物語創世:聖書から〈ハリー・ポッター〉まで、文学の偉大なる力

  • 早川書房
4.06
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098696

作品紹介・あらすじ

●鹿島茂(フランス文学者)氏推薦
「歴史が物語を作ったのではない。
物語が書き記されたことで、英雄が生まれ、歴史が作られたのだ。
このパラドクスを巡る、驚異的な歴史の物語(ストーリー・テリング)」


聖書から〈ハリー・ポッター〉まで、古今東西、
人の暮らしには絶えず物語が息づいている。
なぜ私たちは、物語なしではやっていけないのだろう……
文字の発明以降現代までに生み出されたもののなかから、
聖書、ホメロスの英雄譚、千夜一夜物語、源氏物語といった影響力の大きな「物語」に注目、
書字技術の発展とともにそれらがどう広まり、
どのように宗教、政治、経済を、歴史や人間そのものを変えていったのかを説く。
ハーバード大学教授がいざなう、「物語の海の旅」へようこそ。

感想・レビュー・書評

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  • 原題は「written world」。著者はハーバード大の文学者・哲学者。
    これは面白い。どのくらい面白いかというと、今年一番面白いと、もう決めたくらい。
    文学と世界の関わりについて、新たな視点を与えてくれる本だ。

    1968年12月、月面観察のミッションを帯びたアポロ8号からヒューストンに向けたメッセージは、聖書の創世記を読み上げることだった。
    「初めに神は天地を創造された」から「神はこれを見て、良しとされた」までの部分だ。
    文学の専門家でもない人が特異な状況におかれた時、古くから伝わるテキストを使って経験を言い表したということに、著者は注目する。

    時間の経過とともに影響力や重要性を増し、やがて文化全体のソースコードとなる。
    人に、そのひと自身の出自を教え、いかに人生を生きるべきかを知らしめるテキスト。
    彼らアポロ8号の隊員にとっては、それが聖書だった。
    著者はこれを「基盤テキスト」と呼ぶ。
    かつては祭司が管理し、帝国や国家の中心に祀っていた。

    どの時代にどのような「基盤テキスト」が生まれ、どんな影響を与えていったか、また紙や書字技術・印刷技術の発展とともに、「基盤テキスト」がどう広まり、世界を変えていったかを考察する、それはそれは壮大な文芸エッセイだ。
    フィクションを扱いながら、読み物としてはノンフィクションであるという点も興味深い。
    全16章で、「源氏物語」には丸々一章が割かれている。
    「源氏物語」を未読でも、ここだけでも読んでいただきたい。
    マーティン、見てたの?と言いたくなるような平安の頃を俯瞰した文章がまことに面白い。
    [源氏物語]に和歌800首を著した紫式部の、宮廷を退いた後にまで思いを寄せている。
    「紙」にフォーカスした見方が実に新鮮だ。

    「ギルガメシュ叙事詩」「千夜一夜物語」「ドン・キホーテ」などという誰もが知る「基盤テキスト」もあれば、マリの口承文学「スンジャタ叙事詩」やウォルコットの「オメロス」のように始めて知るものもある。「聖書」誕生までの話は特に興味深い。
    上に載せたアポロ8号の時代は冷戦の最中で「基盤テキスト」の争いでもあったという。
    そんなソビエト連邦を支える本は「共産党宣言」だったというから驚く。
    連邦崩壊によって威信も地に落ちるが、その時代・その国の経済や歴史・宗教・人間を形づくってきたという点では同等なのだ。

    パピルスの巻物は手元にないはずなのに、今また私たちはタブレット画面をスクロールしている。脚を組んで座り、膝の上に書字版を載せていた古代の書記に、タブレットユーザーの姿は似ていると著者は言う。
    中世の騎士道ロマンスは、恋愛小説をはじめとする電子自費出版で復活してベストセラーになり、口承のストーリーテリングも息をふきかえしている。
    私たちはいまだ進行中の物語の中にいるということだ。
    予測のつかない今後の展開を、新たに書き加えるとしたらどうなるのだろう。
    確かに言えるのは、時代を超えてテキストを存続させるにはそれを使い続けること。
    そうすれば必ず翻訳され複写され、コード変換されて各時代に読み継がれるだろう。
    著者は、文学の未来は技術よりも教育が必要だと結んでいる。

