スキャナーに生きがいはない (人類補完機構全短篇1)

  • 早川書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150120580

作品紹介・あらすじ

伝説の作家の未来史作品を年代順に収録する短篇全集第1巻。本邦初訳2篇を含む全15篇を収録。〈続巻〉②アルファ・ラルファ大通り/③三惑星の探求

感想・レビュー・書評

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  • SF。連作短編集。はじめての作家。
    20世紀から130世紀にわたる未来史。時間的なスケール、世界観的なスケール、どちらも驚異的。
    内容は、背表紙にあるように、「奇妙で美しく、グロテスクで可憐」。一言では表現出来ない、あらゆる魅力がある。
    好きな作品は「マークエルフ」「昼下がりの女王」「ガスダブルの惑星より」「スズダル中佐の犯罪と栄光」。

    以下、印象的な作品のメモ。
    「第81Q戦争」
    見世物としての戦争。森博嗣『スカイ・クロラ』に酷似。
    「マーク・エルフ」
    主人公カーロッタの生い立ちが素敵。マンショニャッガーがよいキャラ。
    「昼下がりの女王」
    前話から続く物語。後半はジュヌヴィーブ夫人代筆らしい。ロマンチック!
    「スキャナーに生きがいはない」
    デビュー作らしい。65年前の読者は、この異様な物語をどう感じたのか?
    「星の海に魂の帆をかけた女」
    夫人との合作。ラブロマンス。夫人が絡むとロマンチックな作品になる傾向が。
    「人びとが降った日」
    8200万人が空から降ってくる、この設定だけでも刺激的。
    「青をこころに、一、二と数えよ」
    タイトルのセンスはベストか。
    「鼠と竜のゲーム」
    ネコSF。ネコ可愛い。
    「ガスダブルの惑星より」
    夫人との合作。ショート・ショート。グロテスクなファーストコンタクトもの。ブラックさが良い。
    「スズダル中佐の犯罪と栄光」
    短編としては濃密すぎる世界観。

  • コードウェイナー・スミスは初めて読みましたが、好きだ!この世界観。イメージの難しい箇所も多々ありますが読み進めるうちに脳内イメージが補完されてゆくようで楽しい。おおよその時系列に並べられているようなのでとても読みやすかった。発表順で読んでも違う楽しみ方で読めただろうな。第二巻も楽しみ!

  • 2020/2/7購入

  • 独特の感覚で描かれる未来史「人類補完機構」.
    重苦しいモノトーンの物語で始まる「無幻世界へ」.
    補完機構の創立が描かれる「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」メンシェンイェーガー11号(マーク・エルフ)登場.
    原題はScanners Live in Vain .和訳が絶妙な「スキャナーに生きがいはない」.宇宙船を操る特別な改造人間スキャナー.彼らは自身の苦しみと引き換えに宇宙船を飛ばし,人類に貢献していた.ギルドのような組織をつくり,統括者はヴォマクト.しかし,新技術が開発され,スキャナーの苦しみを介さない宇宙航行が可能になる.スキャナーたちは新技術の開発者に暗殺者を送り込む.
    「竜と鼠のゲーム」宇宙に潜む邪悪な存在「竜」.人間の心には竜に映るその存在も,パートナーには巨大な鼠にしか見えないのだ.

  • 読みにくくてなかなか進まなかった。
    珍しく飛ばし読みして7割くらいで返却。
    設定は面白かったので残念。

  • コードウェイナー・スミスが描くワン・アンド・オンリーの未来史<人類補完機構>。その全中短篇を収録するシリーズ第1巻は、以下15篇を収録。なんとも豪華なラインナップです。

    ・夢幻世界へ
    ・第81Q戦争(改稿版)
    ・マーク・エルフ
    ・昼下がりの女王
    ・スキャナーに生きがいはない
    ・星の海に魂の帆をかけた女
    ・人びとが降った日
    ・青をこころに、一、二と数えよ
    ・大佐は無の極から帰った
    ・鼠と竜のゲーム
    ・燃える脳
    ・ガスタブルの惑星より
    ・アナクロンに独り
    ・スズダル中佐の犯罪と栄光
    ・黄金の船が──おお! おお! おお!

