ティファニーで朝食を

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105014070

感想・レビュー・書評

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  • 抱いていたイメージ(映画の宣伝?の写真の、上品なオードリー・ヘップバーンのイメージ)とそもそも話の筋からして全然違った!ホリーかわいい。かわいくてかなしい。主人公とホリーの距離感が良かったな。村上春樹さん訳とても良かった……

    もちろん環境も時代も、それらを差し置いても魅力も性格も自分とホリーは似ても似つかないけれど、欲望に素直で潔いところが大好きで共感できた。わたしも「自分のエゴをしっかりと引き連れて」いたいなあと思いました。

  • 『ティファニーで朝食を』読了。
    ホリーの天真爛漫で自由奔放さに惹かれた青年の懐古話で。
    ホリーは独立した人格の象徴でもあった猫を青年に託すまでに彼を心から許せる存在になっていたのかなって思う。
    けど、ホリーはそれをあまりみせない。
    そこがなんとも焦ったくおセンチな気持ちになりました。
    村上春樹が翻訳なんだけど言葉選びが素敵でね…
    なんていうか、ホリーの自由奔放な感じを嫌らしく表現してないところがいい。
    猫みたいな人をうまく表現していて。すごい好き。


    2019.12.14(1回目)

  • 村上春樹の翻訳による表題作含めて4編収録。

    表題作はタイトルくらいは聞いた事のある映画にもなった作品だけれど、映画は見たことなかったので、ある意味いい形で作品に触れられたのかもしれない。
    ヒロインのホリーは、どうしようもないところも多いのに、妙に魅力のある女性だった。
    読んでいて、感情を揺さぶられるのは、やっぱり名作だからなのだと思う。

    村上春樹の翻訳のせいなのか、原作の良さなのか、
    結末まで読んで、何とも言えない、特に別れで終わるものは、その別れの悲しさというか侘しさというか、何とも言えない印象が残った。

  • 村上春樹がトルーマン・カポーティの文章を褒めていたので、そこから興味を持って、彼が翻訳したこの本を読んでみた。

    ある程度予想はしていたが、やはり外国の文芸作品は文化や感性の違いから作品世界に没入しにくい。
    悪女に振り回される男の話は好きなジャンルだが、『痴人の愛』の方がいい。そう思うのは自分が日本人だからか。

    文章表現については、確かに「うまい」と思わせる比喩が多々あった。
    まあ、それだけの小説だった。

  • 繁忙期が終わって1ヶ月ぶりの読書。
    4作品入った一冊に共通した感想はとにかく『綺麗』
    題材はぜんぜん綺麗じゃないはずなのにそう思わせるのはカポーティの力なのか村上春樹の力なのか。

  •  表題作「ティファニーで朝食を」に加え、短篇が3つ。

     「ティファニー…」もいいけど、むしろ他の3篇がよかった。純粋で、少し明るく、それでいてちょっとしんみり。特に「クリスマスの思い出」は、夕暮れ時の街で、そこだけが明るく煌めくクリスマスのショウウインドウを眺めているような気分です。

     どれも、透明感のある言葉を選び抜いてとても精密に組み立てられた作品だと思います。装丁もこの作品集にぴったり。ハーパー・リーの「アラバマ物語」に登場する隣家の男の子が、こんなに素敵な物語を書くようになったんだと思うとうれしい。

     村上春樹の訳は素晴らしいと思います。ただ、"mean reds"という言葉を「いやったらしいアカ」と訳しているのは、ちょっといただけない気がします。

  • 京都の嵐山にロンドンブックスというかわいらしい古本屋さんがあったので入ってみました。せっかくだし何か買うかと、ティファニーカラーの装丁がかわいかったのと、村上春樹訳で『ギャツビー』をようやく読み切ったよい記憶もあるので買ってみました。さらにいうと、名作だけど映画も観たことがなかったので。
    読み終えるまでに1カ月かかってしまうくらい、途中で挫折しそうになりました。『ギャツビー』にもあったような、アメリカ文学にあるセレブリティや芸能界のパーティ描写に自分の想像力がなかなかついていかない。のっぽで吃音癖のモデルの友達とか、この子って重要なのかな…とか余計なことを考えてしまって。野暮な男性に与える小粋な忠告らしきものも響かず。。
    しかし、ヒロインのホリーは村上春樹の好きそうな、自由奔放でわがままで賢くて、小悪魔的魅力のある女の子でした。女優として有名になることは選ばず、女性としての彼女の身力からするとささやかな幸せを選んでいる点は、彼女の生い立ちによるものか。
    『花盛りの家』
    娼婦の家に引き取られて育った少女が、恋により生き方を転換させる話。どういう意図で書かれているのかいまいちつかめないけれど、占い師の意地悪ばあさんとのやり合いなど、グリム童話みたいで面白かった。
    『ダイアモンドギター』
    映画『ショーシャンクの空に』刑務所生活を想像しながら読めて楽しかった。レッドとアンでィのように。若きティコの狡猾さに思わずだまされたミスタ・シェーファー。それはそれで幸せな記憶かも。短くきゅっとまとまって好きな作品。
    『クリスマスの思い出に』
    7歳の男の子と60歳を超えた女性という年の離れた従兄弟同士の友情物語。クリスマスの準備を2人せっせと協力するだけなんだけど、世間ずれしたおばさんに共感してしまって他人と思えなかった。。最後のほうで、親友(おばさん)は「人がこれまでに常に目にしてきたもの、それがまさに神様のお姿だったんだよ」とバディに話すのが印象的でした。
    どれも、最後がちょっと寂しい。「かごに収まらない鳥(byショーシャンクのレッド)」を愛した人のお話でした。