    4000年の文学の歴史をひとつの物語としてとらえた、非常に読み応えのある本。
    アレクサンドロス、古代の書記たち、ブッダ、孔子、ソクラテス、イエス、シェヘラザード、グーテンベルグ、ルター、ベンジャミン・フランクリン、ゲーテ、・・各時代の人びとの姿が、まるで映像のように鮮やかに浮かび上がる筆致に興奮がやまない。全ての「基盤テキスト」には、誕生の必然性があるのだ。
    レビューの中で割愛した部分が山のようにあるので、ぜひ読んで確認してね。
    すべての本好きさんにお薦め。

    • nejidonさん
      りまのさん♪
      うふふふ、質問して下さってありがとうございます!
      答え:にゃんこがいっぱいいた時。全部で保護猫27匹いました。
      朝の食事...
      りまのさん♪
      うふふふ、質問して下さってありがとうございます!
      答え:にゃんこがいっぱいいた時。全部で保護猫27匹いました。
      朝の食事で一時間半。夕食で一時間半。お金も飛ぶようになくなっていきました。
      でもどの子も可愛くて可愛くて可愛かった。
      あんな幸せはもうないです。
      ちなみに今は9匹です。思い出だけいっぱい遺して、みんな虹の橋に行きます。
      りまのさんが一番嬉しかったことはなんですか?
      2021/02/03
    • りまのさん
      nejidonさん
      猫9匹でもすごいのに、27匹て、どんだけ大きなお家なんでしょうか。私の実家は、4匹まで。それも、親猫と、仔猫3匹とで、仔...
      nejidonさん
      猫9匹でもすごいのに、27匹て、どんだけ大きなお家なんでしょうか。私の実家は、4匹まで。それも、親猫と、仔猫3匹とで、仔猫1匹は、友達に、貰ってもらい、あとの子は、育てていましたが、1匹は、行方不明に、もう一匹は、亡くなりました。親猫は、10年程して、阪神大震災のとき、行方不明になりました。モモ1号です。その後、友達から、仔猫を貰い、またモモと名付けました。思い出の猫達は、確かに、幸せをくれました。nejidonさんところ、いいなぁー!   りまの
      2021/02/03
    • nejidonさん
      りまのさん♪
      いえいえ、子猫の頃はみんなくっつきあっていますが、大きくなると個性が
      はっきり出てきて家から出る子もいますよ。
      就職する...
      りまのさん♪
      いえいえ、子猫の頃はみんなくっつきあっていますが、大きくなると個性が
      はっきり出てきて家から出る子もいますよ。
      就職するのかどうかは分かりませんが(*^^*)
      でもご飯は一日二回ちゃんと来るのです(笑)
      (でも不妊・去勢手術済みなので増える心配はないのです。)
      そういう子も含めての話。
      写真もいっぱい撮って、色々思い出していると泣けてきますね。どの子も恋しくて。
      おっと、今いる子たちが嫉妬するといけないから、この辺で。。。

      りまのさん、このコメント欄いっぱいだからもうストップしましょう!
      2021/02/03


  • 私たちが当たり前に接している文字
    あるのが当然と思っていた物語
    文字や文学がなかったら…

    ~「文学」は地球で暮らす人々の生活を形づくっているもの~
    ハーバード大学教授である著者は言う
    文学が私たちの歴史を形づくり、歴史が世界を形づくった経緯にについて考えているのに、
    文学を探索する際に机に向かっているのはおかしいのではないか…
    そう考え、著者は偉大なテキストや発明が生まれた場所を訪ねることに(楽しそう♪)

    斬新な物の見方と、文字や物語の歴史
    何気なく接していた文字や物語をこんな角度で見るとは!
    わかっているようでわかっていなかったことに何度も目から鱗が落ちる!

    ◇ギルガメシュ叙事詩
    最初の文字は5000年ほど前メソポタミアで発見された
    当初は経済や政治の記録を行っていた
    そう彼らが「書記」である
    当初の書記は高貴な身分であり、最初の官僚である
    物語の最初は「口伝」だ
    暗記している吟唱詩人が詠唱し、弟子や後継者に伝える
    それをいつしか書記が書き留める、すなわち物語を記録し始める
    ギルガメッシュ叙事詩の成立は紀元前1200年頃だが、起源はさらに1000年以上遡る
    (内容について少し触りがあるが、歴史の記録(洪水)、教訓とファンタジー要素が多く面白そうだ)

    書記は王の実権を揺るがすほどの力を持つ
    そこを危惧したニルヴェ(メソポタミア)の王アッシュールバニパルは自ら文字を学んだという
    文字を扱えるこの王は、自ら戦場に赴かず指揮することができるようになり、誰よりも情報や知識を蓄え、権力を中央に集約できた
    所蔵するテキストの保管場所として図書館を設立
    その中の一番のお気に入りは「ギルガメシュ叙事詩」であった


