- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163817705
作品紹介・あらすじ
秘密を抱いた青年と一匹の相棒は“最後の旅”にでた
現代最強のストーリーテラーによる、青年と猫のロードノベル。あたたかな光溢れるラストまでどのページにも忘れ難い風景が広がる傑作です!
感想・レビュー・書評
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野良猫だったナナを保護して5年間暮らした後に事情で手放すことになり貰い手を探し友人宅を訪ねる話なんですが猫好きならば、手放すって言葉聞いただけで号泣必須なのでもうこれは作者の確信犯的号泣作品だと感じてしまいました。
♪飾りじゃないのよ涙は フッフ~
って中森明菜なら強がったかもしれない。
1人暮らしの悟が愛猫を手放す理由など天地が裂ける程のことしか考えられないわけでしかも5年間も一緒にいたとなると猫時間では20年一緒に過ごしたことになるのだから耐え難い別けれのはず。
小学校、中学校、高校時代に知り合った友たちを訪ね語られるエピソードはナナに聞かせてるようで益々離れずらくなる。悟の境遇は周りからみれば不幸の塊のようにみえるのですが本人は少しもそれを感じていないし感謝している。いるんですよねたまにこうゆう人、自分の痛みには鈍感で神経ないのかって思えるのに、人の痛みはビシバシ感じちゃう人って、どんなけんいい人なんだって思うとここでも涙が溢れる訳で作者のコズルさを感じてしまう。
だから私は必死にこらえて読んだんです。できるだけたあいもないことに目を向けて。銀色のワゴンとか、海や山、初めて乗ったフェリーとか、雨の境にかかった虹とか、真っ赤なナナカマドの実とか...。
後首を摘まんで持ち上げて、後ろ足をたたんでファイティングポーズをとる猫はネズミを捕る猫だって知らなかったけど、ナナがそういってるんだから信憑性ありそうですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これはダメだ。心に刺さりすぎる。愛猫が亡くなって直ぐに読まなくてよかった。きっと余計に愛しくなって、悲しくなって立ち直れなくなっただろう。
涙が滲むくらいの読書経験は、ドライな私にでもある。でも、これはボロボロと出た。そこに家族が来たから慌てて顔をこすって誤魔化した。
ほっこりなお話が続いて幸せいっぱいの中、このお話だけは間違っても辛い方には行かないで欲しいと何度も思った。余裕で、「悟がいい人過ぎ。こんなにいい人いるわけないよな」なんて毒づいたりもした、
でも、もう亡くなったけど、数年前までうちにいた猫のトトは、本当に、この悟レベルで優しかったな。と思い出していると、じゃあもしかして人間でもこれくらい、いい人いる可能性もあるのかな、なんて段々少しだけ思えてきた。良いお話マジックだ。
悟とナナの世界がとても素敵で、羨ましい。だけど、私にもトトがいたんだな、ちゃんと…と思った。もういないけど、この二人と変わらないくらいしっかりとした絆と愛情で結ばれていた。久しぶりにトトを想って少し泣いた。
悟とナナが好きな場所に咲いていた紫と黄色の組み合わせでお花を花壇に植えよう。そういえば昨日植えたヴィオラは紫と黄色(オレンジより)だったな。そして映画も見よう。また号泣するだろうけど。 -
本をさっぱり読まない娘に、有川さんの『三匹のおっさんふたたび』と
『空飛ぶ広報室』にリボンをかけてプレゼントされたのは、クリスマスのこと。
思わず涙ぐんでしまうくらいうれしかったのだけれど
どうしてこの2冊? と、心の中に盛大な疑問符を描いていたのです。
ところが数日後、暮れも押し迫ったシネコンのロビーで、この『旅猫リポート』を
「クリスマスに間に合わなかったけど、これもプレゼントに追加ね!」と渡されて。
聞けば、どうしても3冊セットでプレゼントしたかったのに、行動範囲にある本屋さんを
