光ってみえるもの、あれは

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120034428

感想・レビュー・書評

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  • 2004.2.4 レンタル ,
    2004.2.5 女の言葉 ,
    2004.2.6 ばかみたいな人生 ,
    2004.2.8 鏡 ,
    2004.2.9 ”思い” ,
    2004.2.11 理解 ,
    2004.2.12 提案 ,
    2004.2.13 なんかへん ,
    2004.2.14 世間のこと ,
    2004.2.15 あしたの風 ,
    2004.2.16 名誉挽回または汚名返上 ,
    2004.2.17 普通の日 ,
    2004.2.19 ケチでチャチな問題 ,
    2004.2.20 甲斐性 ,
    2004.2.21 喧嘩 ,
    2004.2.23 苦労性 ,
    2004.2.25 不思議 ,
    2004.2.26 定石 ,
    2004.2.28 しあわせの一歩手前 ,
    2004.2.29 光ってみえるもの

  • やる気のない「ぼく勉」

  • 前半はちょっとぼんやりしてしまいましたが、キタガーくんが出る辺りからはすごく好きな感じでした。

  • 何気ないひとことが、家族や友情のありかたが、とても鋭い。

  • 山田詠美の『僕は勉強が出来ない』の川上弘美版。男の子が主人公で、父親はなく、母親の親も一緒に住み、母親を名前で呼んだりする。山田詠美の方では『詩なんてお腹が膨らまない』なんてセリフもあったように思ったけど、川上弘美版では彼女に詩を朗読してもらったりする。そして他の作品からの引用もある。死んでしまった彼女を想って、彼女のセーラー服を着て学校に行く話を引き合いに出して、『私が死んだら同じ事してくれる?』と聞くシーン。このセーラー服を着ていく男の子はよしもとばななの作品からの引用だ。引用は古典や名作からが多いけど、私が読んでいてピンと来る作家が使われるなんて、すごく”本読み”になった気がした。

  • 祖母匡子さん 一度も結婚したことのない母愛子さんと暮らす
    高校生の江戸翠クンが語る。
    父親はいない。遺伝子学上の父はたびたび江戸家に姿を現わす大鳥さん。

    出生にまつわる環境こそちょっと変わってはいるものの
    普通の高校生活を送る翠クンやその友人達。
    普通に生きていくことが もしかするといちばん難しいことなのかもしれないなんて
    具体的に言葉にして思考に上らせるわけではないけれど
    喧騒の中 ふっとひときわ孤独を感じるように、興奮のさなかに時間のズレに入り込んでしまうような感覚に襲われるように 「どうして生きているんだろう?」なんていうことを思ったりしてしまうのだ。

    登場する大人達は なにかいい加減なようでいて それなりの何かを持っているような気がする。自分なりのある軸に従って。
    人は 何かから解放されるために日々もがき、しかし 何かに縛られることを望んでいるようにも見える。

  •  雑誌で川上弘美特集を見てから読みたくてたまらなくなった。こんな感じの長編は珍しい。いたってまじめ。たこやお座敷とかげはでてこない。だけどおかしい。
     【読み終えて】
    一気に読んでしまった。魅力的な人物たちのその生き方が気になったからだ。最近高校生が主人公の、家族が話題であるお話をいくつも読んだけれども、やっぱり川上弘美の書く高校生が一番だと思った。実際の高校生に近いかどうかは別として、この子の感性が好きなのだ。自分に近
    い、理想の息子、というのともちょっと違う。ただ暗く煮え切らない結末の多い中、この子が前向きな人生を選んだところが気持ちがいい。
    回りを囲む大人たちの、だめさ加減がたまらない。キタガーくんという先生だが、私の高校時代の漢文の先生に似てる。あの頃、その先生を好きだという私は、回りから白い目で見られた。それが辛くてあまり言わないように努力したっけ。あの時もっと先生を観察して、どう生きてい
    るのか、どこが魅力的なのか深く考えておけばよかったと今思う。高校生っていうのは、回りの人間をじろじろ見ていい時期だったのに。 今はだめだろうな。せめて息子たちには気づいて欲しい。だからこれを読ませたい、んだけど、読んではくれないんだ。今日の高校生は。

  • 主人公(高校生)の気持ちが、今の私の気持ちとかぶる。
    人との付き合い方とか、厭世観とか、そういうのがなんと言うか、共感が持てます。

    主人公と同じ年齢のときにこの本を読んだなら、そういうふうには感じなかった気がする。
    今、私はもう「大人」と言われる年齢に達しているけれど、それでもこの高校生が思うように「大人になりたくない」とか「大人になりたい」とか思ったりするわけです。

    川上弘美さん、好き好き。
    私の好きな作家の一人となりました。

    感情の表現法が私の感情と似ていて(私はそれを文章にする才覚がまるでないのですが)、「あ、私...」と思ってしまったり。

    ちょっと気を抜いて、ゆっくりしてみようかなーという気分になります。
    疲れている人に、お薦めかも。

  • これはおきにいり。あんまり評価よくないみたいだけれど、わたしはすきだなー。すごい苦しいことなんて、だいたいおこらないもので、高校生のなんて、こんなもんだよなーと思うのです(もしかして幻想?私は女なのでよくわからないけれど)。なにかすっごいことを乗り越えなきゃならないのは、きっとごくごく少数で、だいたいはぼんやりおとなになるんだ、なにかおとなになるまでの試練なんてものはたいていないんだから。
    この本の登場人物は全員好き勝手。何か問題があって、乗り越えたようにみえるけれど、ただ好き勝手に生きることにしたよ、ってだけ。ここまで好き勝手にできたらたのしいだろうなー、と思ってうらやましい本なのです。

  • 言葉の味わい方。背伸びしないで、その魅力がすんなりすんなり入ってきます

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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