    ◇ブッダ、孔子、ソクラテス、イエス
    それぞれインド哲学、中国哲学、西洋哲学、キリスト教の師であるが、
    彼らの共通点は、文字がまさに普及する最中に敢えて書かないことを選んだ師たちだ
    対話によって教えを授けることにこだわった
    師と弟子を中心としたテキストが弟子たちによって出来上がった
    それは今までの王族のような手の届かない人たちの物語を読むのとは違い、
    より我々に身近で親しみやすく、生きていく上、生活の上でためになることがたくさんあるのだった

    ブッダ:師の文学、世を去って久しいが、その生涯や教えが書字技術と交わったことによって、カリスマ的な師の魅力をとらえた文学となる
    孔子:弟子の文学、儒教の経典となり中国文学の全体的規範そのものに
    ソクラテス:書くことをはっきり拒む なぜなら文字の影響力を理解していた 言葉を捉えることはできても魂までは捉えられない 文字が一人歩きすることを知っておりそれを懸念
    イエス:書かれていることはわたしの身に体現する、彼は聖書であり、聖書を体現する者


    ◇マルクス、エンゲルス、レーニン、毛沢東
    本書で圧倒的影響力を感じたのがマルクス・エンゲルスの「共産主義宣言」である
    工場労働についてのエンゲルスの知識と、哲学的ストーリーテリングについてのマルクスの知識の組み合わせが新しい強力な革命ビジョンを作り出した
    それが「共産党宣言」
    出版から70年足らずで最大の影響力を発揮

    まずはロシア人革命家レーニン
    共産党宣言に心酔する芸術家集団の予想外の後押しを受け、革命を成功させ、レーニンと貧困化した労働者階級を代表する党が国家を動かす
    そして各地に広がり、毛沢東、ホー・チ・ミン、フィデル・カストロ…
    「共産党宣言」は常にどこかに読者を見つけ、読者を転向させ、行動へと誘う
    史上最も崇められ、最も恐れられるテキストとなる
    時代遅れとみなされる一方、現代のグローバリゼーションに対する反発を予言していたと感じる読者を見つけることができている
    読み方が正しいかはさておき、現代の最も影響力の強いテキストのひとつ
    マルクスの意向に反して、書物が独り歩きした恐ろしい結果である(ああ、マルクスはこのことを知ったらどう思うのだろう…)
    生産者である生みの親から手を離れ、使い手が自由な解釈をし思想や信仰、革命に使う…
    ああ、これも一つの物語創生なのだ

    ◇ロシアの詩人アンナ・アフマートヴァ
    そのロシアレーニン死後、スターリンの時代のロシア詩人であるアンナ・アフマートヴァ
    彼女の生涯を通じて自由に文字を扱えない時代を知ることになる
    つねに公安当局の監視下にあったアンナ・アフマートヴァ
    詩を作り終えるとすべてを暗記し、書いた詩を燃やす
    一人では限界があるため、何人かの友人に暗記を託す
    当時のソビエトは詩に異様に執着する全体主義国
    芸術や文学の持つ影響力をわかっていたのだろう
    息子は何度も逮捕される
    アフマートヴァ自身は終いには国家の敵とみなされ、排斥される
    スターリンが死に、時代が移り、ようやく雪解けの時代へ
    地下出版から徐々に詩、随筆、小説、海外作品が世間に出るように
    アフマートヴァの「レクイエム」、そしてグラーク(収容所)の囚人の一日の生活を事細かに書いたソルジェニーツィンの「イワン・デニーソヴィチの一日」が陽の目を見る
    「イワン・デニーソヴィチの一日」は1970年にようやくノーベル賞を受賞する

    このように一個人にフォーカスをあてるとリアリズムが増し、恐ろしさを肌で感じることができる
    ある意味この章は私にとってフィクション作品であり、歴史の一幕を観たかのようであった


    ◇紫式部
    中国文学は伝統的に男性のだけのものであった時代
    賢く好奇心旺盛な受領の娘である紫式部は密かに漢文を覚えた
    が、そんな漢籍伝統を重んじない女性だからこそ生まれた新しい文学
    仮名文字で書かれた「源氏物語」
    作法や儀礼を綿密に描いており、読者にこの社会でのふるまい方を教えてくれる
    宮中での手引書として利用された
    はじめは指南書、それから歴史記録となり、現代の我々にとっては素晴らしき古典となる