    あとがきを読むと、『ティファニー』の映画と原作はかなり違うみたいですね。ヘプバーンの小悪魔ホリーかわいいだろうなぁ、と観ようと思いました。

  • ホリーのまやかし具合が凄くて共感は出来ないけれど、彼女の生き様を覗き見できて楽しいものでした。カポーティのお洒落な比喩表現は、個人的にツボでした。

  • 「ティファニーで朝食を」は映画と小説がまるで違うことはご存知だろうか。トルーマン・カポーティはオードリーヘップバーンの起用に反対で、彼のイメージではマリリンモンローだったそうだ。それくらいヒロインが違う人間でストーリーも違う。小説ではティファニーへ行って指輪を作ることもないし、お店を眺めながらクロワッサンを食べることもない。私なんざあのラブコメディー映画のヘップバーンの神々しいほどの愛らしさに参ってしまったので、この小説を読むと戸惑う。でもよく咀嚼するとこっちはこっちで傑作なのだ。
    映画のホリー・ゴライトリーと違って、小説のホリーはパーティガールなのだ。パーティに顔を出してはお金持ちの男たちと付き合い、生活している。セックスという言葉もさらりと口にする。そんなのヘップバーンではありえない!しかし小説のホリーは小悪魔で天衣無縫で、無邪気で美しく魅力的なのだ。とらえどころのない魅力。
    同じアパートの上に住む作家の卵だった僕はホリーに恋をする。でもホリーは僕にはつかまえられない。ホリーにとって僕は良い友だちでしかない。「野生のものを好きになっては駄目よ」ホリーは言う「翼に傷を負った鷹、足を骨折した山猫。心を注げば注ぐほど相手は回復していくの。そしてすっかり元気になって森の中に逃げ込んでしまう。あるいは空に向けて飛び去ってしまう」「あなたは空を見上げて人生を送ることになる」
    そして手の届かないところへ飛び去ってしまったホリー。確かにホリーはピュアな野生の魅力なのだ。その後ホリーがどうなったのかはわからない。でもホリーが魅力的であるためには消息はわかってはいけないのだ。僕はホリーが捨ててしまった猫を探し続けるが、なかなか見つからない。ある日、清潔で温かそうな家の窓辺に何事もなかったかのように鎮座しているのを見つける。その猫もまたホリーを象徴する。永遠に手に入らないものへの憧れ、失われた過去への郷愁。それがこの小説のあるべきラストなのだ。ホリーは連絡ひとつくれず、たぶん僕のことも忘れてしまっているだろうけど、僕はいつまでも彼女に恋してる。彼女のうしろ姿を永遠に探している。切ない!しかし一方でそのうしろ姿を見つけたら、魔法が解けてしまうこともわかっているのである。
    更に、3つの短編。どれもホリーと同じく無垢なる魂が描かれる。「花盛りの家」のオティリー、「ダイヤモンドのギター」のミスタ・シェーファー。「クリスマスの思い出」のいとこ。誰もが、いわゆるハッピーなラストにはならない。でも無垢なる魂が行き着くものは汚れた我々が想像できる幸福とは違うものなのだ。だからオードリーヘップバーンではないのである。

  • 映画版を観たあとで読んだ。
    これはオードリーが演じたから魅力的な主人公になったのだと思う。

    作者はマリリン・モンローに演じてほしかったそうだけど、彼女ではホリー・ゴライトリーはよくあるオツムゆるふわ娼婦で終わってしまっただろう。
    マリリン・モンローは好きだけど、この役に関してはあきらかにオードリー・ヘプバーンがアタリだ。

    この小説が世に出たときに「ホリーは私のこと」とのたまった女性が数多くいたらしいが、それはホリーに失礼だ。ホリーは男の脳内でしか誕生し得ない空想の女性そのものだし、だからこそ魅力的なのだ。この映画でホリーが女性にとっても魅力的に見えるのは、ひとえにオードリー・ヘップバーンの力によるものに過ぎない。

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