ことごとく回っても、『旅猫リポート』だけ軒並み売り切れだったのだそうです。
その日、映画を見るために車で出かける、シネコンの入っているショッピングモールに
大きな書店があるのを思い出し、こっそり電話をかけて訊ねたら
奇跡的に1冊だけ置いてあるとのことで、今日必ずお金を持っていくので、と
頼み込んで予約扱いにしてもらい、やっと手に入れたとのこと。
「この3冊が揃えば、ママの大好きな有川さんのキャンペーンに応募できて
劇のチケットか、特別カバー版が当たるかもだから、忘れないで応募してね」
と言われ、よりによってシネコンのロビーで、映画を観る前から
映画にはまったく関係のないことでぽろぽろ泣いている、
挙動不審なおばさんと化してしまったのでした。
そんなこんなで、手にした瞬間から泣かされたこの本に
読んでいる間も、読み終わってからも、さらに泣かされるとは。。。
猫のナナがこれからも幸せに暮らせるよう、手放すための旅に出る心やさしいサトル。
とことん一緒にいることが、自分にとってもサトルにとっても幸せなのだと知っていて
そのことにサトルが気づくまで、辛抱強くお見合いの不成立を画策しながら
サトルの旅につきあう、賢いナナ。
車に轢かれ、とりあえず生き延びるためだけに声の限りに鳴いてサトルに救われ
ナナという雄猫としては微妙な名前をもらい、サトルのために野良猫を廃業したのに
一日にたった一度でもサトルに会うため、極寒の札幌で
温かく不自由のない飼い猫の暮らしを捨て、
吹雪の中をさまよう野良猫に戻るナナに、もう涙が止まりません。
「ナナに会いたい」という、サトルの最後の願いをちゃんと察知して
サトルに命を救われた日以来初めてあげる咆哮の切ないこと!
でも、サトルとナナの出会いが、遠く離れた会うはずのない人たちを温かく繋げ
人付き合いが極端に苦手な叔母さんに、
人の輪に加わるきっかけと「自分の猫」を育てる喜びを与え
そして何よりも、サトル自身、ナナ自身に、きらめくような喜びに満ちた
5年間を与えてくれたことを、けっして忘れたくありません。
こんな本に出会えるからこそ、まだまだがんばって生きて
読めるだけ本を読むぞー!と思っているけれど
「その時」がきたら、ママのお棺にはぜったいこの本を入れてね、と
娘には頼んでおきました。
そうすると、万が一、娘が本を読むようになった時、
この本の感動が味わえなくなる惧れがあるので
娘の分の『旅猫リポート』は、今度は私が買って、プレゼントするのです♪-
はじめましてkです。
評価が高くて気になってフォローさせていただきました。
まろんさんのレビューは、まるで物語のようで読んでいてとてもほ...はじめましてkです。
評価が高くて気になってフォローさせていただきました。
まろんさんのレビューは、まるで物語のようで読んでいてとてもほんわかした気持になります。今後読む本の参考にしたいと思ってお邪魔させていただきました。こちらこそよろしくお願いします。2013/02/13 -
kさん☆
コメントありがとうございます!
本のレビューにかこつけて、ついつい身近にあったうれしいことや
書いておかないと忘れてしまいそうな...kさん☆
コメントありがとうございます!
本のレビューにかこつけて、ついつい身近にあったうれしいことや
書いておかないと忘れてしまいそうな、こどものころの話を
心の広いブクログ仲間さんたちが温かく受け入れてくださるのをいいことに
書いてしまっているのですが、
そんなふうに言っていただけて、ありがたい限りです(*^_^*)
私こそ、kさんの本棚には、未読のおもしろそうな本がいっぱいで
読みたい本リストに張り切ってメモしているところです。
これからもどうぞよろしくお願いします!2013/02/13 -
もう、1年くらい前に読み終えていた。
ちょっと、感じたことを書くのには、温めすぎたかな?
過ぎし日々を思い出しております。もう、1年くらい前に読み終えていた。
ちょっと、感じたことを書くのには、温めすぎたかな?
