街の灯 (HONKAKU mystery masters)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163215709

感想・レビュー・書評

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  • 昭和初期、上流階級のお嬢様・花村英子と当時珍しい女性運転手・別宮みつ子(ベッキーさん)との日常のやりとり。
    連作短編「虚栄の市」「銀座八丁」「町の灯」の三篇収録。

    北村さんはどうも「日常の謎」「優等生」的なイメージがあって苦手意識があったのですが、今回このシリーズの三作目(最終巻)が出版されたとときわさんのレビューで拝見しましたので手にとってみました。
    このころの雰囲気が好きなのです。それが北村さんの紡ぐ文章ととても合っていて期待通りでした。
    ときわさんどうもありがとうございました。

    ベッキーさんがとにかく魅力的。
    運転手兼お目付け役兼用心棒。そしてどうやら知識もかなりのものらしく、お嬢様の疑問に真摯な姿勢でとても的確かつ深遠な答えを返してきます。
    軽く返さず、少し間をとり考えてから返すところがまたいいのです。
    正体はまだまだ謎のようで、先がとても楽しみです。

    お嬢様も単なるお飾りとしてではなく、当時の上流階級を渡ってゆく厳しさは心得ているようで、そのあたりも読んでいて面白かったです。

    あとお兄様の雅吉もいいですね~。
    ドラマ「篤姫」のお兄様を思い出しました。

    時代的にこれからどんどん軍国主義が台頭してくるのでしょうが、そのあたりもどうなるのか気になるところです。

  • 久しぶりに読んだ北村作品。円紫師匠シリーズ以来かな?いや「スキップ」がイマイチで(SF好きにとっては、ですが)その後手が出なかったのだった。去年(?一昨年?)何で今さらという感じで直木賞をとった「鷺と雪」を今頃読む気になり、シリーズ1作目からスタート。

    最初は、昭和初め頃の華族の世界、という設定になかなか入っていけず、途中で挫折するかと思った。中途半端に非現実的で。時折出てくるダジャレもなんか興ざめ。ベッキーさんと呼ばれるスーパーな女性運転手の像もうまく結べない…。それでもさすがにだんだん引き込まれて、結局はまずまず満足して読了。次は「玻璃の天」だ。

  • 2003年11月16日読了。以下、過去の日記から抜粋。

    北村氏の新シリーズになるのだろうか。
    古き昭和の濃い匂いが立ち込める東京を舞台に、
    社長令嬢・英子とそのお抱え運転手ベッキーさんが活躍する。
    ベッキーさんは女性の運転手という珍重な存在。
    運転も勿論だが、ボディガードとしての腕も立つ。
    そのうえ、頭の回転も早く、非常に頼りになる。
    そのため、多くの人間がベッキーさんに興味を抱く。
    しかし、現代以上に身分にこだわる時代ゆえに、
    ベッキーさんは温和ながらも、固く口を閉ざすのである。
    きっとその背後には多くの秘密が潜んでいるはずなのに、
    北村氏はそれを匂わせはするものの、全く漏らさない。
    そのため、私達もベッキーさんの存在に虜になる。
    私だってもう少し若ければ、せめて10代の頃であれば、
    こんなお姉さんがほしい、こんな先輩がいたらな、と
    間違いなく憧れてしまうであろうステキなベッキーさん。
    彼女がいったい何者なのか、気になるなぁ。

  • 今よりだいぶ前、昭和初期くらいの時代背景のため、最初は正直読みにくかったけど、そこはさすが北村薫。

    優しい文章もあって気付いたら読了。

    面白かったです。

    時代の持つ、和と洋が少しずつ混じった独特の雰囲気に浸れます。

    直木賞受賞作を読む前に、シリーズ最初から読もうと思って読み始めたんだけど、これは続編ふたつも楽しみです。

    賞物っておもしろくないイメージがありますが。
    しかしベッキーさんがミステリアスすぎる。どう続いていくのかね

  • 明治初期を舞台に、社長令嬢の英子と女性運転手ベッキーさんが日常に潜む謎を解き明かしていく物語。三篇じゃ物足りない!続きが読みたくなるお話でした。

  • おもしろいよ♪とすすめられて読んでみました。
    最初は、「この感じがずっと続くの?」って思いながら読んでいたら、
    ベッキーさんが出てきたあたりから、急に面白くなって
    夢中になって読んでしまいました。
    最後まで読んでみて、ちょっとした探偵モノ?推理モノ?シリーズなのか・・・と少し残念でしたが、
    2作目も読みたくなります。

  • 昭和七年、上流家庭の令嬢と若い女性運転手ベッキーさんのシリーズ第一弾。探偵ものとまではいかない事件の謎解きなのだが昭和初期のレトロな感じの「時代」と最強「ベッキーさん」が魅力的。直木賞受賞作「鷺と雪」を先に読んでしまったので最初から読むことにした。英子の兄雅吉もとぼけていていい味をだしていた。

  • 09年10月12日開始
    09年11月18日読了

     直木賞を受賞したベッキーさんシリーズの第1作。昭和初期が舞台。女子学習院に通う女学生が主人公。相変わらず北村薫が描くこの年代の女性は生き生きとしてるね。

  • 新シリーズ開始。昭和初期の東京が舞台。レトロな雰囲気が魅力。
    てっきり「ベッキーさん」が探偵役かと思ったけれど、そういうわけじゃないんだ。意外。だけどそれでも「ベッキーさん」はかなり魅力的なキャラクターなので、これからの展開は非常に楽しみ。いっぱい秘密もありそうだしね。
    それにしても北村さんの作品を読むと、引用されているものが気になって仕方がない。「虚栄の市」すごく気になるなあ。あと、「街の灯」も有名なのは知っているけど、見たことがないし。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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