ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫 JA イ 7-7)

著者 :
  • 早川書房
4.18
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本棚登録 : 5518
感想 : 382
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311667

感想・レビュー・書評

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  • いやーすごい

  • SF小説を初めて読んだのですが、超面白いですねw作り込み度が凄すぎて、世界観に没入しました!

    ていうか、この作者さんある意味コロナ予測してたのでは?この後の流れも今のロシアの状況を見ていたら、もしかしたら現実的に起きそうで怖いです、、

    この本からの1番の学びは「幸せとはなんなのか、それを未来視点で見ることができたこと」です。人を信用できないがために、WatchMe並びに、医療分子によって人間の体内まで常に監視され、隣人と仲良くし、いじめも存在しない、精神衛生上よくない後ろ暗い歴史は閲覧規制をかける、そんな物理的にも精神的にも健康を強制させられた世界では当然反発を持つ人も出てくるでしょう。
    私自身は健康志向がかなり強いので「こんな世界が来たらいいのにな」と思っていました。しかし、この本での結末として、人を管理することに徹底すると全人類の意識を消滅させることになる、そんな流れを見て、本末転倒というか「それじゃ結局動物じゃん」っていうふうに思いました。
    幸せとはなんなのか、それは結局、自分の心が決めることであり、意識のない世界ではそんなものは存在しません。さまざまな臓器と並立的に自己も置かれるらしいですが、やっぱり自己が優越されるのではないかと思います。
    p363〜364では、自己のない世界がとても幸せだと表現しています。しかし、これはあくまで自己がある人間が見ているからであって、当事者たちは何にも考えず、本能のままに機械のように動いているだけです。ここで視点の重要性が問われます。何かを追い求めた先に、最終的に見失うのは自分だということです。

  • 優しさが人を苦しめる世界の中で、
    「わたし」がわたしのままでいるために。

    正しい事をするのは簡単だ。
    でも正しくても失敗することはある。
    痛みが後悔が欲望が、人を強く動かす。

    平和とは
    人間の存在意義とは

  • 「わたし」

  • レイブラッドベリからSFに興味を持ったので日本のものを読もうと思って
    伊藤計劃1冊目
    ミァハ・トァン・キアンなどの名前の響きも含めて世界設定に漂う異質、冷た系の雰囲気が良かった。でもツヤツヤ都市生活!ではなく戦場、ラストシーンの崖・洞窟の土色の雰囲気はかなりグッと来た。
    華氏451度のテクノロジー⇔ラストの線路を辿る、に通ずる。
    哲学的ゾンビの話から連想する話→読書といえば音読、から黙読に切り替わった時に無意識や脳内だけの思考が始まった説。
    人間なんかいない方がいいは前提として生まれてしまった刹那をどう使う

  • 虐殺器官の終末時代感から一変、反発的に生まれたユートピア世界の話
    愛する隣人にいかに優しくいられるか、大切な大切な自分の身体をいかに大切にできているか、そういった判断基準をもとにして、周りにいるすべての人の相手の職業からそうした価値基準の評価まで何もかもの情報が可視化されている世界
    それは他者の目が絶対的な世界、同時に絶対的な価値基準に対していかに従えているかを全員が目指す均質化の世界
    その一端はすでに今の社会にもみられるだけに他人事、SF世界だけでの出来事として切り離せない

    最近感じていたこと、SNSの台頭による均質化、みんなが行く店は決まってSNSで有名なお店、そこにばかり集まる
    当然そこだけがいいお店ではないけれども、そのSNS基準での「良い」が絶対的なところはあるから、みんなこぞってそこに行く

    インターネットは全てのものをつなげてくれる素晴らしいもの、グローバル化も素晴らしいもの、けれどそれは均一性と表裏一体のもの
    自分はあまのじゃくなところがあるから、そういう人と同じになってしまう感覚は正直あまり好きではない。だからこそ、世の中が画一化されていっているのではないかという感覚にすごくモヤモヤする

    この世界観の面白いところはテクノロジーによる監視や管理だけでなく、それを基盤にした人間の価値基準が監視・管理社会を形成しているところだろうか

    やっぱりSF作品は自身の好奇心をたまらなくくすぐってくれる。小さい頃に何回も見たスターウォーズやバックトゥーザフューチャーが原点なのは間違いない。

    本作も虐殺器官同様に、示唆に富んだ世界観だった。じっくりとこの世界観について、考える時間を取ってもいいかもしれない。

  • 優しさが人間を苦しめる世界線の日本。
    遠く未来の話のようだけど、いずれは痛みや苦しみを感じない社会統制が始まってもおかしくない、と静かに訴えかけてくる。
    コード文体を通して話される内容にはただひたすらに無感情で無慈悲。それこそが調和の採れた世界ということなのだろう。題名から生命体の生きる意味や手段を深く考えさせてくる感じ、嫌いじゃないです伊藤計劃先生。まだ22の私には未知の世界すぎて脳が追いつかない。

  • 評判はずっと聞いていたのでいずれ読みたいと思いつつ、読むのに覚悟が要りそうで手に取らずにいた作品。
    そうしたらブックスパーチさんの選書にこちらが!素敵な後押しを受けて読み始めたら面白くて面白くて。
    先は気になるけれども、もったいなくて少しずつ読んだ。
    意志や自我とは何なのか。
    読み終えた後もずっと行間の中にいる気分。
    まだまだ感想はまとめられないが、読んで良かったのは確か。
    仕掛けも上手いなぁ…。
    巻末のインタビューも非常に面白かった。
    『虐殺器官』も読まねばだなぁ。

  • SFものは入り込むまでがあれだけど、
    それさえクリア出来たら面白い勝ち。

  • この作品に出会ったきっかけは、『ALTER EGO』というアプリだった。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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