    ◇千夜一夜
    なぜシェヘラザードはこれほどたくさんの物語を知っているか
    シェヘラザードの父親は国の最要職の大臣だ
    子供の頃から父の蔵書を好きに読んで良いとされていた
    王に語るシェヘラザードはある意味書記なのだ!
    そしてイスタンブールの「千夜一夜物語」と言われる「黒い本」の著者オルハン・パムクにインタビューも試みる

    他にも「イリアス」が愛読書であったアレクサンドロスが遠征とともにもたらした「言語」、「アルファベット」
    「聖書」はもちろん、海賊版が出現する時代のセルバンデス「ドン・キホーテ」、西アフリカの「スンジャタ叙事詩」…
    興味深い文学と歴史とその時代に何が起きて文字がどう影響したのか、伝達方法(印刷技術など)がどう発展したのか…
    普段の読書とは異なる角度から切り込む内容が興味深い
    すべてにおいて、初心者でもわかるよう丁寧なあらすじや歴史背景がまずあり、その上で解説や分析がはいるので、
    その物語や文学の触りも知ることができ、楽しめる工夫がたくさんある

    私たちが文字や文学や物語を当たり前のように使い、楽しめるのは先祖代々の歴史が連なった産物なのだと改めて実感
    そして現代の私たちは未来にどんな足跡を残していくのだろう
    あらゆることのできそうなAIも小説はまだ完全には書けない(人間の補助が必要だ)
    が、近い将来それも可能になるのだろうか
    そんなAIの書いた小説に私たちは心を揺さぶられたりするのだろうか…

    贅沢な内容と濃ゆい時間を満喫でき、大満足
    またしても読みたい本が増えてしまったのが悩ましいところ…
    そろそろ覚悟して「イリアス」と「ドン・キホーテ」をぜったい読もう
    「ギルガメシュ叙事詩」も外せない
    アッシュールバニパルに絡んで中島敦「文字禍」も読みたい
    「千夜一夜物語」も途中だから続きを早く読みたい
    オルハン・パムクは前から気になっていたから「黒い本」は外せない
    西洋哲学、東洋哲学も気になるところ
    困った困った…



    ------以下は備忘録の目次------

    アレクサンドロスの寝床の友
    宇宙の王―ギルガメシュとアッシュールバニパル
    エズラと聖書の誕生
    ブッダ、孔子、ソクラテス、イエスの教え
    紫式部と『源氏物語』―世界史上最初の偉大な小説
    千夜一夜をシェヘラザードとともに
    グーテンベルク、ルター、新たな印刷の民
    『ポポル・ヴフ』とマヤ文化―第二の独立した文学伝統
    ドン・キホーテと海賊
    ベンジャミン・フランクリン―学問共和国のメディア起業家
    世界文学―シチリア島のゲーテ
    マルクス、エンゲルス、レーニン、毛沢東―『共産党宣言』の読者よ、団結せよ!
    アフマートヴァとソルジェニーツィン―ソビエト国家に抗った作家
    『スンジャタ叙事詩』と西アフリカの言葉の職人
    ポストコロニアル文学―カリブ海の詩人デレク・ウォルコット
    ホグワーツからインドへ

    • ハイジさん
      アテナイエさん
      お返事ありがとうございます!

      「雪」のレビュー拝見しております
      色彩という表現を使われた素敵なレビューです!
      なんとなくア...
      アテナイエさん
      お返事ありがとうございます!

      「雪」のレビュー拝見しております
      色彩という表現を使われた素敵なレビューです!
      なんとなくアテナイエさんからのお返事とレビューを拝見する限り「雪」が興味深いです
      いつになるかわかりませんがこちらもぜひ読みたいです

      そうなのです
      「ドン・キホーテ」はあらすじ聞くと、「何が面白いのかしら?」(ごめんなさい)
      と訝しんでしまうのですが、これだけ現代も愛される作品には必ず理由があるということは理解できるので、その理由をこの目で確かめたいのです(笑)

      またイリアスは今後の読書人生において絶対に避けて通ることはできないと、もう一人の私が確信しておりまして…(笑)

