働かないオジサンの給料はなぜ高いのか: 人事評価の真実 (新潮新書 565)
- 新潮社 (2014年4月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106105654
作品紹介・あらすじ
サラリーマンなら誰もが知っている、日本企業「最大の不条理」。なぜ「こんなこと」が起こるのか。大手企業で人事畑を歩いてきた現役社員が、そのメカニズムを丁寧に解きほぐす。併せて人事評価とサラリーマンのキャリアの望ましいあり方も提言。
感想・レビュー・書評
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仕事柄、人事評価や人事設計に携わることがありますが、その際に過去の遺物とも言える年功序列制度の歪みが本書の問題点に顕在化していると考えられます。
これらに対応する手法についても言及されていますので参考になりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルの勝利。サブタイトルの通り、人事コンサルタントが日本の会社の人事評価の仕組みについてまとめた本。コアとなる主張は、若手は専門スキルを磨きたがるが、それは出世とは関係なく、偉くなる人とうまくやれる人が偉くなる。もし私が若かったときにこれを知っていたら、専門スキルの習得に割いた時間を部落内での評価を獲得するために使っただろうか、それとも、本能のままに専門性に向かっていただろうか。
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一般企業で働き始めたので読みました(^^)
大人の世界のルールがよく分かります!
一企業人として勉強になりました。
ただ、会社員歴が長い人にとっては言わずもがななのかな?!というところも多々あります。 -
私にはあまり面白いと思いませんでした。
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がむしゃら時代を卒業した人におすすめ。
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書いてあることは正しいと思います。
ただ、今の世の中にあってない印象が続き挫折。 -
世の中はその人が頭の中で想定する社会の枠組み以上のものではなく、また会社組織は人がこしらえた約束事に過ぎないので、同じ会社に勤めている人でもその会社の捉え方はバラバラである。
極端に言えば、世の中や会社組織は各人が頭に描いた幻想にすぎない。
自分の歩んできた道筋のみがリアルなものである。そして自らがコントロールできるのも自分の行路であり、他人のそれではない。
人には幸不幸や、偶然の出来事、人との意外な出会いがあるにしても、誰もが自らの歩む道筋をジャンプすることはできず、一歩一歩踏みしめて進むしかない。
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人は考えて行動するよりも行動や直感を通して得た知見をもとに検討する方が物になることが多い。何よりも自ら動くことが力になるのである。
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中高年以降の揺らぎは、自分と仕事との関係から生じているのであるから、そこを起点にしなければならない。
今まで働くことによって得たもの、失ったもの、出会った人、仕事の向き不向き、自分に対する周囲の評価などを確認しながら、まずは自分と仕事との関係を徹底的に見つめ直して行動することだ。
この作業には一定の時間が必要である。
また各個人ごとに課題も異なっているので、一般的なノウハウやアドバイスでは役立たない。
一人で行う孤独な作業となる。
自分の可能性を検討するには、心の奥底にある欲求と向かい合う必要がある。
新しさを求めてむやみに広げるよりも、現在の抱えている課題を深く掘り下げた時に新しいものが発見できる。現在の自分の可能性を高めることが転身力だからである。うまくいかない人はA(ex.会社)、B(ex.独立)かのどちらかを簡単に捨てて答えを出しがちなのである。
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既存のシステムをそのまま取り入れるのか、それともそれ自体の意味を問い疑う姿勢を持つのかの違い
中年以降になると両者のどちらかに社員は分離していく傾向がある。既存のシステムや物差しの是非について深く考える人や疑問を抱く人は組織の中ではエリートになり得ない。
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副業について、個々の社員が主体的にうまくやることが何より重要なのだ。もちろん会社の情報を持ち出すなど会社に迷惑をかけることは論外である。
その上で具体的に言えば「会社の仕事をないがしろにしない」、「直接の上司や同僚といい関係を築くこと」である。この2つを押さえておけばそれほど副業の問題はややこしくならない
