SFマガジン700【国内篇】 (創刊700号記念アンソロジー)

制作 : 大森 望 
  • 早川書房
3.68
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本棚登録 : 260
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119614

感想・レビュー・書評

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  • 普段、SFマガジンを読んでるわけでもなく、特に思い入れもないけど、新旧SF短編がたくさん読めるということで。大森望による編なら面白いだろうと。
    比較的、新しいSFのほうが好みなものが多かった。

    SFは登場人物混乱しがちなので、メモ。

    手塚治虫 緑の果て ★★★★★
    * ちゃんとSFしてる漫画も書けるのかと。面白い。

    平井和正 虎は暗闇より ★★★★☆
    * 主人公が事故によって能力開花。見られた人は欲望を解放してしまう。

    伊藤典夫 インサイドSFワールド
    * エッセイ。パスした。

    松本零士 セクサロイド ★★★☆☆
    * 漫画。

    筒井康隆 上下左右 ★★★☆☆
    * SF要素はだいぶ薄いし、物語も短くて展開は少ないけど。実験的な形態が面白い。もっと長くすればよかったのに。

    鈴木いづみ カラッポがいっぱいの世界 ★☆☆☆☆
    * なぜこれが入ってるのかわからない。昔のロック音楽オタクたちの会話。

    貴志祐介 夜の記憶 ★★★☆☆
    * 2つの全く異なるように感じる物語が、実は時間軸が異なる繋がった物語だったと最後にわかる形式のやつ。

    幽かな効能、機能・効果・検出 ★★★★☆
    * パイロン星人が残した物体は、実用品か美術品か。

    * コーパス・ヤゴト:泥棒。
    * ジェイク・スズキ:その相棒。

    素数の呼び声 ★★★★☆
    * ファーストインパクトもの。面白い。地球外生命体モノは、どうな造形なのかで創造性が試されてるよねと。

    * 桂木惣七:公認研究士。SA (AI的なもの)の追実験などを行う。
    * 佐伯美佳:新人だがキレものの助手。

    海原の用心棒 ★★★★★
    * クジラのスピードアイが岩鯨にまつわる過去を回想する形式。岩鯨というのはどうやら人工物である巨大潜水艦のことで、著者の他の作品から考えて、自ら意思を持つ(AI的な)潜水艦と思われる。(じゃないとSF的じゃない)岩鯨同士の対決は迫力がある。

    * スピードアイ(疾眼):わし。金切り声族42番群の生まれ。
    * タイドミュート(潮寂):42番群零番隊の長。
    * スリフト(倹約家):後に42番群の隊長になる
    * ダッパダン(伊達男):42番群の長。
    * 岩鯨 4兄弟:敵役。
    * レッドライン(血嵐):岩鯨。4兄弟と対決する。小説冒頭の潜水艦と思われ。

    さいたまチェーンソー少女 ★★☆☆☆
    * ラノベSFって感じ。

    Four Seasons 3.25 ★★★★★
    * 奇天烈。しかし、円城塔にしては珍しく、一度で理解できる設定。

  • SFマガジン創刊700号記念ですから、それなりのラインナップ。
    ページの使い方がおもしろい『上下左右/筒井康隆』と、ざっぱざっぱと切り裂き続ける『さいたまチェーンソー少女/桜坂洋』がお気に入り。

  • 日本SF界の礎にして最先端であり続けた専門誌〈SFマガジン〉の
    創刊700号を記念したアンソロジー【国内篇】。
    1959年の総監当時から現在までの掲載作品から、
    平井和正、筒井康隆、鈴木いづみの傑作短篇、
    貴志祐介、神林長平、野尻抱介、秋山瑞人、
    桜坂洋、円城塔の書籍未収録短篇の小説計9篇のほか、
    手塚治虫、松本零士、吾妻ひでおのコミック3篇、
    伊藤典夫のエッセイ1篇を収録。
    編者・大森望による「編集後記」も併録

  • 読後、頭までSFにすっぽり埋まりたくなった。筒井康隆と平井和正の作品がお気に入り。円城塔も好きだけれど、私の頭ではもう何度か読まないと面白くならない。

  • 古いのと新しいのと両方入っている。
    古いのが楽しく読める物が比較的多かったのに対し、新しいものは面白いものが少なかった。
    相性なんだろうけどね。

    「緑の果て」手塚治虫 ★3
    「虎は暗闇より」平井和正 ★3
    「インサイド・SFワールド この愛すべきSF作家たち(下)」伊藤典夫 ★2
    「セクサロイド in THE DINOSAUR ZONE」松本零士 ★3
    「上下左右」筒井康隆 ★3
    「カラッポがいっぱいの世界」鈴木いづみ ★2
    「夜の記憶」貴志祐介 ★2
    「幽かな効能、機能・効果・検出」神林長平 ★2
    「時間旅行はなたの健康を損なうおそれがあります」吾妻ひでお ★3
    「素数の呼び声」野尻抱介 ★3
    「海原の用心棒」秋山瑞人 ★2
    「さいたまチェーンソー少女」桜坂洋 ★1
    「Four Seasons 3.25」円城塔 ★1

