- Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120053146
作品紹介・あらすじ
雑誌「歴史サーチ」の編集部員・菅原誠一は、特集企画「八甲田山雪中行軍遭難事件」を担当することになった。遭難死した兵士の数が記録によって違うことに気づいた彼は、青森で取材を開始。当時の悲惨な状況を改めて知る。特集企画は成功を収め、社長からもう一度、特集を組むこと指示された菅原は、再び青森を訪れた。遭難死した兵士数の違いにこだわる彼は、遭難事件の半年後に病死した稲田庸三一等卒に注目。取材のため、地元ガイドの小山内ととともに冬の八甲田に足を踏み入れた、菅原が見たものとは一体――。話題の歴史小説『茶聖』の人気作家が、世にも有名な「八甲田山雪中行軍遭難事件」を題材に挑んだ、傑作クライムノベル!
感想・レビュー・書評
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八甲田雪中行軍遭難事件
明治35年1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件。訓練への参加者210名中199名が死亡(うち6名は救出後死亡)するという日本の冬季軍事訓練において最も多くの死傷者を出した事故であるとともに、近代の登山史における世界最大級の山岳遭難事故である。
この事件から120年…瀕死の雑誌が特集を組む事に決まった。今まで知られてきた内容では売れない。とにかく謎を探してこい。仕事、家庭、人生すべてが上手くいかない主人公が1人、現地に残された膨大な資料の中から謎を探すのだが…
謎は何か?その謎を探すくだりがほぼ前半を占めてます。「八甲田山死の行軍」と言われた210名の彷徨ったルート、誰が指揮をとり、どこで判断を間違えたのか。何故199名もの死人を出したのか。行軍の壮絶な様子はもう1人の主人公である「稲田庸三一等卒」が語りとなり読む手が止まらない!!
健さんの八甲田山のイメージしかないわたし。
って健さん違う部隊の違うコースって何⁇
思い違いの新事実に愕然(꒪⌓︎꒪)笑
とにかく次々に死んでいく様子は凄まじすぎて可哀想で泣けてきます(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
これはいわゆるアレです…
これが真実でいいんじゃない小説⁇
いかにドラマティックに仕上げるか!
どんなドラマを盛るのか!!
いかにラストを仕上げてくるのか!!
って最後の最後…なんで⁇
盛り過ぎて余分なドラマ付けちゃったよね…
ラストいらない…
勘弁して欲しい(。-_-。)
男女の話なんてどうでもいいし!!
☆減ってしまったじゃない!!
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あの歴史に残る“八甲田山雪中行軍遭難事件”の一冊。
面白かった。
この事件の特集企画担当になった編集者がいくつかのあの行軍の謎に迫っていくサスペンス。
取材という形式で事件を辿っていく過程は詳細かつ興味深く読ませてくれる。
猛吹雪の中、全てが裏目に出る虚しさ、不運の連鎖、軍隊という組織に囚われた故の仕方ない選択、苦渋の決断が何度も胸を打つ。
そして遭難死した兵士人数の違いに囚われた主人公はその答えを見つけられるのか…終盤は嫌な予感と共に臨場感溢れる描写に心は囚われた。
任務完了!涙と共にちょいコケた気分を味わった印象的な作品。 -
初めての著者であり、また本書に関する何の予備知識もなく読み始めた。プロローグからすぐに有名な日本陸軍の八甲田山雪中行軍遭難事件を扱ったものだとわかる。新田次郎さんの小説『八甲田山死の彷徨』で広く知られるようになり、私もかつて父の書棚から抜き出して夢中に読んだ。
本書は、遭難事件を描く過去パートと、その事件を取り上げる歴史雑誌編集者の取材の現代パートで構成される。八甲田山遭難事件には、知られざる真実があるのか。
著者は歴史小説を得意とする方だそうで、さすがに過去パートは緻密な考証に基づくリアルな描写にグイグイと引き込まれてしまう。