      アエネーアスの情報までありがとうございます!
      ダンテの神曲から、ウェルギリウスが気になりましたので…
      ギリシア悲劇も…

      本が本を呼ぶのですね!
      身にしみております(笑)
      2023/06/14
    • アテナイエさん
      ハイジさん、こんばんは~

      こちらこそ、『雪』のレビューまでお読みいただきありがとうございます。ただ『わたしの名は赤』は、かなり人気を博...
      ハイジさん、こんばんは~

      こちらこそ、『雪』のレビューまでお読みいただきありがとうございます。ただ『わたしの名は赤』は、かなり人気を博した作品で、サスペンス仕立の、長編ながらスピード感もあるので、これもいいと思います。

      >「ドン・キホーテ」はあらすじ聞くと、「何が面白いのかしら?」(ごめんなさい)
      と訝しんでしまうのです

      うふふ、ハイジさん、おもしろい! たしかにひとそれぞれ笑いのツボがありますものね。あらすじだけだと確かにそうなるかもしれません(^^
      でもお薦めします、はい。

      ハイジさんは『イーリアス』に惚れこんでおられるようですね。スゴイです。ギリシャ古典と聖書は西洋文学の源流のようなものですものね。それをベースに次々におもしろい作品が生まれている感じがします。なので私は昔からこの源流散策と、その川下りが大好きです。よく川に落ちてひどい目にあいますけど。

      といいつつ、最近は中国文学の大河に流されて、どうにもうまく泳げません(笑)。今年はすこし腰を据えて、気長に楽しく取り組んでみたいと思います。



       
       
      2023/06/14
    • ハイジさん
      アテナイエさん

      「源流散策」
      的確な表現力にいつもアッパレです!
      私も古典を読むようになり気づけば遡ってばかり…
      本の世界以外でも「源流」...
      アテナイエさん

      「源流散策」
      的確な表現力にいつもアッパレです!
      私も古典を読むようになり気づけば遡ってばかり…
      本の世界以外でも「源流」は大好きです!

      中国文学もとても気になります
      アテナイエさんが史記のレビューをしてくださるのでは…と密かに心待ちにしておりました(笑)
      中国文学って面白いですよね
      そもそも歴史が面白いですし
      また私も中国文学も追いかけたいです!
      腰を据えられるみたいなので、どんな書物が出てくるか楽しみです!
      すでに
      唐代伝奇は気になっております!
      2023/06/14
  • 物語る技は、文字⇒紙⇒印刷と発明・発達し、生まれる「基礎テキスト」は伝播力を増し、世界は「書かれた世界」として形づくられていくという。「文学」のゆくえにベクトルを与え、秩序だてて見せるのはハーバード大の先生。こう気宇壮大に語るのは、なかなか日本人にはできません。「源氏物語」は紛れもなく日本の「基礎テキスト」ですが、それを世界文学史の講義で紹介して頂くのは有難い。でも、残念ながら「源氏物語」を読み通した日本人は極めて少なく、その価値を海外の人たちに説明できる人はさらに少ないのは恥ずかしい限りです。

    • nejidonさん
      myjstyleさん、地球っこさん(^^♪
      大ウケしましたがビックリはしませんでした(笑)
      地球っこさん、目論見は外れましたね~うふふ...
      myjstyleさん、地球っこさん(^^♪
      大ウケしましたがビックリはしませんでした(笑)
      地球っこさん、目論見は外れましたね~うふふふ。
      そもそもあのレビューはおふたりを誘っているのですよ。今バラしますが。
      ほらほら、ここに面白い本があるから来て。というところです。
      myjstyleさんが言われる通り、学術書ではありません。
      読書エッセイとでもいいましょうか。楽しくて読みやすいです。
      源氏物語の考察も、日本人であるワタクシも「!!」となりました。そう、特に仮名と和歌のところね。
      海外からこんなに熱い視線を送ってくれているのに、日本人が読まないのはもったいない。
      「あさきゆめみし」は読み終わった後塗り絵にしてしまいましたけど(笑)
      2021/01/30
    • 地球っこさん
      myjstyleさんのおっしゃるどおりでした……笑
      nejidonさんは、びっくりされませんでした。ガーンΣ(゚口゚;

      なんとまた、...
      myjstyleさんのおっしゃるどおりでした……笑
      nejidonさんは、びっくりされませんでした。ガーンΣ(゚口゚;

      なんとまた、nejidonさんの美味しそうなお料理の匂い……じゃなくて、興味深いレビューに堪らずふらふら~と誘われちゃいました。

      読書エッセイ、たしかに楽しく読みやすかったです(まだ『源氏物語』の章だけですが)
      まず面白くて、ばぁーと読んでしまったので、これからじっくり読んでみます。

