脳科学は人格を変えられるか?

制作 : Elaine Fox (原著) 
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901008

感想・レビュー・書評

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  • 「側坐核」を刺激すると強い快感が得られ、「扁桃体」を刺激すると恐怖や不安を強く感じる。

    そんなことまでわかっていたことにまず驚いた。

    本書では「楽観主義者」を脳科学の観点から、つまり理論的に、分析している。

    底流には著者自身の楽観主義的な考え方が流れているようで、本書自体がポジティブ。

    例えば、ロンドンの複雑な道を記憶したタクシー運転手の海馬は3倍に肥大しているとか、脳細胞は年をとっても新たに生まれるとか、本書を読む全ての年代の読者がポジティブな読後感を持てるような内容になっている。

    ぼくが置かれている環境は、恐怖は少ないと思うけれど、不安は多い。これは、現代の日本人の平均的な感覚だと思う(少し楽観的に寄っているかもしれないけれど)。
    そんな中で、少しでも、不安を軽減するヒントがあれば、と思って読んでみたのだけれど、それなりの収穫はあったと思う。

    "楽観主義者とは、大きな目的に向かって没頭したり、意義ある目標に到達するために努力を重ねたりできる人々なのだ"
    "豊かな人生を送りたければ、ネガティブな気持ちをひとつ感じるごとにポジティブな気持ちを三つ感じるべきだということだ。ポジティブな感情の体験とは、たとえば驚嘆や思いやり、満足、感謝、希望、喜び、性的欲望などであり、ネガティブな感情とは怒りや軽蔑、嫌悪、困惑、不安、悲しみ、恥などだ"(バーバラ・フレディクソン)

  • 瞑想、マインドフルネスが日々行うことで強化されることが実験でわかったかとの事だ。辛い時にたまにするだけだったが、ジョギングと一緒で習慣化する。
    この本は最新の脳科学が解き明かした我々の脳の働きを簡潔に説明している。メンタル的な弱さを自覚し、しかしながら、対策が打てていないなら、本書は最適ではなかろうか。抑うつなどの仕組みや対策など、ただ問題を述べるのではなく、対応方針的なものも提示しているので役立つ。
    構成や文章の長さが絶妙であり、読みやすい。名の売れた作者の一部を取り上げた本よりは、一冊で間に合うという利もありそうだ。

  • 楽観と悲観、いい比率がある。3:1だそうだ。脳の可塑性のこと、エピジェネティックのこと、いろいろ興味深かった。ただ、若干長い。

  • 気合いとか思い込みとか気分とかで片付けられてしまう物事を、科学できちんと解説しようとする試み、それが真摯に継続されていることに感動。今まで色々読んできたものの、現時点での集大成がここにある。

  • 【性格を決定する遺伝子を発見した?】快楽と不安の二項対立。修道院の奇妙な実験。恐怖を感じない女。成長するタクシー運転手の海馬。脳科学が明らかにする驚異!

  • 鬱や不安神経症、あの人が嫌いだなどのネガティブ思考を変えられる鍵が、ロジカルに書かれている!日本の精神病院を経験した看護師の私でも、すごい!って思った!こんなこと、習ったことない!薬治療ばかりの日本の精神科医療に朗報となるかも!

  • 脳科学の知見を楽観主義、悲観主義の観点からまとめた本です。人にはそれぞれのアフェクティブ・マインドセットがあり、レイニーブレインとサニーブレインのバランスで成り立っている。レイニーブレインは扁桃体が担い、サニーブレインは線条体などの快楽中枢が担う。楽観主義に生きることが幸せをつかむ元だが、人間には悲観主義に向かう認知のバイアスがあり、それらを訓練で修正することで、楽観主義になり、ハッピーになれると著者は説いています。認知行動療法などは流行で、受け入れられる部分もありますが、やはり簡略化され過ぎていて、著者が批判している、「なんでもうまく行くさと考えていれば、幸せになれる」という考え方と、まだ大差がないような気もした。彼らの主張では、楽観主義の脳は左脳に偏っており、左脳に傾くと楽観主義となり、幸せになれると言っているが、今の右脳ブームの文献と整合性が取れているのだろうか?学術論文と違い、本は自身の主張に合った文献に偏って、引用する傾向があって、偏っている心配があるように思う。それでも、脳科学は人格を変えられるか?という刺激的なテーマで楽しく読めるとは思います。

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