- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784163292403
感想・レビュー・書評
-
外道というほど強く酷いものはない。
他人様に知られれば里には帰れない「恥」とか「体面」とかが色濃くあった時代の話だけれど、その中を秘密の心を持ってかい潜ってきたであろう作者の言葉が、重みはあるが難しくない文体で読みやすい。
そこはかとない好意自体がエロティック。不思議な読書感。
「巻鶴トサカの一週間」「標本箱」が好き。
70代後半時の作品とは信じ難い感性。すごい。ちょっとはまる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
7つの短篇。
少女外道、巻鶴トサカの一週間、隠り沼の、有翼日輪、標本箱、アンティゴネ、祝祭。 -
標本箱と祝祭のラスト
-
声を大にして言いたい。
皆川先生最高。私にとって、装丁から何から、こんなにも美しくて、持っていたい本を生み出される先生はほかにいない。
この一分の無駄もない美しい言葉の羅列。
旋律から醸し出される息苦しさは決して過剰ではなく、けれど眩暈を引き起こす。
読者に媚びる展開は一切ないのに、余韻はいつまでも読んだ側に残響する。
先生が紡ぐ物語は生きている。
登場人物たちは、この世界のどこかで、ひっそり息をしている。 -
あの時代を生き抜いてきた人にしか描けない彼岸の物語。
-
短編集。
読み終わると、ぞわぞわする。
苦手だなと思ってもやめられない。
もしかして、好きなのかな。
1930年生まれの作家さん。
言葉の使い方、好きだな。 -
戦時中から戦後の時代を背景に描かれている短編集。淡々と語られる世界が美しかったです。表題作の静かに狂気が姿を表す「少女外道」と自然に死の世界へと足を踏み入れる「隠り沼の」が特に好みでした。
-
少年の憧憬と狂気が描かれた「有翼日輪」、日本家屋のしっとり冷たい空気があるなぁと思った「祝祭」が気に入った。
-
表題作を含む、昭和の時代を感じさせる七編の短編集。
図書館で借りて読了。
まず題名に惹かれて。「少女」と「外道」て…!組み合わせの妙というか、この題名の響きだけでご飯三杯くらいいけそう。それから装丁が素敵。
読み終えてみると、外道ってほどでもないかな…と。題名から期待しすぎたかな、と思ったけれど、七つの物語を通して、禁忌、「あってはならない」と主人公達が自覚する感情を内に持て余し、やがて肉体だけをこの世に置き忘れたように生きる退廃的な様が印象的だった。確かに道を外れてしまっているけれど、外道というほどでもないと思うのは、彼らがそれを他人に押し付けずに自分の中だけで壊れていくからかな、と思った。
空の描写がとても綺麗。
「標本箱」が好き。