会社の仕事をまずはきちんとこなすことが第一の要件である。会社は仕事がおろそかになることを恐れているからだ。そして副業が順調に育ってくれば会社での仕事も良くなるケースが多い
中公新書の「転身力」や「左遷龍」での書きぶりと違い、著者は関西弁でやたら偉そうに馴れ馴れしく話している
こちらのパーソナリティの方が著者の本来の性格かもしれない
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採用担当者が内定を決める基準
自分の部下、後輩として一緒に働きたいかどうか
適正テスト、筆記試験、履歴書、エントリーシート、面接のうち採用担当者が重視している割合は各々どれくらいですか
圧倒的に面接を中止する。一緒に働きたいかどうかは試験や履歴書ではわからない。採用では能力やスキルをそれほど重視しない。
採用したいと思われる人になるためには何が大切ですか
各々の企業によって求める人材は異なる。皆さんが自分で感じて自分で考えるしかない。
やる気や高い能力が重視されるのではない。人との関係性が最も大事である。
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私は50歳を超えてから社会人大学に入って、MBAを取得し、その後関西の大学で3年ほど非常勤講師として会社学という講座を担当した。しかし、欧米のように職種そのものの専門性を高くすることの少ない日本ではMBAは必ずしも高い評価を得るためのチケットにならない。
基本的には自分一人で行う学びや能力向上の勉学と、組織の中で他者(上司、同僚、顧客など)との関係の中で仕事を遂行することとの間には乖離がある
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日本の多くの会社では創造的でパーソナルな仕事は多くないので、一緒に気持ちよく仕事ができる人、組織のパフォーマンスが上がる環境作りができる人、
誰とでも円滑な意思疎通ができる、あるいは皆がスムースに仕事を進められるよう縁の下の力持ちになれる人
が評価される。
理論が先行して自分の能力や成績を上げることばかり考えて個人プレーに走ると、チームでの仕事を軽んじたり、地味で評価に結びつかない役割を嫌がることになりかねない。そうなるとたとえ個人の能力が高く、実績を上げていても、高い評価は得られない。
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メンバーシップの強い会社では採用に際して、一緒に仕事ができるかどうかの観点で対象者を見ている。
個人の業務上の能力の高さや、向き不向きは二の次である
極端に言えば、会社の仲間になれるかどうかは判断基準である
面接官は複数存在し、1人が話を聞き、この学生はいいとなると、2人目の面接官が来て、それを再確認する。何人かの意見が一致した段階で当落が決まる仕組みになっている
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能力の平等主義が色濃く垣間見える。専門性や技能よりも全人格的なものを見ていると言えば聞こえはいいが、実は社員の能力や力量向き不向きの多様性について会社は看過していると言える。
また(新卒一括採用された)会社員側にも同様な能力平等主義と呼べるようなものがあるので、上昇志向をほぼ全員が持つようになっている。
技能やスキルをそれほど見ずに、一緒に気持ちよく仕事ができる人、組織のパフォーマンスが上がる環境づくりができる人が人事上評価される
メンバーシップの強い会社はどちらかといえば、社員のスキルや能力の高低などの多様性を認めようとしない。
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新卒一括採用された社員の多くが、現場管理職といった階層を上位に向けて駆け上がろうとする。会社も社員個人も能力に対する平等意識が比較的強いため、努力すれば誰もが上位職に上がることができるという前提がそこにはある。
上位職への登用の際に、専門性やスキル面を意外と評価の対象にしない。
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会社は自分の適正やキャリアを勘案して人事を決めているという思い違いをしている社員が少なくない
あの時の上司に嫌われたので左遷されたなどと会社との関係を語る社員もいるが、、会社は人事部はそこまで思っていない例が多い、会社は人事部はそこまで思っていない例が多い。
人事部員の多くは社員個人個人の細かい点まで配慮できないのが現実である。組織に人を配置するだけで精一杯の人事担当者が大半である。
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現場と管理機構の評価基準は異なる
課長クラス未満の社員が評価を得る要件は、評価者である課長の期待値を常に上回ることだ。
課長のこの程度だろうと思うレベルを超えることが高い評価を得るポイントである