過ぎし日々を思い出しております。2014/09/01
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はい、泣けました。とってもいいお話でした。
ネタバレにもなりそうだし、みなさんが沢山素敵なレビューを書いているので今回は割愛。
本当の猫好きとはなんぞやと考える。
私の考える猫好きとは決してペットショップで愛猫に出会ったりしない。
迷い込んで来たり、拾ったり、知り合いがもてあましているのを貰ったり。
それはある種の偶然、運命みたいなもので猫は向こうからふらりと飼い主の元へやってくる。
神様の贈り物のように。
逆を言えば猫を飼いたいと思っていてもなかなか見つかるものでもない。
猫好きは猫の種類を自慢したりしない。
チンチラ?アメショー?スコティッシュ?それが何か?
うちの猫、とっても綺麗な八割れなんだよ。
うちの猫なんか両足ソックスだぜ。
うちの猫の尻尾見て、変な形でしょ~。
え、うちなんて三毛のオスだよ!!(←最強)
愛猫家の猫自慢てこんな感じだろうか。
この本に出てくる人々は私の考える猫好きさん達ばかりだ。
私からまことに僭越ながら猫好き認定証を差し上げたい。
さて、私が昔一緒に働いていたある女性の話。
その彼女がある時猫を車でひいてしまったことがあった。
命は助かったその猫を助けようと、とうに病院が閉まっている夜間、必死に病院を探した。
やっと一軒の病院にたどりつき助けを求めると、獣医は怪我が治った後もこの猫に責任を持てるなら手術します、出来ないなら治療はお断りしますと。
彼女は手術をお願いし、猫は助かった。
退院後、彼女は事故現場近くに沢山の張り紙をして飼い主を探したが結局見つからなかった。
足が不自由になったその猫は彼女の猫になった。
この本を読んでふいに彼女の事を思い出した。
きっと彼女とその猫は運命だったんだろうと。
サトシとナナがそうだったように。
私の運命の猫はどこにいるんだろう。
おまえか?それともおまえか?と我が家の猫達をぐりぐりしてみてみる。
手ごたえないな~(笑) -
猫好きな優しい青年悟と、元は野良の愛猫ナナ(オス)。ひとりと一匹の「最後の旅」の物語。
猫は得意ではないから入り込めるかなと、その心配は無用だった。表紙の印象からほっこり癒されそうな、そんな心持ちで手に取った本だった。が、不意打ちに物凄い感動、心が締め付けられるようだった。
なぜ最後なのか、近づきつつある後半にざわざわしながら。
泣ける、切なくて、運命が惨くて、だけど最後は強さをもらえた。例え、大切な人の姿、形がなくなっても、ずっと心の中で生き続ける。綺麗ごとのように聞こえるかもしれないが、後に次ぐものと、魂はともにあるのだと。そこで強さをもらっていると。少しだけ歳を重ねたせいか、その意味が分かりつつある気がする。人はそういうふうに出来ているのだと。最近、ある人からその言葉をいただきふっと腑に落ちた。
旧友を訪ねあるく場面では、やっぱり自分も懐かしくなった。友達との出会いは偶然だったなあって。例えば、出席番号が前と後ろとか。なかなか声を掛けられない私は、思い切って話しかけ友達になれた。そういうドキドキした瞬間とか。各場面で自分と重なり、思い出したり、悟とナナ、そして悟の友達やノリコの心情に移入したり、一緒に回想の旅をしているようだった。旅をするストーリーは良いなと思えた。
悟の境遇が辛すぎて。だけど悟は言う、自分は幸せだったと。何をもって幸せと捉えるか。いまさらながら考えつつ読むことができた。
特に、Report-3.5 最後の旅は良かったです。
「浅い弧を描く虹の足はしっかりと丘を踏みしめている。その弧を追っていくと、もう一方の足も別の丘を踏みしめていた。虹の根元なんて僕は生まれて初めて見た。」虹の根元、なんて素敵な表現。私も見てみたい。
ナナが脱走し、野良に戻って悟に会いにゆく場面はやるせなくてたまらなかったです。
