- Amazon.co.jp ・本 (712ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163804705
作品紹介・あらすじ
メイン州の小さな町チェスターズミル。人口およそ二〇〇〇人。その町は突如、透明の障壁に囲まれた。上方は高空に達し、下方は地下深くまで及ぶ。"ドーム"と呼ばれるようになった障壁は、わずかな空気と水と電波を通すのみ。パニックのなかで、命を落とす者が連続する。そこで動き出すのは町を牛耳る男ビッグ・ジム・レニー。警察力を掌握したビッグ・ジムは混乱に乗じて恐怖政治を開始した。"ドーム"のなかで一触即発の内圧が高まりはじめる-。アクセル踏みっぱなしの小説を書く-そう決意して、"恐怖の帝王"キングが、その才能と筆力のすべテを恐怖と緊迫のために叩き込み、全一四〇〇ページを一気に駆け抜ける。巨匠の新たなる代表作、誕生。
感想・レビュー・書評
-
重厚の一言。ある日突然謎のドームに覆われた田舎町。混乱する状況の中で登場人物たちが繰り広げるドラマ。極限状況に置かれたとき、人間って自分のエゴをむき出しにするんだな。登場人物がとても多く、覚えきれないぐらい。でもそれぞれのキャラクターが立っているので、場面が切り替わっても面白く読める。ただ、長い、長すぎ。でも読まずにはいられない。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
年末年始の空き時間を全て費やしたと言っても過言ではない。とにかくStephen Kingの小説の中毒性にはヤラレっぱなしである。とある米国中西部の田舎町が突然見えない障壁(ドーム)に封鎖されたところから始まる、醜悪な人間模様・・。外界から遮断された世界で閉じ込められた集団が常軌を逸していく様は、本編でも引用されている通り『蝿の王』を連想させる。上巻の段階ではドームが発生した理由も、その顛末も全く分からないが、グイグイと読ませるキングの語り口にとことん酔うことができる。開いたら最後、ページをめくる手が止まらない、という意味でもキングの本は本当に恐ろしい。
-
久しぶりのキング。小さな町がドームに覆われてしまう。人も物も入ってこれないし出てもいけない。震災直後の隔絶された状況が生々しくてしばらく積読状態だった。読み始めると、これがとまらない。(なんとガイガーカウンターまででてくるではないか)小松左京の「首都消失」や「物体O」を思わせる設定ですが、米国のTVシリーズを思わせる雰囲気も漂わせます。すぐに暴動が起こってしまうあたりがビッチな米国だな。
出張泣かせのこの厚さだけど、やっぱりキングは面白い。下巻へ突入! -
「著者あとがき」でキングはこう言っている。
「アクセルをフロアまで踏みっぱなしにする長編を書くのがわたしの目標だった」と。
もともとこの人は、自ら認める登場人物のやたらと多い長編が大好物の作家なれど、本書も堂々たる長編だ。
上下巻併せてなんと1396ページ。しかも二段組みときた!!!
本書はキング作品中、三番目に長い小説なのだそう。(No.1はいわずもがなの『IT』である)
でも、このボリュームもなんのその。本当に最後までアクセルベタ踏みの面白さ。ブレーキなどキングの辞書にはない。
舞台は、アメリカ、メイン州の小さな田舎町チェスターズミル。
人口わずか2000人のこの町はハロウィンを控えたある日、突如として現れた<ドーム>によって囲い込まれ外界と完全に遮断される。
その瞬間、<ドーム>の境界線を飛んでいた鳥たちや飛行機、地上を走行していた車はこの障壁に激突し大破し、境界線上にいたウッドチャック(山ねずみ)や境界線上にあった自宅の庭で草むしりをしていた女性の手首は、ギロチンが降りてきたかのようにすっぱりと切断された。
上空はおよそ1万メートル、地下にいたっては見当すらつかない。
無色透明のこの障壁は、ごくごくわずかな水や空気、電波は通すものの、弾丸もミサイルによってでさえ破壊不可能。電気、ガス、水道といったインフラも遮断された。
この日、すんでのところで町を出て行き損なった元陸軍兵士のバービーは、この異常事態に対処するために、古巣のコックス大佐に連絡をとる。
<ドーム>の正体は一体何なのか。なんのためにそれは出現したのか...。
人々はパニックに陥るが、この機に乗じて町を完全に自分のものにしようと考えていた男がいた。
この町の中古車ディーラーにして、第二町政委員のジム・レニー 通称ビッグ・ジム。