      本の感じだけで、「難しそう」と読まず嫌いしていたら勿体無い本ですね(*^^*)

      2021/01/30
    • myjstyleさん
      そうです。
      まだ1月なのに、nejidonさんが今年一番とかいわれると、ほおっておけませんよ。

      2019年にクルレンティスの来日公演...
      そうです。
      まだ1月なのに、nejidonさんが今年一番とかいわれると、ほおっておけませんよ。

      2019年にクルレンティスの来日公演を聴いた時、あまりに感動して、
      まだ、2月だったというのに今年一番のライブだと思ったのを思い出しました。

      誘われてしまったのですね。(笑)
      2021/01/30
  • 重厚な装丁の、テーマは文学。ブクログでレビューを拝見しなかったらたぶん一生読まなかったであろう1冊。そして、読んで良かった1冊でもあります。
    (図書館で借りたのですが、4,500円という価格もなかなかインパクトありますね…)

    本著の内容は、歴史の中で物語が果たしてきた役割…というだけではなく、物語が歴史を作ってきた側面もあって、なるほど「文学の偉大なる力」を実感できます。
    "Written World"という原題に対して、「物語創世」という邦題をあてているのもまた面白い。読む前は正直あまりピンと来ていませんでしたが、読み終わってみると非常に良いタイトルだなぁと感じます。
    ちなみに、翻訳も非常に読みやすかったです。あと、本著はサイズがデカい割にページあたりの文字数はさほど多くないので、意外とスイスイ読み進められます。

    本著で取り扱われているのは有名な物語が多いので、「あぁ、これか」くらいの感じで各章を読み始められるのですが、読み進むにつれて意外な事実を知らされ、著者の力量に感心させられます。
    例えば、『ドン・キホーテ』であれば、なぜあのような展開になったのか?という背景、おそらく初めて著作権や海賊版といった問題に直面した本であること、等々。こんな調子で16章も続くのだから、著者の知識の幅広さと言ったら。
    あと、個人的には源氏物語の章があるのが嬉しいです。「宮中での作法の手引書」として利用されていたというのは、神話としての物語から、より現実に則した物語への変容を感じました。

    マヤ文化のくだりを読んで感じたのは、文字そのものの多様性が、人類の文化や発想の多様性を育んできていたのでは?ということ。アルファベットは確かに便利なんだと思うのですが、長期的に見たらどうなのか。その意味では、日本語も大事にしないといけないですね。

    ただただ面白がって読んでも良いし、それでも考えさせられる引っかき傷が結構たくさんできそうな良著でした。
    それにしても、私自身はホメロスもまだ読めでないし、この"Written World"は果てしないですね。。

  • レビューはブログにて

  • ☆物語が書き記されたことで、英雄が生まれ、歴史が作られたのだ。

  • 成毛眞氏がFacebookで「ボクにとって2019年最高の本になるかもしれない。」と太鼓判を押していた本なので、期待を込めて読んでみました。
    いやー読み応えあります。凄いです。
    3連休の後半は、この本、にどっぷり浸かりました。
    人類史上"文字"が生み出された事で遥か昔の事も後世に伝わることを、紀元前から現代に至り、更に世界中に渡って、物語(本の中では「基盤テキスト」と称される)が創られた背景に迫ってます。

  • 文字と文学の歴史、テクノロジーと文化がどのように発展してきたか。
    文字は楔形文字から表音文字、メディアは粘土板からパピルス、羊皮紙、紙、インターネットへ。印刷は、彫り、手書き(写生)、印刷、テキスティングへ。その発展とともに文字の総量が増大して行って文化に対して影響を与えていった。受けては、古代は特殊な能力を持つ書記。カトリックの聖職者はラテン語で聖なる文書を独占していったが、印刷によりローカライズ版が大きく広まる。焚書も効力を印刷により無くしていった。現代はさらに増えていき、どの瞬間でも文字を打ち出す読むことができる。

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著者プロフィール

マーティン・プフナー(Martin Puchner)
ハーバード大学バイロン・アンド・アニタ・ウィーン演劇/英語学/比較文学教授。哲学から芸術までをカバーする著書多数、多くの受賞歴がある。またNorton Anthology of World Literature(全6巻)の編者として、そしてハーバード大学が配信するMOOC(大規模公開オンライン講座)を通じて、4000年にわたる文学史を世界中の学生に紹介している。2019年6月20日、『物語創世:聖書から〈ハリー・ポッター〉まで、文学の偉大なる力』の邦訳が刊行された。

マーティン・プフナーの作品

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