火刑法廷[新訳版] (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-20)

  • 早川書房
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感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150703707

感想・レビュー・書評

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  • 「部屋の壁の中に消えた婦人の謎」では、トリック自体は大したことはないものの、犯人によるミスリードが巧妙でした。
    「密室から忽然と消えた死体の謎」も、一連の怪奇現象を用いて不自然さを消すことに成功しています。何れもトリックというより、「ないように隠す手法」が非常に上手いなと思いました。
    最後のオチは好みではありませんが、不思議な余韻を残すことに成功しているので良く出来ていると思います。

  • 死んだ当主の寝室で目撃された謎の女はどこへ消えたのか?
    霊廟の死体はどこに消えたのか?
    さらに魔女裁判、毒殺魔とオカルトチックなネタ満載でありながら、それを理論的に解決してしまうと言う展開。
    そして最後のあの5ページ!
    なるほど、これは名作だ。

  • 確かに面白い。不朽の名作とはまさにこんな作品を指すのだろう。

    でもね、あのエピローグ読んですっきりする解を導き出せる人がいったいどれほどいるのだろうか。現実的解釈をしようにも、矛盾点多すぎて挫折。んじゃーオカルトでいってみようとパラパラ再読してみたが、壁すり抜けはそのままとしても、死体消失は誰がどうやったんだろう?霊廟への壁もすり抜けたんならもうお手上げ(笑)

    まぁ、この最高に気味悪いラストへの伏線も十分すぎるほど張られていて、些末なことは大概どうでもよくなるわけだが。

    90点(100点満点)。

  • 推理とオカルトの見事な融合。さすがカーの代表作!

    物語が二転三転し最後の最後まで結末が見えない。

    これ程推理小説で感動したのは久しぶり。

  • 古典ゆえトリックに斬新さはないものの、怪奇的な要素と推理的な要素がどこで出会い読み手を納得させるのか気になります。最終的に形容し難い余韻を残してページは終わります。新訳だったので読み易かった。

  • これは面白い!
    読むまで法廷ものなのかと思ってました。汗。

    壁を通り抜ける幽霊、死体の消失、伝説の毒殺魔…。要素がてんこ盛りで、登場人物はどの人も怪しいオーラ満点。雰囲気たっぷり!
    そして、すべての謎を回収していく後半部と、ラストの素晴らしさよ。めちゃくちゃかっこいいミステリです。

  • 最後ほんとどういうことなの

  • 魔女裁判の話と見せかけて、毒殺魔の話で……という流れで、面白かった。
    翻訳ものはあまり得意ではなく避けて来たが、これは読みやすかった。
    けれど、本格ミステリー好きにはおすすめしない。


    以下、あらすじ(オチつき)覚え書き。

    編集長から、ゴーダン・クロスの原稿を渡されるスティーヴン(以降、テッド)。
    彼は過去の事件をあたかも見て来たかのように書くことを得意とする作家で、テッドもファンのひとりだった。
    原稿を渡す際の編集長の様子が気にかかったが、列車の中で原稿をひも解くテッド。
    内容は毒殺魔の女性・ブランヴィリエ侯爵婦人の話だったが、そこには自分の妻・マリーの旧姓(マリー・ドブレー)と顔写真が貼られていた。
    その女性は火刑裁判にかけられた上、ギロチンで処刑されていた。(魔女扱い)
    マリーの先祖が毒殺魔だったのかと恐れるが、それにしても写真が似すぎている。
    疑心暗鬼に陥るテッド。
    別荘で夫を待っていたマリーは、テッドが知った事実から目を背けさせようとする素振りを見せる。

    そんな中、友人であるマークが、先日胃腸炎で亡くなった叔父はヒ素で毒殺されたかもしれないと訴えて来る。
    それを確かめたいからと墓場を暴くことに、手伝い夫と元医師と共に協力する。
    墓を暴いてみたところ、叔父の遺体はなくなっていた。

    遺体がなければ証拠も出ない。
    しかし、墓場に荒らされた形跡はなく、盗めるはずもないと手伝い夫は訴える。
    さらに、叔父がなくなる直前、手伝い夫の妻は奇妙なものを目撃していた。
    それは、叔父と話していた古くさいドレスを着た女性の姿で、女性は壁の中に消えたのだと言う。
    その女性の衣装が、マークの家の廊下にかかっていた肖像画(顔と肩は酸で焼かれてわからない)のものだというから、問題は大きくなっていく。
    何故なら、その日は仮想舞踏会があり、マークの妻・ルーシーがその衣装を作って着ていたからだった。

    警察もやってきて、事態は明るみに出る。
    はじめ、ルーシーに疑いの目がかけられていたが、看護師の証言により、マリーに疑いがうつっていく。
    しかし、看護師がマークの愛人と発覚し、事態は大きく様変わりする。

    この事件はマークと看護師が企てたものだと判明し、その謎を解いてみせたのはかの作家・クロスだった。
    しかし、謎解きのラストにそのクロスが毒殺される。
    グラスを渡した看護師が犯人として逮捕されるが、無実だと訴えている。

    マリーは過去は、もらわれ子であり、虐待を受けていた記憶によりトラウマが魔女の証拠のように見えていたという説明がつけられている。テッドもそれに納得し、事件は解決したに見えた。

    しかし、ラストにマリーがやはり魔女なのではとにおわせてエンド。

  • ミステリ史上に残る傑作。

    この作品最大の魅力は、人間消失などの複雑怪奇な謎の論理的解決と同時に、相反する非論理的なオカルティズムを融合させ、見事に成立させてしまったところにある。

    エピローグを読み終え、ゾッとする悪寒を覚える読者を想像してほくそ笑むカーのしてやったりの表情が浮かぶようだ。

    この力技は、カー以外では成し得なかったであろうし、ずば抜けたストーリーテーリングがあってこそのプロットだ。最初から最後まで強烈なサスペンスに満ち、登場人物の優れた造形が物語に深みを増し、天才カーの迷宮世界が妖しくも絢爛と形作られている。

  • 「火刑法廷」ディクスン・カー◆デスパート家の当主が急死した夜、彼の部屋では一人の女性が目撃されており、彼女は壁を通り抜けて消えたという。毒殺を疑うマークは遺体の発掘を試みるが、遺体が入っているはずの棺は空だった。ミステリアスな事件に「不死者」伝説も絡んで、良い具合に不気味です。

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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