- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150703707
感想・レビュー・書評
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終盤まではオカルトが絡んだ推理小説で、おもしろいが特段目を引くものでもなかった。
しかし最終盤、最後の最後でこの本が名作と評されているわけが分かった。
この結末を忘れることはできないだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
思わせぶりだな
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ニューヨークの出版社の編集部員であるエドワードが週末を過ごす別荘へ向かう車中で出版予定の小説原稿に添えられた写真と名前は別荘で待つ妻マリーだった・・・小説は事実を基にした70年前の毒殺事件でマリーである筈がないがエドワードの心にはシコリが残る。。。
時期を同じくして別荘近くの大地主でデスパード家の当主が病死するが甥で友人でもあるマークから砒素を使った殺人の疑いがあり容疑者探しを行う。
妻似の70年前の砒素毒殺事件犯人は魔女で”不死者”といわれ時代を超越した幽霊が犯人なのか?
霊廟に安置された筈の当主の亡骸は何処へ?
唯一の目撃情報である”古いフランス様式のドレスを着た女性”は誰なのか?
デスパード家の一族・使用人とエドワード夫妻及び友人医師の怪しい人間関係と隠されたトリックは予測出来ない驚きです!
火刑法廷とは毒殺犯罪者(主たる犯罪者は女性が多い)が処刑として生前や死後に焼かれる事。
特に毒殺は魔術とされ火刑で罰せられた女性を”不死者”として魔術信仰された。 -
冒頭の妖しいムードに惹き込まれつつも、ついつい混同する登場人物の名前や序盤のもたついた筋運びに乗り切れないまま読み進めたが、第Ⅲ章から俄然面白くなる。解決編の第Ⅳ章で探偵役が推理を披露するのだが、消える人影の種明かしはまだしも遺体消失のトリックや犯行動機について後出し感が拭い切れないのは私が普段所謂本格推理ものを嗜まない所為だろうか。目眩し的に積み上げてきたオカルティックなネタをエピローグの第Ⅴ章で反転に用いる試みは功を奏したようだが、中世魔女事情に精通していない私には今一つピンと来ない部分も多かったり。
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2020/05/14読了
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ギロチンに処された上,火刑となった殺人鬼.その顔は妻と瓜二つだった.
完全なる密室から消失した遺体.
古めかしい装いをした,首が繋がっていない女性の姿.
毒殺された名門家の当主. -
■「ツー」といえば、じゃなくって「密室モノ」といえば、カー! ……っていうくらいだから、どうしてもそのトリック目当てで先へ先へと急いで読んでしまう。
でもカーは設定がけっこう複雑で凝りに凝って作られているので、時系列とか人物の配置とかをしっかり押さえたうえでないと、カーの本当のおもしろさ、素晴らしさはなかなか味わえないのだ。だからこれからカーを読むヨイ子たちはじっくり、「カーになんか騙されるもんか!」くらいの心構えで慎重に読んでネ(それで騙されるのだから最高に気持ちイイのだ)。
■それでは逆に、「カー」といえば……『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』か、あるいはやっぱり本作『火刑法廷』だろう(短編集だと『妖魔の森』)。どっちも最高に素晴らしいから、まだ読んでないヨイ子は必ず読んでネ。
■あらすじ
①雑誌編集者のスティーブンスがある作家から預かって家に持ち帰ってきた下書きの原稿は、100年前に実在したある毒婦についてのドキュメンタリーものだったのだが、それに添えられていた犯人の当時の写真はどう見たってこりゃ、自分の今の嫁さん本人ではないか!?
②一方その嫁さんは急に挙動不審になっちゃってどうしたのかと思ってたら、例の写真も原稿の最終章もいつのまにか無くなって、嫁さんも実家からいなくなってしまっているではないか!?
③そこに近所のマークが訪ねてきて、最近亡くなった自分の叔父はきっと毒殺されたので、今からいっしょに死体を掘り起こして真相を確かめてくれないか、などと剣呑なことを言ってくるではないか!?
④仕方なくつきあってやると、葬式以降は絶対に掘り返された形跡がない地下の霊廟に置いてあった棺はなんとカラっぽで、叔父の死体はどこにも見当たらないではないか!?
⑤そもそもマークがなぜ毒殺などと騒ぎ始めたかというと、叔父が死んだその夜、マークは叔父の部屋から不審な銀のコップを見つけたのだったが、それを科学調査機関にまわして調べてもらったところ、コップの残留物からヒ素が検出されたからというではないか!?
⑥しかもその夜、家政婦がたまたまカーテンの隙間から死ぬ直前の叔父の部屋を覗いていたら、古めかしいドレスを着た終始後ろ向きの見知らぬ女が叔父に銀のコップを手渡し、そのあとその女は壁の中に消えて行ったと証言するではないか!?
⑦棺がカラっぽなのがわかったあとマークの家の使用人が、自分の家のロッキングチェアに死んだ叔父の幽霊が座っていたのを見た、などと言い出すではないか!?
⑧死んだ叔父の家にいた住み込みの看護婦は、最近自分の部屋から薬が盗まれたことがあって部屋の鍵を厳重にしていたのだが、薬を盗んだのは間違いなく、編集者スティーブンスの失踪した嫁さんだとヌカすではないか!?
⑨なんだか怪しげな町の葬儀屋が、さっきからこちらの様子をチラチラ窺っているではないか!?
⑩こんなタイミングで見ず知らずの男がいきなり訪ねてきて、恐る恐る誰かと聞いてみたらそれは市警からやってきた警部で、逆に警部の方から「お前たちが自分を呼び出したからわざわざ来てやったんじゃないか!」と怒り出すではないか!?
⑪またまた見たことない男がリムジンに乗って到着して、今度こそマジでびびってたらそれは、嫁さんの秘められた過去を知るあのドキュメンタリーを書いた作家本人だというではないか!?
――さて、スティーブンスの嫁さんはいったい何者なのか!?!?
――地下の霊廟から死体はどうやって消えたのか!?!?
――叔父を殺して壁に消えた犯人の正体とそのトリックとは!?!? -
理解できなかった
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珍しく外国の小説を読んだ。ネットのお勧め小説だったかと思うが、期待を裏切らず面白い小説でした。
時代背景の違いや価値観の違いによる、洋書特有の違和感はあり感情移入は難しかったが、わかりやすいキャラクターやストーリーでその場の雰囲気が想像でき、オチには見事に騙されてしまいました。ミスリードに対する種明かしも納得のいくものでした。
また、エピローグで煙に巻くような後味の悪い終わり方をするので、それが苦手な方は注意してください。
あらすじとしては以下の通り。
主人公は編集者で仕事として、過去の犯罪を扱うノンフィクションの小説を渡される。そこには彼の妻とそっくりの、斬首刑となった犯罪者の写真が掲載されていた。
時を同じくして、彼の隣家で資産家の老人が亡くなるが、老人は毒殺された形跡がある。
使用された毒は、小説に出てきた妻と瓜二つの犯罪者が使用したものと同一であり…。