商業美術家の逆襲: もうひとつの日本美術史 (NHK出版新書 666)

著者 :
  • NHK出版
3.91
  • (5)
  • (11)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 104
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886663

作品紹介・あらすじ

破格の作家たちを軸に、浮世絵からマンガまでを一望する新・日本美術史!

浮世絵から新版画、そしてイラストレーション、マンガまで。商業美術こそが、日本美術の伝統を継承し、次代の表現を生み出す原動力となってきた。河鍋暁斎、小村雪岱、渡辺省亭、横尾忠則、つげ義春……。従来の日本美術史の枠をはみ出した破格の才能をオールカラーで紹介するとともに、彼らが近年注目を集める理由を明らかにする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • <目次>
    パート1  商業美術の到達点
     第1章  花鳥画の名手はなぜ忘れられたか
     第2章  美人画の巨匠と知られざる名工
     第3章  江戸の美意識はいかに受け継がれたか
    パート2  浮世絵から新版画まで  
     第4章  浮世絵というターニングポイント
     第5章  「芳」の絵師たちから美術史を見る
     第6章  維新後になぜ挿絵文化が花開いたか
     第7章  大正期の新版画は何を目指したのか
    パート3  戦後の商業美術へ
     第8章  デザイン・イラストの革命児たち
     第9章  つげ義春の原画は、将来国宝になる
     第10章  自分の「眼」で見るということ

    <内容>
    江戸期の浮世絵から明治~現在の、本の挿絵やポスター製作、現在のイラストや漫画に至るまで、展覧会に出るような作品ではなく、でもすばらしい作品を紹介したもの。最終章でいうように、誰かさんが評価したものに追随するのではなく、「自分の眼」でよいものを見つける努力を、その時には人の評価を気にせずに行くこと(難しいものだが)が必要だという。  

  • 主流の日本美術史から少し外れた位置にあるが、著者が高く評価する「商業美術家」たちの系譜を紹介した本である。

    時代は幕末・明治から昭和・戦後まで。浮世絵・挿絵・新版画・広告ポスター・マンガ等が遡上に載る。

    《従来のアカデミックな日本美術史に対するささやかな異議申し立て》として書いたと著者は言う。その主流の日本美術史が私にはイマイチよくわかっていないが、「そういうものか」と何となく納得しつつ読んだ。

    主な作品はカラー図版で紹介されるので、眺めているだけで楽しい。

    著者の山下裕二(美術史家・美術評論家)氏の名前を、私は『つげ義春――夢と旅の世界』 (とんぼの本)の編著者として知った。
    本書にも「つげ義春の原画は、将来国宝になる」という章があるなど、たいそう高く評価している。

  • 著者の手のひらで踊らされているだけではないのか疑惑が生ずるほど、手のひらの上だった。最近の展示とリンクしているというところがアレだなぁ。
    著者の文章が読みやすいというのもアレな一因であるのかな。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50271208

  • 一段低い位置で見られて評価されてこなかった商業美術家に光を当てて紹介した一冊だ。

    近年、展示会などで脚光を浴び始めた小村雪岱や吉田博などのほか、『商業美術』というひとつの流れで江戸後期の浮世絵から現代の漫画までの美術史が語られている。

    新書ながらカラーの図版が豊富で、読んでいて面白い。
    それにしても美術作品と言うのは、その時代時代の評価によってがらりと価値が変わるものなのだなと驚く。
    著者は、ネームバリューに踊らされず自分の眼で良いと思うものを観ることを勧めているけれど、自分の眼を信じるってなかなか難しいよな。

  • もうひとつかどうかは分からないが,当時はそれなりに脚光を浴びていたのに今は忘れられている画家達に焦点を当てて,それが流れとして捕らえられる.キーワードとして商業美術家としたのはとてもいい着眼点だと思った.
    絵もたくさん挿入されていたので分かりやすかった.

  • ここ数年の企画展でその名を広く知らしめた、渡辺省亭、小村雪岱、吉田博(残念ながら私はどの展覧会も行けなかった!)といった「商業美術家」たちを、日本美術史に位置付け直して紹介する一冊。名前と作品は見知っていた省亭や雪岱の立ち位置を改めて理解でき、新たに、間をつなぐ「キーマン」柴田是真や伊藤彦造といった画家を知りました。私の大好きな新版画についてもたっぷり。最終パートには田中一光やつげ義春も登場。

  • 小村雪岱は知らなかった。スタイリッシュ!

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

美術史家、明治学院大学文学部芸術学科教授。1958年、広島県生まれ。東京大学大学院修了。室町時代の水墨画の研究を起点に、縄文から現代まで幅広く日本美術を研究している。著書に『日本美術の底力 「縄文×弥生」で解き明かす』(NHK出版)、『未来の国宝・MY国宝』(小学館)、『日本美術の二〇世紀』(晶文社)、共著に『驚くべき日本美術』(集英社インターナショナル)、『日本美術応援団』(筑摩書房)ほか多数。

「2022年 『伊藤若冲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山下裕二の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×