    既刊短篇集の「鼠と竜のゲーム」「ショイヨルという名の星」「第81Q戦争」は、およそ5年前に読破。したがって、本書は文庫初収録の「アナクロンに独り」を除き、すべて再読にあたりました。
    が、やっぱりコードウェイナー・スミスはおもしろい!!
    異様な設定、理解不能な用語、何の説明もなしに進められる物語。読みはじめこそ、異質な世界に置き去りにされ戸惑いを覚えますが、しかし、これらの設定や用語は読み進めていくことで次第に明らかになっていきます。そして、読み終えたときには、短篇ながら恐ろしく凝縮された世界観を感じ、ただ一言、おもしろいと唸るのです。

    さて、<人類補完機構>を読んだ5年前はSF小説に夢中になりはじめたばかりの頃。だからかどうかは知りませんが、前回読んだ際は、本書収録の作品群のうちでも「星の海に魂の帆をかけた女」「青をこころに、一、二と数えよ」「鼠と竜のゲーム」といった比較的わかりやすくて、感傷的な物語が強く印象に残りました。一方、今回は「スキャナーに生きがいはない」「スズダル中佐の犯罪と栄光」「黄金の船が──おお! おお! おお!」が特におもしろいと感じることに。
    「スキャナーに生きがいはない」はもはや語る必要もありませんが、スキャナーのグロテスクな様相がとにかく頭に残ります。「スズダル中佐の犯罪と栄光」はたった30頁に詰め込まれたSF的センスの結集に驚嘆。傑作です。「黄金の船が──おお! おお! おお!」は、おぞましい行為を秘密裏に遂行する退廃した<人類補完機構>と、陽動媒体として本書の花である黄金の船の対比が印象に深い作品です。
    一方、本書の魅力は、これらの美しくもグロテスクな物語だけではありません。センス溢れる表題名や人物名、印象的な場面も素晴らしい。口ずさみたくなる「青をこころに、一、二と数えよ」、ヘレン・アメリカやマンショニャッガー、金星のミルク色の空から降り注ぐ8千2百万の中国人…

    うーん、やっぱり最高。

  • 短編集の上に細切れに読んだせいか、なかなか世界観をつかめなかったが、それだけ壮大な物語ということだろう。正直古さを感じさせる箇所は多々あるが、現代とは様変わりした未来の世界に生きる人々が現代に生きる私たちとあまり違っていないところが、魅力でもあり違和感を感じる部分でもある。「マーク・エルフ」や「昼下がりの女王」は、未来の世界へ過去に生きた人間が出来する話で、ある意味わかりやすいストーリーであり共感しやすい。「スキャナーに生きがいはない」も、徐々に分かってくる時代設定と主人公の立場に驚かされ応援したくなる。「鼠と竜の戦争」は、人気のある作品である理由は分かったが、正直ピンとこない。やっぱり表題作がベストかな。

  • 中身を確認せずに買ってしまったが、これは、第81Q戦争などを組み直しただけでした…今のところ既読のみ。まあこれを機会に揃えちゃうかなあ。ノーストリリアも買うかー。

  • 基礎知識が定まらないのと
    まだこれしか読んでいないので
    評価は難しいのだけど
    舞台や道具はともかく、物語の中にある
    人間的な部分、ロマンチックな思いは
    いまも色あせないのではないか。

  • 『人類補完機構全短篇』の第1巻。
    全3巻完結予定で、2巻、3巻も近刊とのこと。こういう場合、大抵は完結してから読むのだが、続刊の刊行スケジュールがはっきりしないので、取り敢えず1巻を読了。
    時系列順に編集されているが、どれから読んでも特に差し障りはないように思われる。全体的に割とセンチメンタルな傾向があるのも特徴か。

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