同じ景色を見ながら言葉を交わす喜び。
僕らは本当に本当にたくさんのものを見たね。
私はナナで。いつかは悟の気持ちにもなる。
私のリポートは続く。
ラスト数行、これがメッセージだと思う。
しっかり、伝わりました。
映画化されていたと知り、アマプラで探したらあった。
が、さわりだけ見て、止めてしまった。自分の頭で描いたイメージのまま、閉じ込めておきたいなと思ったから
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ずいぶん前に読んだのは『絵本 旅猫…』の方だったかな。登場人物&猫が皆、過去を背負いながらも懸命に今を生きてる、そして繋がってる。
清々しい読後感! -
泣くのは分かってたんです。
でも読むのを止められなかった。
自分もワケあって
5年間一緒に住んでいた黒猫(ヤミクロと言います)と
今離れて暮らしています。
そして5歳で死に別れた親父や
自分を捨てたお袋と最後に行った家族旅行の地が
物語終盤の舞台となる北海道だったことなど、
あまりに自分の状況や生い立ちとシンクロして
どうにも涙が止まらなかった。
5年間一緒に暮らしてきた
サトルとナナという野良猫。
しかしある理由から
サトルはナナを手放さなきゃならなくなり、
引き取り手を探すために
銀色のワゴンに乗り
昔の旧友の元へと旅立つことになります。
ナナは新しい引き取り手と出会う旅の中で
海の碧さや怖さを知り、
富士山に圧倒され、
馬や鹿に驚き、
サトルが見たナナカマドの実の赤や
完璧に弧を描いた二重の虹を
一生覚えておこうと心に誓うのです。
狩りをできない茶トラの子猫に
生きる術を教えるナナのシーン、
ナナと甲斐犬のトラマルの
主人を想うがゆえの
一歩も引けない喧嘩のシーン、
まるで「俺たちに明日はない」の
ボニーとクライドの名場面を思わす
詩情溢れるススキの海の中
ナナとサトルが
お互いの絆を確かめ合うシーン。
物語の中の印象深いシーンの数々は
そのまま自分とヤミクロの思い出と重なり
どうしようもなく
胸を焦がしていく。
最後までサトルの猫で居続けるために
暖かい場所を捨て、
野良になることも辞さない
ナナの誇り高き魂。
犬も猫も動物はみな
見返りを求めたりしない。
ただただ一所懸命に
愛するだけ。
動物に触れて
初めてそれが柔らかいことを知って、
世界は自分が思っている以上に
柔らかくて脆いことを知ったし、
震えてるあったかい小さな体は
日だまりの匂いがして、
愛しいという気持ちを初めて覚えた。
言葉を話すことのできない彼らに
人間が教わることは
たくさんあります。
しかし有川さん
箱型のテレビは猫の乗り心をそそるとか、
猫はいくら飼い主であろうと
己の信ずるところに従うなど
猫のことをホンマよう分かってるなぁ(笑)
ああ〜
無性にヤミクロに
会いたくなりました(>_<)-
円軌道の外さん、こんにちは!
なんと、愛するヤミクロちゃんと今は離れ離れの生活なんですね。。。
先だってのお引越しと関係しているのでしょう...円軌道の外さん、こんにちは!
なんと、愛するヤミクロちゃんと今は離れ離れの生活なんですね。。。
先だってのお引越しと関係しているのでしょうか。
猫好きなら涙なしには読めないこの本ですが
そんな状態で読んだら、なおさら涙が止まりませんよね。
サトルの気負いのない優しさ、ナナの愛と覚悟に胸打たれる物語でした。
人と猫が一緒にいられるのは、長くても十数年。
私も、交通事故のせいでたった3年しか一緒に過ごせなかった子もいました。
でも、長かろうと短かろうと、巡り会って共に過ごせた幸せは消えることはありませんよね。
ヤミクロちゃんにも、円軌道の外さんの気持ちはしっかり伝わっていると思います!2013/05/29 -
まろんさん、
コメントありがとうございます!
そうなんですよ〜(>_<)
今会社の寮に入ってるので
猫飼えなくて
泣く...
まろんさん、
コメントありがとうございます!
