日の名残り (ハヤカワepi文庫 イ 1-1)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200038

感想・レビュー・書評

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  • 主人公が、一緒に働いていた人に会いに行くのですが、その途中で、昔のことを思い出しながら会いに行きます。

    大きくて、身分の高い人(というか、社会的に地位のある人)の執事を主人公がやっていたのですが、その時のことと、現在の様子が交互に出てくるような感じです。

    一緒に働いていた人に会い、その人の言った言葉が、この本に込められた思いなのかなと思います。

  • 書店で見かけ、英文学を書くカズオイシグロの名前に惹かれて買った一冊。英版斜陽なんて噂も聞き、どちらも名家が衰退の一途をたどる点では同じだけど、斜陽は名家の苦悩、本著は名家に仕える執事の品格に重きを置いている印象。これは訳者の才かもしれないけれど、執事の丁寧な言葉遣いを表現する上では日本語訳の方が合っているのではないかと思うくらい、滑らかな文体は読んでいて心地が良かった(英語にも敬語はあるのだろうか)。結果的には個人的にはスティーブンスの思う品格、他人の前で服を脱がない品格に共感した。強い人は私的な自分を出さない。ただバックに色濃くイギリスがあるので政治的な背景や紳士としての"品格"は理解しきれていないような気もする。

  • カズオ・イシグロ氏の本は本当に好き。
    過去の大英帝国の華やかかりし時代を誇りつつも、時代が流れていったセンチメンタルな叙情をしみじみと感じるのは、日本人に通じる何かがあると思う。執事の主人に対する尊敬の念も、敬服に値する。
    英国人と日本人の両方の血が流れているからなのだろうか。

  • 精緻でひたひたと進む、小説だが、これは『文学』だった。
    翻訳とは思えず、訳者にも同じく称賛を贈りたい

  • 日の名残り

  • カズオ・イシグロ2作目。古き良き英国を感じた。ところどころユーモア散りばめられていて読みやすい。
    ミス・ケントンに再会する場面は、ほろ苦く微笑ましく。
    50くらいになって読むと、また違った味わいになりそう。

  • カズオイシグロさんの「私を離さないで」が面白かったので、同作者の作品を探しました。ブッカー賞受賞作だったのでこの本を読みました。

    イギリスの執事が語り部となって進む物語。

    この半年読んだ小説の中で一番心に刺さりました。
    執事の口調が品があって読んでいて心が凛とします。
    執事や女中頭、卿のキャラクターが、明記されてはいないのに会話の雰囲気や文体からじわっと伝わってくる。
    カズオイシグロさんならではの表現力。

  • 素晴らしい、作者もですが翻訳者が。
    まごう事なく執事の中の執事然とした語り口。そして日の名残りというタイトルも秀逸。
    旅行しながら、過去と現在が振り子のように行ったり来たりして、だんだんと明かされるかつての雇い主の悲しい運命、自分の執事としての転機になった事件(?)、男女の機微…好きすぎて3周目に突入している。
    最後、寂しく終わるかと思いきや、スティーブンが冗談を練習しようと思い立ってて可愛かった。そう、主人公側カッコよくて有能で鈍感で可愛い…恐るべしカズオイシグロ。

  • 素晴らしかった。
    ありがとう。

  • 見えてきた風景を頭の壁にくっきりと刻み、ゆたゆたと旅を続けながら頭のなかの風景画に話しかけ、感じたかったわたしに迫って行く。
    スーツが英国の民俗衣装のようなものであるということ、時にネクタイは組織と個人を強固に結びつける短い紐、首輪になること、そんな社会にある当たり前がどうやって形成されていくのか、当たり前って何?という問いの連射で、当たり前の背景が、かすかに視える、硬直化した態度を割る太陽の光を浴びた。
    本書は、特有の考えの習慣から離れる旅を提供し、ペンが滑るように流れる時間と真面目に向き合わせてくれる。

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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