坂手洋二 (2) 海の沸点/沖縄ミルクプラントの最后/ピカドン・キジムナー (ハヤカワ演劇文庫 17)

著者 :
  • 早川書房
0.00
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151400179

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 国体で日の丸を燃やした男を主人公にした「海の沸点」、基地撤去と雇用確保の狭間で苦悩する人々の闘争を描いた「沖縄ミルクプラントの最后」、復帰直後の沖縄で生きる、被爆者の中でも周縁化されてきた人々にスポットをあてた「ピカドン・キジムナー」。

    前の2作は、やや説明的なせりふも多く、「沖縄」という舞台に観客を引き込むことの困難さもにじみ出ていた。
    「ピカドン・キジムナー」は、世代や出身の異なる人々の、沖縄戦、被爆の痛みの持続が細やかに描かれているという点で、優れた作品だと思った。

    ただ、3作すべてに「沖縄」という空間が持つ「癒し」や「人間的な優しさ」へのロマンがあるように思う。
    作者が「沖縄」への真摯な愛情を具現化するとき、謳いあげようとしていないにも関わらず、にじみでてくるようなロマン化といかに向き合っていくべきかを考えさせられる。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

さかて・ようじ
1962年、生まれ。劇作家、演出家。
劇団「燐光群」主宰。
日本演出家協会理事、日本劇作家協会理事。
1991年、『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』
(燐光群公演)岸田國士戯曲賞、
2003年、『屋根裏』読売文学賞、
2005年、『だるまさんがころんだ』鶴屋南北戯曲賞
……など受賞作品多数。
2017年から新たな『坂手洋二戯曲集』が
彩流社より刊行され始め、現在、
『バートルビーズ/たった一人の戦争』、
『星の息子/推進派』(2017年)、
『神々の国の首都/漱石とヘルン』(2018年)、
『くじらと見た夢/南洋くじら部隊』(2019年)の
4冊が刊行されている。
他の著書に
『ブレスレス/カムアウト 坂手洋二戯曲集』、
『トーキョー裁判/危険な話 坂手洋二戯曲集』
(共に、而立書房、1991年)、
『火の起源』(而立書房、1994年)、
『青空のある限り』(而立書房、1996年)、
『くじらの墓標』(而立書房、1998円)、
『天皇と接吻  坂手洋二戯曲集』(カモミール社、2002年)、
『最後の一人までが全体である 坂手洋二戯曲集』
(れんが書房新社、2003年)、
『私たちはこうして二十世紀を越えた』(新宿書房、2003年)、
『だるまさんがころんだ Danger!! mines!!』
(カモミール社、2006年)、
『いとこ同志』(れんが書房新社、2007年)、
『坂手洋二 1 屋根裏/みみず ハヤカワ演劇文庫 7』
(早川書房、2007年)、
『坂手洋二 2 海の沸点/沖縄ミルクプラントの最后/
ピカドン・キジムナー ハヤカワ演劇文庫 17』
(早川書房、2008年)、
『普天間』(未来社、2012年)などがある。

「2019年 『8分間/ゴンドララドンゴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂手洋二の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×