少女外道

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784163292403

感想・レビュー・書評

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  • 外道というほど強く酷いものはない。
    他人様に知られれば里には帰れない「恥」とか「体面」とかが色濃くあった時代の話だけれど、その中を秘密の心を持ってかい潜ってきたであろう作者の言葉が、重みはあるが難しくない文体で読みやすい。
    そこはかとない好意自体がエロティック。不思議な読書感。
    「巻鶴トサカの一週間」「標本箱」が好き。
    70代後半時の作品とは信じ難い感性。すごい。ちょっとはまる。

  • 7つの短篇。
    少女外道、巻鶴トサカの一週間、隠り沼の、有翼日輪、標本箱、アンティゴネ、祝祭。

  • 標本箱と祝祭のラスト

  • 戦争期を舞台にした、寂寥が漂う少女たちの物語。繊細な感性がすごくこの年頃の少女っぽかったです。

  • 声を大にして言いたい。
    皆川先生最高。私にとって、装丁から何から、こんなにも美しくて、持っていたい本を生み出される先生はほかにいない。

    この一分の無駄もない美しい言葉の羅列。
    旋律から醸し出される息苦しさは決して過剰ではなく、けれど眩暈を引き起こす。
    読者に媚びる展開は一切ないのに、余韻はいつまでも読んだ側に残響する。

    先生が紡ぐ物語は生きている。
    登場人物たちは、この世界のどこかで、ひっそり息をしている。

  • あの時代を生き抜いてきた人にしか描けない彼岸の物語。

  • 短編集。

    読み終わると、ぞわぞわする。
    苦手だなと思ってもやめられない。

    もしかして、好きなのかな。

    1930年生まれの作家さん。
    言葉の使い方、好きだな。

  • 戦時中から戦後の時代を背景に描かれている短編集。淡々と語られる世界が美しかったです。表題作の静かに狂気が姿を表す「少女外道」と自然に死の世界へと足を踏み入れる「隠り沼の」が特に好みでした。

  • 少年の憧憬と狂気が描かれた「有翼日輪」、日本家屋のしっとり冷たい空気があるなぁと思った「祝祭」が気に入った。

  • 表題作を含む、昭和の時代を感じさせる七編の短編集。

    図書館で借りて読了。

    まず題名に惹かれて。「少女」と「外道」て…!組み合わせの妙というか、この題名の響きだけでご飯三杯くらいいけそう。それから装丁が素敵。

    読み終えてみると、外道ってほどでもないかな…と。題名から期待しすぎたかな、と思ったけれど、七つの物語を通して、禁忌、「あってはならない」と主人公達が自覚する感情を内に持て余し、やがて肉体だけをこの世に置き忘れたように生きる退廃的な様が印象的だった。確かに道を外れてしまっているけれど、外道というほどでもないと思うのは、彼らがそれを他人に押し付けずに自分の中だけで壊れていくからかな、と思った。
    空の描写がとても綺麗。

    「標本箱」が好き。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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