ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論社
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レビュー : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010872

作品紹介・あらすじ

動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。

感想・レビュー・書評

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  • 哺乳類の心臓は一生のあいだに約20億回打つ。
    それはゾウでもネズミでも同じ。
    …ということは、心臓の拍動を時計として考えたら、ゾウもネズミも同じ長さだけ生きて死ぬことになる。

    …という冒頭の話から、目からウロコがぽろぽろ落ちていくのがわかりました。
    生物のサイズに着目し、エネルギー消費量や体内器官、移動方法などを考察しています。
    実際に計測されたデータから導き出された数式を元に説明が進むのですが、それぞれの生物にとって今ある形が理にかなっているものだということがわかりました。
    特に昆虫の体の仕組みについての第12章と、ヒトデやウニなどの棘皮動物についての第14章が楽しかったです。
    水の中ではやわらかく体をくねらせているのに、手で持ったとたんに固くなるヒトデの仕組み、やっとわかって長年の謎が1つ解けました。
    生物って本当によくできているのですね!

    そして、残念なことに、苦手な数式が出てくるたびに、ぼんやりと眠気をもよおす私の頭もよくできている…と思わざるを得ませんでした…。

  •  ずっと前から読みたかった本。
     動物のデザインには意味がある。大きさにも形にも意味がある。すばらしいデザイン。そして、正しいデザインが何なのかは解らない。

  • 動物のサイズと時間、犬猫を飼った人なら実感しているはず。「犬の1歳って人の何歳の?」 犬のチャッピーが3ヶ月で我が家に来て、当時4歳だった娘は妹ができたと喜んだが、一年経つとチャッピーは17歳!!知恵のあるりっぱな犬に。かたや・・・。20年前の本。難しい理論を少しでもわかりやすく伝えたいという本川先生の気持ちは感じるが、それでも全部は読みきれなかった。(R)

  • 森羅万象は数式に落とし込むことができる。そんなマトリックスのような世界を考えたことがあるだろうか。

    実際、世界中の研究者は、なにかしらの法則を見つけようと、努力している。その中でも生物を紐解いて数式に落とし込んだのが本著だ。生物が感じる時間は体重の四分の一に比例することを導きだした。

  • 動物の生態にはあんまり興味なかったけど、島の大きさと人間の行動の関係ってのが面白かった。

  • 動物のサイズが変われば時間も変わる。構造や生態にいたるまですべて体重の関数で表せるくらいの勢いで、色々な生き物について網羅されていて面白く衝撃だった。

    相対性理論を勉強した時に、時間が一定ではないということを知ってものの考え方ががらりと変わった気がしたけど、まさに同じ感覚。

    ちょうど12章で構成されていて、毎週一章ずつ講義でやっていくとちょうど半期で終わるくらいだなと思って、大学でこの講座をとった気分。

    もっと早く読めばよかった。(最近こう思う本が多い…)

  • 動物のサイズが、いかにその生き方に深い影響を与えているかを考える本。

    生物学を含む理系のあれこれにとんでもなく疎い私、知識を身につけることにはほぼ意味がありません……。

    ですが、生物・動物の生態学に関心を持つと、地球人類としていかに生きるべきかのヒントを得られることに気づきました。

    人間同士でさえ、同じ生き物と思えない時間感覚の違いに悩まされることがありますが、これだけスケールの異なる生物に触れたあとでは、ゆったり構えられるのです。

    私たちはみんなそれぞれ、目には見えない時計に従っている。体の深部に、違った時間軸を持っている。

    自分の独特すぎる尺度を人に押しつけず、相手の時間軸を尊重できるといいよな、と思います。

  • おそらくこの本の初版が出たとき中学生で、長期休みの前に先生の一人が推薦図書にあげていてずっと気になっていた。
    20年立って未だに平積みされている以上、やはり読まねば、と。
    読んで納得、これは読みやすいし、おもしろい。選択授業の関係で生物を取らなかった私でもわかるような言葉で書かれているけれども、内容は濃い。
    そして着眼点が好き。サイズが違えば、時間の流れ方も違う、体のデザインにもきちんとその生物なりの理由があり、人間だけの世界観で測っていてはいけない、ということ。
    これは動物学の本だけれど、いろいろ考えさせてくれる本だ。

  • 生物の身体の構造や生存戦略がサイズによって規定されているということを、さまざまな事例を引きながら解説している本です。

    ゾウやネズミなどの哺乳類だけでなく、昆虫やサンゴ、ウニやヒトデのような生物についても、サイズという観点から一見不思議な生態を解き明かしています。

  • この本には生物のサイズや体のつくりが自然界から見るとこんなに合理性があって、うまくつくられているものだと感心させられることしきり。
    代謝量と体重の関係、体重と食べる量の関係、レイノルズ数(慣性力と粘着力の比)と体長の関係など、様々な動物のそれらの関係を並べてみると綺麗に比例関係にあるのは自然界の不思議であり何とも見事だとしか表現できず、人間は普段人間の目線でしか考えない、なんとも視野の狭い動物だという気にさせられてくる。
    自分自身は学生時代生物は苦手科目であったが、そのような人でも問題なく読むことのできる、人間が最も優れた生物だという自惚れを拭い去ってくれる内容であると思う。

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著者プロフィール

東京工業大学 生命理工学部

「2010年 『未来コンパス 13歳からの大学授業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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