金色機械

著者 :
  • 文藝春秋
4.02
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本棚登録 : 827
感想 : 155
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163825601

感想・レビュー・書評

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  • 分厚さに怯むも、読み出したら止まりませんでした。
    でも、タイトル思い切りネタバレというか、まぁネタはすぐにバレるんだけれども、未来のかぐや姫…っていうより、思いっきり『★ターウォーズ』のC-3POっての?の脳内イメージが払拭できず、金色様が出てくるたびに最初は興醒め(笑)。
    でも、このズレ感が癖になってきて、「幕引き」のくだりはおっ♪と思えました。
    恒川さんは金色お好きだなぁ。
    前作の『金色の獣…』にも似た雰囲気なのかな。どんな内容だったか忘れちゃったけど(^^;;
    個人的には初期作品を超えるほど好きにはなれませんでした。
    読後感の良し悪しよりも、読書そのものを楽しめる、そんな一冊。

  • 儚い物語が多く、興味深く読めた。遥の人生が儚く思えた

  • 金色機械…?
    ん?時代モノ?
    …あ、金色…機械‼︎
    となりました 笑。

    ストーリーをかいつまんで説明しようとすると途端に荒唐無稽で陳腐になりそうなのに、読んでるうちは全く気にならない。読みやすいのに安っぽくならないのは、文章力がすごいんですよね。時代モノで月から来たスーパーな金色機械の話なんて違和感しかない設定なのに世界観にすっと入り込めます。

    一見バラバラに見えた話が読み進めていくうちに一つに繋がっていく本って本当に面白いです!繋がりに気付いて"はっ!"となる瞬間は快感。

    遥香の手で向こう側へいけたのなら、金色様にはやっぱり魂があったんですね。
    魂の入れ物が違うだけで。
    魂の輝きの色が違うだけで。
    心がありましたよね。
    お疲れさまです金色様。
    1人でしんどかったね。

  • 『夜市』を読んで、この作家にハマった。
    謎多いストーリーを、飽きさせず読ませる。
    初期設定がそもそも明らかになっていないまま、そのまま終わる。
    いろんな人物の生き死にを読み、その人生を知る。
    ああ、こうやって生きてきたからこそのこの最期なのかなぁ、とか。
    こんなに頑張ってきたのにこうなるの、とか。
    感じることは多くあった。

  • これはおもしろかった!
    このひとは長編ファンタジーをもっと書くといいのに。

    舞台は日本。時代物ファンタジーってどんな?と思った。
    人の殺気が目に見える女郎屋の主,そこへ訪れたのは命を終わらせることができる娘。
    お話自体は二人の過去と,その二人にかかわる人たちの視点で書かれていて,徐々に集約していくところが先へ先へと読み進めさせる。
    さらにそれぞれの視点にちらちら登場するのは不思議な金色ボディーの人型近未来機械。はるか昔に宇宙より来たりて,ひっそりと隠れ住む一族を守り守られてきたというこの金色様が物語の核となっています。でもこの近未来機械あくまでも脇役なところがとてもいい。ぜんぜんターミネーターじゃない。どこか寂しいというか,悲しきアンドロイド感がとてもいい。

    最後やっぱり少し物悲しいところが良い余韻としてのこりました。これはもう一回読みたい。絡まる人間関係をしっかり把握しながら読み直したい。

  • 途方もなく長い、その上時系列も前後するため間を空けて読むと人物の相関関係すらわからなくなる…それでも物語にのめり込み克服すればこれほど面白いものはないのではないかと不思議な感動に包まれる。
    これまでの恒川作品とは趣きが異なり時代物とSFにファンタジーが混在する壮大なパラレルワールド。
    ちょっとネタをバラせばあの存在はまんま3POだしラストはT2じゃねーか!と突っ込みたくもなるのだがそんなことはご愛嬌程度で済まされてしまうのはやはり緻密に計算された構成の力なのだろう。
    これだけ読んでもまだ読みたいと思わせる…恒川光太郎恐るべし

  • 2015年、7冊目。
    そして、2015年、恒川光太郎、3冊目。
    今回は江戸時代のとある、山合の地方の町とその周辺を舞台にして、時系列を行き交い、様々な登場人物の視点で描かれている。それらが、実に的確に噛み合いつつ、ストーリーが進行していく。
    そして、金色様と遥香の誓い。金色様が真に望んだモノ(コト)とは……。
    全体的には、時代SFファンタジーで括られるかとは思うが、個人的には、イイ意味で、特撮時代活劇(うる覚えの記憶の「風雲ライオン丸」)のような感覚。
    しかし、コレが日本推理作家協会賞受章作なの??
    それでも、今回も、『金色の獣、彼方に向かう』解説(293p)にあるよう
    「恒川作品に駄作なし」

  • おもしろかった~~~!!
    結構厚いですが、読み始めたらとまらないです!