その一方で現代パートは、職場や人間関係の描写が少し前のステレオタイプのように思えた。やはり会話で事件の説明を長く続けられるとつらい。展開も唐突で、個人的には登場人物に魅力を感じられなかった。
果たして八甲田山遭難事件を知っている人は今どれくらいいるのだろう。改めてこの事件に思いを巡らせるきっかけになった。 -
勤務校のOB著作です。
以前読んだ『巨鯨の海』同様、丹念な取材に基づいた作品で、雪山で遭難するときの絶望的な状況がとてもリアルにえがかれている印象を受けます。
貧弱な装備と楽観的な見通し、場当たり的名対応で210名の部隊のうち199名が死亡した、世界登山史上最大の遭難事故である「八甲田雪中行軍遭難事件」を舞台にしたミステリ小説です。
事実かどうかは私の知識では判断できませんが、「さもありなん」という状況証拠がそろっていく様子は手に汗を握る展開です。
暑い夏に読みましたが、身を切るような雪山の描写と、そこで彷徨う兵士たちの姿に、暑さを忘れて思わずゾクッとするような読書体験でした。 -
明治に起きた八甲田山雪中行軍遭難事件を(歴史)雑誌編集者の菅原が特集企画としてその謎を取材することになった。199人の死亡と報告されているが、実はもう1人行方不明がいたと予想し調査する。
当時の稲田の状況とで交互に話は展開し、終盤に2つのストーリーがリンクしていく。
史実自体これを読んで初めて知ったが、凄まじくひどいな。
登山も雪山も単独歩行もしているけど、極寒の状況を読み進めるにつれてだんだん恐怖を覚え始めてきた。。あたたかくなってからまた山に登ろう。
86冊目読了。
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伊東潤の囚われの山を読みました。
映画にもなった八甲田山の死の行軍から始まります。
歴史雑誌の編集員菅原が、社長命令で八甲田山を取材することになります。
そのなかで、今まで気が付かなかった事が分かってきました。
取材と、死の行軍が交互に書かれていて面白かったです。 -
八甲田山、雪中行軍遭難事件。
日露戦争前夜、寒冷地訓練のために厳冬期の山に挑んだ陸軍部隊210名のうち「199名」が遭難死した、世界最悪の山岳事故とされる。
これが圧倒的に有名になったのは、もちろん新田次郎の小説。高倉健主演で映画にもなった。
私自身、この話には取り憑かれ、各種テレビドキュメンタリーはもちろん、実際に八甲田をトレッキングしてみたこともある。あ、秋ですが、、、紅葉がおそろしく美しかった。そんなにキツくないなだらかな山道。だからこそ風が吹けば防げないのだろう。
本書は、その事故を追う雑誌記者を主人公に、家庭や会社の理不尽を絡めて描く。当初の予想とは違い、エンタメミステリー。
が、山岳遭難の描写は凄まじい。
雪山シーンは新田作品とかぶるのは仕方ないとしても、(菅原と稲田、二人それぞれの)単独行動シーンは一種異様な緊迫感があった。
個人的に山岳地帯の沢登りもやるので(夏ですが、、、)、暗くなって川の音と断崖からの滑落の恐怖を味わう場面はのたうちまわった。こわすぎる。
ただ、フィクションと史実が入り組むので、結局、陸軍の文書の改竄なんかは本当なのか創作なのかよく分からず。
ラスト、いろいろな意味で唸った。
エンタメにはエンタメの矜持が、ある、と感じた。 -
八甲田山で200名以上が亡くなった雪中行軍遭難事件を題材にした物語。子供の頃、映画で高倉健さんの映画のイメージ(観たことはない)しかなかったけど、主人公の歴史雑誌の記者を通して丹念に当時の事実が積み重ねられていく過程と、当時の行軍の描写が合わさって、臨場感溢れる内容となっています。が、それだけにやはり終盤、それとエピローグがおまけ的に感じてしまいました。が、雪中行軍の様子がリアルに想像できただけでも、読む価値はあると思いました。
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話題の歴史小説『茶聖』の人気作家が、世にも有名な「八甲田山雪中行軍遭難事件」を題材に挑んだ、傑作クライムノベル!
いつかそっちも読んでみたい♪
いつかそっちも読んでみたい♪