- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150707514
感想・レビュー・書評
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「87分署シリーズ」聞いたことあるような、というわけで第1作を読んでみた。87分署には刑事が16人配置されているが、116人配置されていても人手不足は解消せず、プエルト・リコ人や追剥ぎや痴漢が横行、高層建築があり、東西に35本の通りに9万人が住む、と形容する街区での警官群像。「アイソラ市という架空の市だがニューヨーク市の地図を東西南北移しかえると87分署の舞台ができあがる」と解説にある。
主人公は2級刑事のスティーブ・キャレラ。事件は相次ぐ警官殺し。殺される警官、調べる警官、それぞれの家庭や行動が並行して語られる。警官たちは大きな街の中で点のように動く。そして87分署の街そのものも生き物のようで、人々を含有する。それがおもしろいところか。
聞き取りすると街の人は概ね警官ぎらい、しかし一番嫌っていたのは? というところがミソ。でもちょっと安易でわりとよくあることだよね、という気がしないでもない。
キャレラ警部はこの第1作で、ひとめぼれした女性テディがいて、テディをとても好きなのだ、というのがストレートに伝わってくるところは好感が持てた。
87分署シリーズの第1作 1956年発表
最後は 第56作「最後の旋律」2005発表
エド・マクベイン:1926-2005 ニューヨーク、イーストハーレム生まれ。
映画「暴力教室」1955 の原作者でもある(エヴァン・ハンター名義)
1956発表
1976.4.30発行 1992.11.30第20刷 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
87分署シリーズは聞いた事はあったが、昔の人気シリーズという認識だった。
ちょっとしたキッカケでシリーズ第一作を手にして、夜寝る前に少しづつ読み進めた。
まずニューヨークの夜景の描写から始まるので、最初に夜のイメージが定着した。
1950年代の賑やかな巨大都市ニューヨーク。エアコンの設備が行き渡らない時代の茹だる様な暑い夏が舞台。もちろん夜となれば連日の熱帯夜。その熱にうかされように話は展開する。
これを夏に読んでよかったと思う。
海外ミステリーの醍醐味は、ストーリーや謎解きは当然だが、その時代・その場所の細かな描写が全体の雰囲気を大きく左右する。60年前に書かれた警察ミステリーの黎明期の作品だけに、ストーリー自体は特筆すべき点はないのだが、古き良きアメリカを堪能できた。良作。 -
警察ミステリのオールタイム・ベスト作品。警察組織の内情や縦社会ではなく、捜査過程の焦燥やジレンマをメインに描いてある。勤務時間外のエピソードも多く、等身大の刑事キャラになんとなく共感できるような。
でも一番印象に残ったのは熱気だろう。じっとりとした汗ばむような暑さ。昼夜関係なく襲ってくる熱波。それと比例するように、糸口の見えない警官殺し事件に躍起になる同僚たち。この“暑苦しさ”の漂い方はハンパではない。それでも割合さくさく読めたのは筆致がシンプルだからだろう。
個人的な思い込みだが、警察ミステリはシンプルな筆致が基本だと思っている。もちろん、人物やエピソードをしっかり書き込むことも大事だが、度が過ぎるとそれはもう社会派の範疇だ。あまり深追いしない淡白さが緊張感と現実性を生むこともある。そういう目線で見れば本作品はまさに警察ミステリの王道と言えよう。
キャラが立ってくるのはこれ以降かな? 機会があればあと何冊か読んでみたい。 -
87分署シリーズ第一弾。興奮して読みふけったものです。
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みなさん覚えていらっしゃるでしょうか。
火曜サスペンス劇場のことですよ。
季節毎にテーマのミステリ・例えば6月の花嫁シリーズとか
色々ありました。
江戸マクベインのミステリシリーズを渡辺健と有森成美さん
だったかな二人主演で定期的にドラマ化して居ました。
大事な題名忘れてました。確か『我が街』だった。
舞台を港町に移して、基本のプロットそのままなんでしょう
あくまでも邦画なりのリメイクとしての矜持を感じたものです。
火スペもう失くなってしましました。内田康夫先生も昇天。
十津川警部しかおらんのかな・・。片平なぎさ・家政婦も
日本風のドラマとして消化されて居るのがわかりやすくて
自分には見応えありました。勿体無いなあ・・・ -
◆◆ ベッドでミステリー ◆◆
・・・ 第四回 「警官嫌い―87分署シリーズ 」 ・・・
エド・マクベインの87分署シリーズは、架空の大都会(たぶんニューヨーク)アイソラを舞台に87分署の刑事が事件を解決していくシリーズですが、その大一冊目がこの「警官嫌い」です。
このシリーズは事件を通して20世紀が抱えた問題を追及していたので、とびとびにはじめの方から順番に読んでいくとその流れがわかって面白いという読み方ができます。
この一冊目は、いまから見ると、かなり牧歌的で古き良き時代の雰囲気を残してはいますが、扱っている問題はティーンエージャーなので、子どもの本が好きな人には、ほぅ、こういうとこから問題提起が始まったのか、と思ってもらえるだろうと思います。
文章がうまいので疲れないで読めますが、ペンタッチが古い、昔のマンガがすすめにくいのと同じで、いまとなってはちょい、すすめにくい一冊ではあります。
2018年02月27日 -
何かでエド・マクベインの名前をたまたま見かけて、久しぶりに87分署シリーズを読みたくなった。読みなおすならやっぱり第一作目。
走行中の急行列車の中で殺人事件とか、田舎の旧家で連続殺人とか、そういうことは実際にはあまり起こらないのだろう。たとえば中堅企業の経理部門に務める普通のサラリーマン男性42歳がある木曜日に帰宅途中の路上で刺殺体で発見される。目撃者なし、トラブルなし、心当たりなし。ぼくらの知っている犯罪はそうして起きる。どこから手を付けるか。どうやって犯人に肉薄していくか。それが87分署シリーズの「ミステリー」だ。警察は日々そういう事件を扱っているのだ。
シリーズの魅力のひとつがレギュラー陣の刑事たち。誰でも贔屓の刑事がいるんじゃないだろうか。キャレラはもちろん一作目から登場。相棒マイヤー・マイヤーはまだ登場せず。クリングはまだパトロール警官。ハル・ウィリスがちらりと名前が見える。懐かしい。 -
警察小説を読み始めたら行きつく先はここではないか。え、順序が逆では、という声が聞こえてきそうだけど、大きい声では言えないが今の今まで未読だったのだからしようがない。満を持してのエド・マクベインということにしておこう。それにしても1956年か。ぼくはもう生まれてはいたけれど、旧き良きを通り越しているな、これは。モノクロ映画を見るようなと言ったらいいか。歴史だ。スティーヴ・キャレラ、87分署、これがその本物なのか。一見脈絡のない連続警官殺し。不可解な連続殺人といえば、木は森に隠せと相場が決まっている。まずはオーソドックスなつくりで、ちゃんとミステリの体裁は整えられている。これ一作でどうこういうのは早かろう。まだまだ続編がたくさんあるのでしばらく楽しめそうだ。
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87分署シリーズ始まりの一冊★
事件自体はシンプルなものだったけど捜査内容が時代を感じて面白かった(^O^)
登場人物も改めて把握できた(^○^)