料理の四面体 (中公文庫 た 33-22)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052833

感想・レビュー・書評

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  • 料理の本質に注目すれば火、空気、水、油の4要素しかないよねという本。
    調理へのハードルを下げつつ、無限の可能性を提示してくれる良質エッセイだった。

  • 料理は応用だ

  • まず何より筆者の文章がとても読みやすく好みだった。ユーモラスでありながら、細かい論理展開しかり、最後に振り返ったときに全てが布石として繋がっている筋の作り方に脱帽。
    一つひとつのエピソードが面白く、さながら世界を旅しているような感覚。さまざまな料理、文化と出会える。
    そしてタイトルにもなっている四面体の理論をはじめとする、事物の整理の仕方に筆者の恐るべき知性を感じる。
    文化人類学に興味がある方には是非手に取ってほしい一冊。

  • これを読めば料理が上手くなるわけでもなんでもないのだが、料理を「考えられる」ようになるという点で画期的であると思う。

  • 「今でしょ!」の林先生がTVで紹介していた。料理本でありながら、4要素を軸とした「モデル化」を通じて論理的思考が学べる本である。
    …とのことで興味を持ったのだが、当該箇所は最後の方の一部であり、当然といえば当然だが大部分は世界の料理について解説している。(本格料理を家庭で実現するためのレシピまで!)

  • 古今東西の料理を紹介しながら料理の本質を探っていく。最後のまとめ方は素晴らしくて鳥肌が立った。

  • 料理を趣味とし、世界各地を旅してさまざまな料理に触れてきた著者が、料理についての分析をおこなった本です。

    著者の提唱する「料理の四面体」は、火・空気・水・油という四つの基本要素を頂点にもつ四面体によって、世界中のさまざまな料理を位置づけることができるという考えかたにもとづいています。しかし、当初著者が本書の原稿を持ち込んだ出版社では、「きちんとした理論書でもなく、かといって役に立つ実用書でもなく、中途半端で出版に値しない」という理由でボツにされたと書かれており、また出版がかなった後も料理研究家から「ステーキはサラダである」といったような暴論に聞こえてしまう著者の意見への批判があったと書かれています。

    著者の考える四面体上にあらゆる料理を位置づけることができたからといって、なんの役に立つのだろうかという疑問が生じるのも、理解できないわけではありません。著者は、本書のなかで一つの料理から四面体上の移動をおこなうことでべつの料理がみちびき出せることを示していますが、その効用について「知的なゲームとしてもなかなかおもしろいし、料理のレパートリーを実際にふやすためのトレーニングにもなるだろう」と述べています。

    ただそれ以上に、ともすれば特定の文化的風土のもとに閉じ込められてしまいがちな料理をめぐるわれわれの思い込みを解き放つところに、本書の効用を認めてもよいのではないかと考えます。もちろん、料理をあじわうためにその料理の生まれた土地との結びつきにまで思いをいたすこともたいせつではあるのでしょうが、そのことを自覚するためにも、一度自明と思われた料理とそれに固有の文化的風土との結びつきから離れてみることも案外役に立つのではないかという気がします。

  • 佐々木俊尚さんの「家めしこそ、最高のごちそうである」中で紹介されていた本。
    料理の構造は、「火」を頂点とし、「空気」「水」「油」の3点からなる四面体。
    (空気)→干し肉→くんせい肉→ローストビーフ→ステーキ→(火)
    (水)→スープ→ソース→シチュー→(火)

    知的こねくりまわしエッセイは好みなので、おもしろ半分で読みはじめたのだけれど、思いのほか論理的な分析で、料理にも役立ちそう。著者の食べることが好き、美味しいものが好きが高じて、この本ができたんだろう。
    世界の知らない料理がたくさんでてきて、世界の広さと味の多様さを思い知った。冒頭のアルジェリア式羊肉のシチューがとにかく美味しそう。

  • すべての料理は「火・空気・水・油」の加減でできるんです!例えば直火グリル、ロースト、くんせい、日干し・・・火からの距離でできるものが変わります。英国風ローストビーフと和食の代表あじの干物もこのラインにあった!?今日の献立に知的な味付けをしてくれる一冊です。

  • どんなに複雑な料理でも、結局は基本的なプロセスの積み重ねである

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著者プロフィール

1945年東京都杉並区に生まれる。都立西高を経て東京大学フランス文学
科卒。在学中にサンケイスカラシップによりパリ大学言語学研究所に留学す
るも紛争による休講を利用して貧乏旅行に明け暮れ、ワインは毎日飲むもの
だということだけを学んで1970年に帰国。インバウンドツアーガイド、
海外旅行添乗員、通訳、翻訳を経て文筆業。1983年軽井沢に移住、
1991年から現在の地で農業をはじめる。1992年シャルドネとメル
ローを定植。2003年ヴィラデストワイナリーを立ち上げ果実酒製造免許
を取得、翌2004年より一般営業を開始する。2007年箱根に「玉村豊
男ライフアートミュージアム」開館。著書は『パリ 旅の雑学ノート』、『料
理の四面体』、『田園の快楽』など多数。近著に『隠居志願』、『旅の流儀』。
『千曲川ワインバレー| |新しい農業への視点』刊行以来、長野県と東御市
のワイン振興の仕事に専念してきたが、古稀になった今年からは、少しスタ
ンスを変えてワインバレーの未来を見渡していきたいと思っている。

「2016年 『ワインバレーを見渡して』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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