<ドーム>によって突如として外界と隔てられ、閉鎖空間となったチェスターズミルは、ビッグ・ジム一派の悪意によって、日を追うごとに悲惨な状況となっていく。まさに「どこもかしこも血の海だ」というほかはない。
これに対抗するのは、バービーとその仲間たち。医療助手のラスティ、新聞記者のジュリア、天才少年”スケアクロウ”ジョー。
チェスターズミルは短期間のうちに秩序を失い、そればかりか金星なみに生存が劣悪な環境に変わって行く。
<ドーム>で起こった出来事は、地球がこれからたどるかもしれない出来事の縮刷版なのかもしれないとも思う。
閉ざされ、破滅にむかって突き進んでいく中であってさえ人間は歪み合う。それはさながら「どこもかしこも血の海」の地獄絵図だ。
しかし、「それ」を観察し、楽しんでいる好奇心にみちた「目」の存在を思うとき、恐怖はより一層高まる。
その「目」を持つ存在は、確かに神と呼んでさしつかえない存在なのかもしれない。だがそれが「神」であっても、人間のことを愛しいるわけでもないし、慈愛に満ちた目で見守っているわけでもない。
ことあるごとに、牧師が「そこにいないお方」に対し捧げてきた祈りは、馬鹿げたジョークであり、そのジョークの対象は自分たち人間であったことを悟る。
「どうしてこんな酷いことをするの?!」という少女の叫びに、牧師は答えることができない。
他方で、あの希代の悪人ビッグ・ジムは、皮肉なことにクリスチャンなのだ。但し、キリストの教えは彼の中では都合のよいようにカスタマイズされてはいるが。
このキングの宗教観は、なかなかシニカルで現実的だ。ついでに言えばイカしているとさえ思う。
ラストがまた巧い。
そこには万能薬たる「愛」の働きはない。でも確かに「何か」を感じさせる。だからこそ真実を感じさせる。 -
1冊目
ドームが出てくるところから始まる
じわり、じわりとヤバい方向に話が進んでいく
上巻については最後の方になるまではそれほど無茶苦茶面白いというわけではない
最後に一気に話が動いていくので、読む場合は下巻も手に入れてからのほうが良いと思う -
キングの作品って、特に上下巻ものの上巻は冗長に感じられます。なかなか何も起こらないなーという印象。もちろんだからといってそれが無駄なわけじゃなく、その緻密な設定によって後半の展開が臨場感溢れるものになるわけですが。それでも前半は退屈というのがやや多い。
しかし。今回の作品は出だしから事件が起こります。まさしく「アクセル踏みっぱなし」。突如ドームに閉ざされた町。ドームに切断されてしまう物や人というショッキングなシーンに始まり、人々の間に渦巻く陰謀やつのる焦燥感に煽られての暴動、そしてビッグ・ジムによる恐怖政治。盛りだくさん要素がぎゅう詰めです。
そんな状態でどんどん進む物語。ドームの正体が何なのか、そもそもこれは天災なのか人災なのか。そこここで蠢く怪しい人々。次々起こる事件。そしてついに起こってしまう、とんでもない大惨事。これにはもう愕然と言うほかありません。まさかここまでとは……!
かなり悲惨な物語の部類なのですが。ラストは決して大団円とは言えないのだけれど、どこかしらほっとさせられました。 -
Dlifeでテレビドラマ版を観たが、あれとはほぼ別物といっていい。登場人物こそ同じだが、それぞれの行動や役回りがまったく異なる。映像だと顔と名前が一致しやすいが、小説でこれだけ登場人物が多い(しかも当然だがカタカナ、記憶力の衰えた現状では……)と、誰が誰やら……。
しかも驚くほど暴力的で、冒頭からホイホイ人が死ぬ。ドームの出現時に死んでしまった人はお気の毒としかいいようがないが、その後の展開で殺されてしまった人は……。
正直、ここまですさまじい小説だとは予想していなかった。テレビ版もかなりエグかったが、あれでもマイルドになっていたのだなと思った次第。 -
オモロいがな。下巻に突入!
-
とりあえず上巻の動きは思ったほどのろくなくて、ごく普通に、異常事態が起き、悪い奴らがいて、善い人達がいて、話が展開している。すごく惹き込まれるような謎とか怖さではないけど、まあまあ面白い。
面白さのひとつは、主人公のバービーが魅力的だから。他所者のコックさん、でも実は腕の立つ元軍人。その元軍人が強制的に大佐にさせられて、大統領命令で最高責任者になれと「外」からせっつかれていても、いろいろ忙しく立ちまわった挙句、「それであんたは何をするの?」と聞かれて、いつもの店でみんなに食べさせる料理を作る、と言うところが、なんだかすごくよかった。でも上巻の最後では予想通りのことになってしまったので、さてこれからどうなるんでしょう? -
2015.9 長い。登場人物が多すぎる。最後は読み飛ばしながら読了。