    全体ではちょっとおまけして★3つってことで。

  • “ここに至って人類は、自分たちがすでに汲めども尽きぬ知識の宝庫にあぐらをかいていたと気づいたのだった。ビデオカメラに知能がないのと同様、情報をただ記録するだけでは知的生産はありえない。集めた情報を連関させ、共通するパターンを見いだし、推論することによって初めて有用な知識となる。SAはそれをこれまでにないレベルで実現したのだった。
    まもなく学術論文は、著者名よりもSAの形式名が重視されるようになった。SAがもたらす掘り出し物<セレンディピティ>は、ほぼ例外なく当事者の専門分野を逸脱していたから、別の専門家が動員された。呼ばれた専門家も、したことといえば検算と追試だけだった。
    二〇九〇年代にさしかかると学会発表の半数がSA主体のものになった。ついで学会そのものが消滅し、研究者は論文を自分のサーバーに置くだけになった。発表しなくても、SAが勝手に読みにくる。業績の評価はSAが計上する連想インパクト・ファクターで決まった。研究そのものに見るべきものがなくても、どこかで別の研究に役立てば評価が上がる。研究者たちが直接集まるのは、懇親会だけになった。”[P.245_素数の呼び声]

    「緑の果て」手塚治虫
    「虎は暗闇より」平井和正
    「インサイド・SFワールド この愛すべきSF作家たち(下)」伊藤典夫
    「セクサロイド in THE DINOSAUR ZONE」松本零士
    「上下左右」筒井康隆
    「カラッポがいっぱいの世界」鈴木いづみ
    「夜の記憶」貴志祐介
    「幽かな効能、機能・効果・検出」神林長平
    「時間旅行はなたの健康を損なうおそれがあります」吾妻ひでお
    「素数の呼び声」野尻抱介
    「海原の用心棒」秋山瑞人
    「さいたまチェーンソー少女」桜坂洋
    「Four Seasons 3.25」円城塔

    「上下左右」「素数の呼び声」が特に好き。

  • 楽しみだった短編集

     まずはマンガの「緑の果て(手塚治虫)」 。蛇足がおもしろいな。

     なかなかのスリル「虎は暗闇より(平井和正)」 も軽快でよい。

     「インサイド・SFワールド・下(伊藤典夫)」 はエッセイだな。読み飛ばし。

     「セクサロイドin THE DINOSAUR ZONE(松本零士)」 のタイム・バラドックスもなかなかだが、ありきたり。

     「上下左右(筒井康隆)」 は意味不明。読む気になれない。

     作者には少し興味があったが「カラッポがいっぱいの世界(鈴木いづみ)」 はイマイチかな。

     なんせ最高なのが「夜の記憶(貴志祐介)」 。久しぶりに素晴らしい作品に出会えて感動!! 最後の人類とその未来。素晴らしい。余計な解説なく切り落としたストーリーに感服。素晴らしい!

     「幽かな効能、機能・効果・検出(神林長平)」 もなかなかの作品だが、貴志作品の余韻があり、どうしても評価が落ちる。

     マンガの「時間旅行はあなたの健康を損なうおそれがあります(吾妻ひでお)」 はまったくのゴミ。

     これまた素晴らしいファースト・コンタクトものの「素数の呼び声(野尻抱介)」 。1.4GHz のウォーターホールだとか遊離酸素だとかの小物もおもしろいし、種の起源までぶっ飛ぶオチが切れ味抜群だ。

     かなりいい味の「海原の用心棒(秋山瑞人)」 なんだが、長くてダレる。潜水艦、岩鯨ってのはいいんだがなぁ。

     「さいたまチェーンソー少女(桜坂洋)」 のノリはイマイチ。好みではないな。

     苦手な「Four Seasons 3・25(円城塔)」はやはり克服できずに読了。


     貴志、野尻作品が最高だったな。ほかはまぁまぁ。

  • コミックからレポートからライトノベルまで、ごった煮感満載の短編集。収録作はこちら。

    「緑の果て」手塚治虫
    「虎は暗闇より」平井和正
    「インサイド・SFワールド この愛すべきSF作家たち(下)伊藤典夫
    「セクサロイド in THE DINOSAUR ZONE」松本零士
    「上下左右」筒井康隆
    「カラッポがいっぱいの世界」鈴木いづみ
    「夜の記憶」貴志祐介
    「幽かな効能、機能・効果・検出」神林長平
    「時間旅行はあなたの健康を損なう恐れがあります」吾妻ひでお
    「素数の呼び声」野尻抱介
    「海原の用心棒」秋山瑞人
    「さいたまチェーンソー少女」桜坂洋
    「Four Seasons 3.25」円城塔

    最初期からゼロ年代まで幅広く、内容的にも様々なものを詰め込もうとした努力は評価しますが、うーんちょっと統一感なさ過ぎかなぁ。いくつか心に残る作品はあったものの、読了後の充実感は「まぁこんなもの」ぐらいなところですヽ( ´ー`)ノ
    といっても、激しくヒットする作品があればそれなりに読む価値はあるわけで、あとは単純に好みの問題かと。鴨的には残念ながら今ひとつな結果に。うーむ。

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