ヒトラーの描いた薔薇 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
3.38
  • (6)
  • (7)
  • (19)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 256
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150121228

作品紹介・あらすじ

地獄の扉が開き、希代の犯罪者たちが逃亡した時、ヒトラーは……表題作ほか、SF界のレジェンドによる本邦初訳を含む全13篇を収録

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1957年から87に書かれた作品が発表順に掲載されている。
    エリスンを読んだのは初めてだけれど、解説にあるように、どれも理不尽なものに対する怒りと絶望が伝わってくる。
    とりわけ古い作品にその傾向が強く、私はどちらかというと、そういった不条理さに満ちた最初の方の作品のほうが好きだ。

    特に、「恐怖の夜」は読んでいて痛く刺さりすぎて目をそむけたくなる激しい衝動に駆られた。
    けれど、こういう作品こそ、読まなければならないんだと思う。

    どれも、祝福や幸せからは程遠く、人間が犯してきた罪悪について書かれているように感じる。

  • 「ロボット外科医」★★
    「恐怖の夜」★★★★
    「苦痛神」★★★
    「死人の眼から消えた銀貨」
    「バシリスク」
    「血を流す石像」
    「冷たい友達」
    「クロウトウン」
    「解消日」
    「ヒトラーの描いた薔薇」★★★
    「大理石の上に」
    「ヴァージル・オッダムとともに東極に立つ」
    「睡眠時の夢の効用」

  • 2021/11/29購入

  • 60〜70年代の作品はエリスンの社会に対する怒りが強烈にぶつけられています。表題作「ヒトラーの描いた薔薇」では、主人公は理不尽に地獄に落とされ、神様に怒りをぶつけますがそんな中、ヒトラーは地獄の門に黙々とバラを美しく描き続けています。なかなか解釈が難しいですね。

  • カタルシスを味わえるエンターテイメントは、無い。尖ってるなぁ〜、ハーラン・エリスン。

  • ロボット外科医
    恐怖の夜
    苦痛神
    死人の眼から消えた銀貨
    バシリスク

  • アメリカSF界の巨匠ハーラン・エリスンの短編集だが、エリスンってこんな情緒的なSFを書く人だっけ…?と違和感を覚えてしまった。ブラッドベリの作風が好きな人には合うと思う。個人的に一番好きな話は「ヴァージル・オッダムとともに東極に立つ」。

  • ・ロボット外科医
    現代の抱える問題を先取っているように感じた。
    SF作家がこういった問題を予言しているかのよう書いている作品がたまにあるが感嘆でしかない。
    AIが増えていく中、作中「臨床マナー」をどこまで解決していけるのかこれからのAI事情にも注目していきたくなった。

    ・恐怖の夜
    この作品はピンとこなかった。読み応えはなく、普通の作品。

    〜〜〜〜〜〜〜〜

    ・解消日
    ある日突然、自分が増えた男の話。
    ただ増えただけでなく、自分とは何か、今まで避けていた大事な事。そういったものをもう1人の自分と対峙する事で解消する。
    語り部の男はその避けた方の男で解消される運命なのだけれど最後はわだかまりもなくスッと消え、心がじんわりと温まるような話だった。

    ・ヒトラーの書いた薔薇
    表題作。ヒトラーが主役だと思ってたけどあくまで話に華を添えるだけだったとは、、、
    ハリスンの描く神は全知全能では無く、ものすごく人間っぽい存在になっているように感じる。
    ウソもつくし間違いを認めようとせず虚実を押し通そうとする。そういった描写が面白い。

    ・大理石の上で
    突如発見された巨人。かつて人類に火を与えその罰を受けている。
    プロメテウスだよなぁ。でも終盤が理解できない。
    どういう解釈を持てばいいんだろう。

    ・睡眠時の夢の効用
    不気味で不可解な謎を残したまま物語は進むが最後は心が温まる作品だった。
    死の口はただの不幸の産物だと思っていたが最後は人が前に進むために必要な通り道だと理解し、ほっこりとさえした。

  • 日本ではエリスンの短編集はハヤカワ文庫からこれより前に2冊出てまして、どちらも傑作です。本邦3冊目の短編集となる本作、通読しての印象は割と玉石混淆な感じ。SFでは無い通俗小説やファンタジーよりの作品も多く、かつ明確な起承転結が無い話もあり、これまでの2冊に比べるとちょっと取っ付きにくいイメージです。

    が、所々にもの凄く純度の高い「エリスン節」が含まれている作品がありまして、なかなか巧く表現できないのですが「神秘性を帯びた暴力」とでも言いましょうか。世間一般の常識とはかけ離れ理屈や道徳は一切通用しない、ある種神話めいた独特の世界観の中で繰り広げられる暴力と怒りの爆発。すっきりした話・気持ちの良い話が読みたい人は、絶対近づいてはいけない世界ですヽ( ´ー`)ノ

    鴨が気に入ったのは、「バシリスク」「冷たい友達」「クロウトウン」の3作。「バシリスク」「クロウトウン」は、正にエリスン神話としか言いようの無い理屈抜きの迫力が感じられ、頭で理解するよりもその迫力に圧倒されて酔いしれよ、というタイプの作品。「世界の中心で愛を叫んだけもの」「死の鳥」などに近い作風ですね。
    でも、こうしたエリスン神話とは一風異なる「冷たい友達」が実は一番のお気に入りヽ( ´ー`)ノ乾いたユーモアに包まれた筆致で救いようの無い結末を描くという、後味の悪さにおいては随一といって過言ではあるまいヽ( ´ー`)ノ

  • モヤモヤ味わい比べセット。
    並べられた十三種の珍酒について
    「あれ、賞味期限切れてる…?」
    「…固体…?」
    「…隠し味…のみ…?」
    など豊かなモヤモヤバリエーションを楽しめます。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1934年オハイオ生まれ。56年にデビュー。鮮烈な暴力描写、華麗な文体に熱狂的なファンを持つSF界のカリスマ。シナリオライター、批評家としても活躍。67年、アンソロジー『危険なヴィジョン』を編纂、アメリカにおけるニュー・ウェーヴ運動を牽引した。代表作に『世界の中心で愛を叫んだけもの』(71)、Deathbird Stories(75)など。

「2019年 『愛なんてセックスの書き間違い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ハーラン・エリスンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×