妻が愛想よく、酒を勧めたり、お泊まりください、なんて言うのはなぜ?
事件の背景に着物が絡んでいて、だから古手屋の出番、というところはいいと思うんだけど、事件そのものやそれが解決するまで、あるいは解決してから、も、なんか、粗い筋立てを読ませられてるみたいでがっかり・・・。
悪口ばかりでゴメンなさい。 -
江戸時代の風俗がしっかりとわかる本。
何よりも内容が面白い!
この著者の本、まだまだ読んでみたいな。 -
2020年9月7日
けちな上遠野をいやだと思いながら、どうして付き合えるのか。この話の中、結構嫌という思いが前面に出て来て、これが人間らしいのかなとも思う。
やっぱり宇江佐さんはおもしろい。
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捨吉はどうなるの。
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年老いた母親と古着屋を営む喜十は、同じ境遇の友人の借金の肩代わりで苦労し両親を無くした天涯孤独の女、おそめの自害をくいとめ、看病ししばらく喜十の家に居つくことに。
母親の優しさにほだされたおそめは喜十の嫁に。
小さな商いでどうにか食いつなぐことはできているが、なかなか子供ができない。
隠密同心上遠野には、受けても居ない小者のような真似事をさせられているし、何かと物入りなのに代金は払われず。
そんな関係に不満があるものの、おそめは接待する。
少し偏屈な性格と、夜に外を歩くと岡っ引きに必ず問い詰められるようなブ男ぶり。 -
宇江佐さんが続く(笑)
別シリーズみたいです
冴えない主人公かと思えば、結構鋭さや芯の強さ
がうかがえて・・・続編もあるのか -
古着屋の喜十の物語 隠密廻り同心上遠野との腐れ縁が面白い
大好きな浅草観音様の近くの田原町なんか懐かしい花のお江戸の下町の物語で 面白い 一番好きなのは小春の一件 やはりめでたしめでたしで終わる物語が好きです 僕は -
読み逃していた本。
宇江佐先生安定の一冊。 -
私にとって現役の時代小説作家の中では最も安心して読める作家である宇江佐さん、久々に手に取ってみました。江戸浅草の「日乃出屋」という名の古着屋を舞台とした6編からなる連作短編集。主人公である喜十の人柄が他の宇江佐作品の主人公ほど魅力的に映らないのが少し残念ですが、周りを取り巻く妻のおそめや隠密廻り同心で喜十に為事(仕事)を振ってくる上遠野平蔵が魅力的でカバーしている感じですね。
他の宇江佐作品よりもミステリー仕立てな面や暗い話も多いのであるが、やはり人情話的要素の強い「小春の一件」が秀逸であろう。最後に捨て子が子供のいない喜十夫婦の店の前に捨てられる話があるのだが、二人の結婚への馴れ初めからしてこのまま自分たちの子にしてより夫婦の絆を深めて欲しいなと思ったりした読者も多いはずである。
小説新潮に連載されたのもですが、三カ月ごとに一話ずつ書かれている。そのあたり律儀できっちりとした作者の人柄が窺い知れる。
。季節感が滲み出ているのにも一役を買っているのであろう。 -
小さな古着屋を軸にした捕物帳。
心温まる短編連作で、安心して読める宇江佐クオリティ。
最終話の結末が色々気になるところ、続編があってもいいかな。
おお、じゅんさん。わかる...
おお、じゅんさん。わかる気が・・・
私は話が水戸黄門ばりにお決まりでも、背景に時代の香りや情緒のようなものが感じられたり、人の心の機微(温かさがあればうれしい)が感じられれば、それはそれで良し、なんですけど、それが今ひとつの時はちょっと残念です。