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異動構想でも部長クラスになれば、自分の直接の部下は固有名詞で指名する。
上位役職になればなるほどトップの意向やグループ間の力学が強く働く。
役員や上位職は自分の担当する分野の仕事を遠隔に円滑に進めるべくそれに見合った人材を要求する。
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上司との信頼関係を高めること、それが仕事を円滑に進めることにもつながり、人事評価にも好影響を与える。
サラリーマンの最大のリスク要因は病気でも事故でもなく、、上司であるというのが実感、上司であるというのが実感。
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上司との関係をつなぐには上司が関心を持っていること、期待していることをまず掴むことである。
嫌だという感情が先立つと、どうしても自分の立場から上司の関係を見がちになる。しかしそれではうまくいかない。上司の関心のないことにいくら注力しても人事評価的には意味がない。
上司に関心を持っていることを態度で示すことも必要。
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誰が担当するのかはっきりしない仕事や誰もが日が進まないような仕事に対して私がやりますと自ら率先してやってくれる部下がいれば信頼感が高まる。
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上司の期待値を上回ることが評価を受けるポイントなので、面談の機会に上司の求めているものを掴む。
上司の重視していることや自分に何を期待しているかを直接確認する機会にすれば良い。
上司からアドバイスを求めることも意識しておくべきである。上司に存在感を示す場を与えることにもなる。
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50代になると子会社へ出向する
銀行本体に残っているのは役員まで昇格した100人に1人程度
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出世のメカニズムは会社によって全く違う
200
人事の異動内容と役職者名簿を何年分か参照すれば、自社の人事評価に関する分析が可能である。
人事評価バイブルを読み込むポイントは社内組織の力学の確認と個々の社員の社内経歴の変遷、及び社員同士、特に上司-部下の結びつきの3点である。ここから会社の評価、出世の仕組みが見えてくる。
202
自分の会社の人事評価の基準
部長、課長登用者と未登用者を比べてみる
会社の中で課長職でバリバリやっている人10人と同年次で課長職にまだ登用されてない10人を色々な角度から比較してみる
それぞれの10人の顔つきを、、思い浮かべながら、その人が経験してきた部門や課、その人の人柄、笑顔、自分が話した時に受けた印象、学歴、出向や派遣の有無、趣味、上層部との関係、後輩からの人望、どんな評判があるかなど思い浮かべてみよう。
一緒に働きたいと思わせるかどうか
上司の期待に答える仕事ぶり
上司の考えてることを察する力
組織の管理能力
上司と一定の接触を持つ
枢要部門の経験
上司のヒキを得られているか
上司との関係を紡ぐ力
上司の望む枠内に収まる能力
他部課との調整力
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多くの転身者を取材していて感じるのは、本人の持っている向き不向きが決定的だということだ。リスクよりも向き不向き、好きなことよりも向く向き不向きだというのが実感である
自分に対する人事考査や人事異動に一喜一憂することは避けられないにしても、同時に自分にとっての適正は何かと常に考えながら仕事をしていくことだ。
会社生活を直線的な上昇イメージの連続だけで捉えると、いずれ自分の老いや死の現実にたじろがざるを得なくなる。
逆に自分の向き不向きを捉えるチャンスにできれば、新たな自分を発見できる可能性が広がる。 -
人事経験者で、企業で働きながら執筆活動を続けている著者による、日本の人事制度、会社組織について書かれた一冊だ。
タイトルがやや煽情的だけれども、内容は真面目なもの。
賃金と企業への貢献度のラインが40歳前後で交差して、若い頃は貢献度よりも割安な賃金で働いているが、この年齢を超えると企業への貢献度よりも賃金が高くなる=高齢の会社員はもらっている賃金ほどには会社に貢献していない=働かないオジサンの賃金が高い、となる、という論理で、なるほどと思う。
刊行されたのが8年ほど前なのだけれど、日本の人事制度はこの時とほとんど変わっておらず、いま読んでもなるほどと興味深い。
どういう人間が企業の中で出世するのか、というコツ的なものも語られているけれど、出世したい人が読むハウツー本というよりは、日本の会社組織の在り方を人事の専門外の人間でも理解するのにちょうどいい、という内容だった。