    暮れ六つの鐘が、と始まるところで、
    おお、時代ものかあっと始まる物語。
    しかし、時代もので金色機械、機械??っと思いつつ読みすすめていくと、なにやら金色さま、というものがちらりとでてくる。
    最初、異国人ネタなのか?と思ったんだよなあ。
    柳原さんのマンガでもあったが、金髪ってのが異形の者に思われるって設定なのか、と。
    が、どうも違うようだ、と思っていたらその金色さまサイドでの語りが始まって、びっくり!!
    いやー、さっすが恒川さん、思わぬものを見せてくれるなあ。
    まあ、結局、どこから、どうやってきたのか、とかは
    分かんないですが、いやあ、すごい設定だー。
    しかも、殆どSF設定なのに、SFっぽさがない、とゆーか。機械なんだけど、機械じゃない、とゆーか。
    そして、だんだんと人間関係がつながってゆくとこが、
    うわあ、そこにくるかあって感じで、ぞくぞくしちゃいました。
    今回はあんまり恒川さんのホラー感は薄かったように思いますが、時代ものなんだけど、とてもユニークなものを読ませてもらったなあ、という感じ。
    いやーほんっとおもしろかった!!

  • いやー!良くできてた!おもしろかった!
    恒川光太郎は夜市がピンとこなくて、それ以来読んでなかったんだけど、読みやすい上に設定が細かく作り込んであって隙がなかった!
    久々にぐいぐい引き込まれて勢いよく読み切った。
    おもしろかった!

  • 江戸時代、常識を超越した存在の「金色様」と、女をさらい盗み殺しも行うならず者の巣窟の「極楽園」。これらに人生を翻弄される人々の、恩讐と因縁の絡まった物語。
    ときにユーモラスな「金色様」の存在、描き方が出色でした。かなりに残酷ばかりな人々の生きざまのなかに、裏方である人知れぬ存在である金色様の個性がときに救いのように紛れ込んでいて、おかしみを生みます。
    人の縁は計り知れぬものです。
    恨みが、慕情が、計画が、ときにくるりと裏返る。
    どんなに深い根を持つそれらも、くるり、くるりと。
    その揺蕩う感情を持つ人間というものの愚かさと、そしていとしさを感じた物語でした。

    普段の恒川氏の物語には「知らぬ間違うところに迷い込む」というような側面があるように思うのですが、今回のお話はその感覚とはちょっと違いました。より広大な幻想性を物語全体から感じ取れました。
    つまり、物語という壮大な嘘に酔わされる気持ちよさに浸れたのでした。しあわせでした!

  • 図書で読んだので本自体はなかなか分厚かったが、すらすら読めた。
    私の中でこの本の主題は"改心"であると感じた。人の生まれは様々で選ぶことはできないけど、育てられた環境で如何様にも変わることが出来るんだと。著者の二冊目でしたが、なかなかいい本だった。

  • 何年か前に読んだ本を再読。時代が前後し、同じ場面が再び現れたりして混乱したが、終盤でようやくわかった。月から来た金色様の活躍に胸がスッキリすると同時に恒川氏の描写力に感銘した。

  • 江戸時代の荒涼とした風景に相俟って、金色様が不気味な存在感を放っていた。謎が解けていくに従って、実在した話のような錯覚を覚える。主な登場人物紹介一覧があったら親切だと思った。

  • 戦国から江戸時代を舞台としながらも、すんなりと物語へ入って行けました。
    恐るべし、恒川ワールド。

    天の民と幽禅一族、そして金色様。
    作中で登場する2つの特殊能力。
    面白かった!

    こういうの好きな人には岩明均さんの漫画『七夕の国』オススメです。

  • 深雪が子供が生まれてから弓の練習をしなくなった下りで、絶対続ける方がいいでしょ…鬼御殿はまだあるし…とおもったけど、理由になんか納得した。ずっと合理的に行動できないよなー長い人生だし

  • 職場の先輩に教えて頂いた作家さん。どっぷりと物語に浸りました。良かったです。

  • 2020.4 荒唐無稽といえばその通りなんだが、切ないし読ませる小説です。

  • 懐かしい切なさがある。

  • 恒川光太郎の長編。
    まったりと異世界に連れて行ってくれる。

  • 非常に面白い物語です。

    江戸時代のどこかの地方。宇宙船の故障により月に帰れなくなった人々。彼らが救助を待つため、住民と最小限の接触を保ちながら暮らす鬼御殿と、その長を支えるロボットの金色様。それとは無関係の、手で触れることで命を奪う能力を持つ家系。非常に変な設定であり、かつその理由や詳細は全く説明なし。ただ背景としてデンと据えてある感じです。伝奇物語。

    こういうツッコミ所満載の設定は苦手な方なのですが、そうした奇妙さが気にならないくらい面白い。
    小気味良い文章、登場人物たちの方向の違いはあれど前向きな個性、時間軸をばらした構成、サスペンスフルなストーリー展開など、色んな要素が交じっているのだろうけれど、とにかくページをめくる手が止まらなくなる。450頁ほどの分厚い本ですが、サクサク読めてしまいます。戦いのシーンも多くアクティブな話なのに、何をしてもどこか薄暗く、もの哀しい。このあたりが恒川さんの「味」ですね。

    『夜市』や『風の古道』の印象が強く、恒川さん=ノスタルジック・ホラーという私の認識を変えたほう良さそうです。昨年読んだ『無貌の神』もそうでしたが優れた幻想譚の書き手と考えることにします。

著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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