私のマルクス

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163698304

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優さんが1975年に浦和高校に入学して、85年に同志社大学大学院神学研究科を修了するまでの回顧録みたいなもの。マルクスを通じてこの世界を描写すると29項に書いておきながら最後のページには「私にとってマルクス主義は行動の規範にならない。行動の規範はあくまでもイエス・キリストである。」と書いている。本を全体的に眺めてみてもマルクスではなく、あくまでも神学について書いているような気がする。誤読したかな? 専門的なところは難しくてわからないけど、佐藤優の高校入学から大学院卒業までを描いた青春小説としてはすごくおもしろい。この人の人格形成が何に拠っているのかがよくわかる。読んでる本の質が違いますからね。デカルト、パスカル、ヘーゲル、ハイデッガー、フォイエルバッハ、マルクス、フロイト、ニーチェ、ウィトゲンシュタイン、ホルクハイマー、トマス・クーン。博覧強記とはまさにこの人のこと。この人には遠く及びません…。印象に残った言葉を一つ挙げるとすれば堀江先生のこの言葉、「本当に好きなことをやって食べて行くことができない人は、私が知る限り、一人もいません。ただし、ここで重要なのは本当に好きなことでなくてはいけません。中途半端に好きなことでは食べて行くことができません。」(110項) とはいえ、それを見つけるのがどれだけ大変か…。

  • 氏の高校から大学院にかけての自叙伝。
    どんな少年時代をおくったら、高校生で資本論を読みこんで、自分の意見を持つことができるんだろう?
    こんな人が身近にいたら、ものすごく影響を受けるだろうなぁ…

  • マルクスの経済分析は普遍だが、全ての社会がプロレタリアート独裁の共産主義に移行するという点には同意できないってことやな。

  • 佐藤さんはよく考える。
    よく勉強する。
    よく覚えている。

    いろいろ考えはするけど ここまで勉強が続けられるひとは

    あまりいないと思う。

    読書にしても 著者と対話ができているというレベルまで読み込むのであろう。だからこそ
    誰の思想がどうなってという抽象的な話も
    身につくのだと思う。

    マルクスや無神論はともかく
    知的営みはこうあるべきといった
    姿を具体例として示してくれている
    好著。

    私も頑張ろうー!
    おーっ!

  • 佐藤優の学生時代。「私のマルクス」「自壊する帝国」「国家の罠」と読み進めば、学生時代、ロシアでの外交官時代、日本での外交官時代、獄中と通観することができる。先生と仲間と、大いに語り合い、意見をぶつける様が描かれる。以下備忘録的に。/組織には固有の悪があります。もし自分の信念に反するという気持ちが生まれてきたら、周囲の人間関係に流されず、組織を離れることです。(堀江先生)/私はプライドに価値を認めない。プライドこそが人の目を曇らせ、情勢分析の判断を誤る原因になる/神という作業仮説をできるだけ回避することが、僕は人間として誠実なあり方だと思う。(イスラエルの友人)/「”ほんもの”とはどういう意味だ」「言っていることとやっていることが分離していないという意味だ。それから約束を守るということだ」/人生なり、研究なりを真剣に掘り下げて、その先に他の人々ともつながる地下水脈はあるのだろうか。ないならば、僕は一生かけて水の出ない井戸をただ掘っているだけになるんじゃないか/ただ僕は学者には向いていません。真理に関心がないんです。真理はいくつもあると思うんです。/思考停止をせずにいつまでも考え続けていくためには強靭な意志力が必要だ。/J.L.フロマートカ「なぜ私は生きているか」読んでみたい。/

  • 高校の時からの思考が違いすぎる

  • マルクスについて深い造詣

  • 学生時代のパワフルさには脱帽。与えられた命を力の限り生きている気がししました。

  • 佐藤優の高校入学から、外務省入省までの自叙伝的な小説。後半2/3の、同志社大学神学部入学以降は、「同志社大学神学部」と重なる点も多い。

    高校1年生でヨーロッパから、東欧を旅行したところから、同志社で多くの人との関係の中で、鬼才の才能を少しずつ発揮していく様がわかる。それにしても、本当にアカデミックなことが好きな人間であると同時に、本質を見抜きたい願望が強い方なんだと思った。なかなかここまでの人には会ったことがない(というのが、自分の限界でもあるなと感じていますが)

    登場人物の人間としての弱さが、さらっと書いてあるのが非常に心が惹かれた。人間は、立場はともかく、このような生き物なのかもしれないと思う。

  • カール・マルクスの両親はともにユダヤ教のラビの家系。共産党とは別の神学とマルクスのつながり何て初めて知らされた。そもそもマルクスの資本論なんて難解そうだぐらいのイメージしかなかったから、経済入門にマルクス入門書でも読んでおかないといけないかと感じた。
    佐藤優は鬼才だと思う。本書の内容も半分以上理解不能だった。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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