- Amazon.co.jp ・本 (606ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150116750
作品紹介・あらすじ
今、ふたたび書き始めよう。失われし『新しい太陽の書』を-遍歴の後、首都ネッソスの"城塞"に独裁者として帰還を果たしたセヴェリアンは、時間の海を渡る巨大宇宙船に乗り組んで、新たな旅に出ることとなった。古い太陽の死を待つばかりの老いたる惑星ウールスに"新しい太陽"をもたらすために…。記念碑的傑作"新しい太陽の書"四部作で明かされなかった数々の謎が解き明かされる"ウールス・サイクル"完結篇。
感想・レビュー・書評
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第二巻の感想で「セヴェリアンが仕事上のこと以外はただの男の子なのがよくわかる」と書いたけれど、今回はあんなことがあって独裁者になったのに、むしろ頭の悪い子になってきていたのにもやもや。アプ・プンチャウがらみの話が膨らませてあったのはよかったけれど、全体が一本調子な感じ。第五巻というより後日譚だった。
ただ前作までより心に残る感覚はあって、それは圧倒的な孤独。時間を行き来する能力は独りぼっちにする。こんな風に一人にならなくてはならないのなら、世界を救う意味なんてあるんだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1週間に1章ずつ。場面転換が多いので、前の週はどんなんだっけ?とか思いながら読んだ。
難解なシリーズと言われてるが、さらによく分からない感じになった(笑)
かなり前に英語版ペーパーバックを買っていたが当然挫折していた。
主人公かつ語り手のセヴェリアン自身が状況をよく分かってないので、まあいいか。さ迷っている状況自体が楽しい、そんな書だと思ってるんで。
誰の人生も、はたから「読むと」実はそんなものなのかも。 -
世界幻想文学大賞やネビュラ賞を受賞した、いわば
読んでおかなければならなかった作品。ファンタジー然
として始まりながらも、だんだんとSFの顔を覗かせて
いく、「超後代」の物語。宇宙船で星雲間を飛び回った
最盛期はすでにはるか昔に過ぎ去り、年老いた太陽の下
滅びんとしている人類に新しい太陽をもたらす新たな
救世主=調停者となる拷問者セヴェリアンの謎に満ちた
冒険を描いている。
様々な謎と仕掛けに満ち、一度読んだだけではその全貌
は見えてこない。何度も読み直したくなる気持ちはよく
わかるし、ある種熱狂的なファンを生み出すのも納得
できる作品だ。一行たりとも読み飛ばすことが出来ない
と言われているらしいジーン・ウルフの面目躍如と言う
ところか。その物語全体も、キリスト教的な側面から
捉えることもできるし、アポロ計画との関連を示唆する
人もいる。重層的で圧倒的で、一筋縄では噛み砕くこと
も、飲み込むこともできない実に手強い作品だな。
私はこの作品は時間と記憶の物語に思えた。タイム
マシンやウラシマ効果によって時間もあやふやになり、
人にとっては時間と同価である記憶も、すべてを記憶
するというセヴェリアンや人の記憶を喰うアルザボと、
それから作られる秘薬によって確かさを危うくされる。
その辺りの錯綜感がこの新しい太陽の書の根幹なのでは
ないだろうか。もちろんそれもこの物語の皮相的な読み
方の一つに過ぎないのだろうが。 -
面白かったけど、やはり一読しただけでは掴みきれない部分多々って感じ。大筋の展開は理解出来るのだけど、細やかな技巧とか隠喩とかを、かなりの率で見過ごした感が凄い。感想雑感は、何回か再読した後になるだろうなあ。
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難解で「新しい太陽の書」マニア向けの作品
表紙 7点小畑 健 岡部 宏之訳
展開 5点1987年著作
文章 5点
内容 500点
合計 517点 -
『新しい太陽の書』の続編。
徐々にSF的な世界が現れた本編とは異なり、本作では冒頭からはっきりとSFだと解る。
本編と同様、迷宮を彷徨うようなテクストで描き出される異形の世界には惹かれずにはいられない。 -
しかし相変わらず難解な部分が多い。そして気がつくと時や場所を縦横無尽に移動していたりと、なかなか油断のならない読書。これほど、もう一度読みたい/読まなければ、と思った本はない。まあ言い換えれば読者に対して親切でないということなのかも知れないが、文章の端々に少し顔を出している単語や登場人物たちの言葉で綴られる文章から、物語全体を推測し再構成する作業というのもたまには面白い。今のところはなんとなくわかったような気になっているだけなのだが。
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2008/12/9購入