そうなんですよ〜(>_<)
今会社の寮に入ってるので
猫飼えなくて
泣く泣く預かってもらってる状態なんです…
あのワガママ坊主が
何度となく
預け先を逃げ出そうとした話を聞くと
いても立ってもいられなくなるし、
1日でも早く迎えに行ってやらなきゃって思います(T_T)
まろんさんもツラい別れをされてるんですよね。
動物は、特に猫や犬は
ちゃんと記憶があるらしいですよ。
優しくしてもらったことは
忘れないんです。
猫は臆病やから
人間の笑顔が一番好きやし。
だから辛いことがあったとしても
最後の最後まで
笑顔見せてあげて
楽しい記憶を小さな心に
残してあげたらって思います。
それが人間ができる
一番の恩返しになると思うし。
例え別れても
共に過ごした思い出は消えてなくなるわけじゃないですよね。
2013/06/12
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はい、猫も犬も大好きです。それはさておいて・・・
あああ・・・最後の方はこんなに私に涙があったかと思うほどの大号泣
なんでしょうね・・涙もろくなったのか、いや、もともと涙もろいのも確か。
でも、面白かったのです。
また明日からの読書に、楽しさが増すのです。 -
猫を飼い続けることが出来なくなったサトルが新たな飼い主を探す旅に出る。このラストエピソードに共感する。
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昔、高校生の時に真っ白くてちょっとふっくらしている子供の猫が庭に遊びに来ていた。まだ、成長仕切れてない子供体型と、まん丸で瞳孔が最大限に開かれた黒目の愛くるしさに、思わず私はかがみ込んで「おいで」と手のヒラを上にしてその猫に差し出した。おそらくは飼い猫あるいは飼い猫だったのであろうその子は、何の躊躇なく私に近づき、すり寄ってきた。それがまた、可愛くて、しばらく私はその子と遊んでいた。そこに母が加わりしばらく一緒に頭を撫でていたのだが、「早く、お家にお帰り。またね。」と、母は私を連れて家に入った。猫は不定期にふらふらと同じくらいの時間にやって来るので、しばらく遊んで帰らせた。
初めて会った時は真っ白だった毛並みがだんだん薄茶に変わっていくその猫に母が「野良ちゃんになったの?」と聞いていた。
猫は答えることもなく、ただ自分が来たい時にきて遊んで帰った。
それからしばらくて、柴犬を飼い始めて、猫は全くこなくなったし、私も不定期に来ていた猫のことは忘れてしまった。
そして、この本を読んだ時に「やっぱり俺さまで、書かれている」と、昔遊んだ猫のことを思い出した。
物語は、元野良猫・ナナは、サトルの銀色のワゴンのボンネットがお気に入り。ある日、交通事故で怪我をした時、サトルに保護されてから「サトルの猫」となる。サトルはある理由で、ナナを手放さなければいけなくなり、彼の昔の友人たちのところにナナを連れてお見合いに行く。小学校の同級生・コースケ。中学校の同級生・ヨシミネ。そして高校の同級生・スギとチカコ夫婦。しかし、お見合いは失敗に終わり、サトルとナナの旅も終わりを迎える。
空前の「猫ブーム」で、『猫好きの方この本を読んだら、ナナがどこにも貰われることがないので、ひょっとして保健所なぁ?』とか『サトルの過去? でも、涙腺崩壊のように書いているけどなぁ?』など考えていたが、サトルがナナを手離す理由が出てこない…私のひょっとしての予想が、本作の後半で的中した。思った通りの展開だったし、作者の「ここで泣かせよう」というのが明らかにわかったものの、やっぱり私も崩壊までいかなかったものの、横にいた主人に「鼻がシュルシュルいってるよ。風邪ひいた?」と、言われてしまった。
猫って、本当にわがままな生き物だなぁと思っていた、いや、今も思っている。本作でも、野良猫としての誇りを持ち、上から目線で物申す。見直したのは、最後のナナの脱走劇だ。本作で猫はわがままではなく、信念を貫いているような記載があったが、ナナのこの行動の裏づけのように思えた。
作者の意図(泣かせることが意図ではないとは思うが)ハマってしまった。