マンモスの抜け殻

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914756

作品紹介・あらすじ

ニッポンの介護は限界だ!

アフターコロナの介護業界の闇に迫る社会派ミステリー。
高齢化が進んだ団地は、都心の限界集落といえる。ここでは、独居老人の孤独死も多発している。そんななか、この場所で、介護施設経営者が殺害された。
殺人事件を担当することになった警視庁の刑事、介護施設で働く男、被害者と会っていた美人投資家。事件をきっかけに、かつて団地で育った3人の幼馴染が再会。容疑者となった旧友を救うため、刑事が駆ける。

感想・レビュー・書評

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  • 巨大団地で殺人事件が発生する。
    そこの団地で育った刑事が、事件を解決していくというミステリー。
    だがそれだけではない。
    高齢化が進んだ今では、介護施設はなくてはならないが果たして満足のいく場所なのか…
    働いている者たちの勤務体制は…
    刑事の母親が認知症では…と思い始めたことにも繋がり介護業界の闇にまで迫っていく。
    同じ団地で育った幼馴染の2人が、介護施設に関係してたこともあり、最後まで目が離せなかった。

  • 推理小説の形をした介護関連の問題提起作品とでも言えるような内容でした。
    かつて同じ団地で育った子供達が長じてそれぞれの道を歩んでいるのだけど、その今は寂れ果てた団地の一角で殺人事件が起きる。そして殺された人物はあまり褒められない高齢者で且つ長じた三人に縁あるのです。
    介護施設の内情や実態をキチンと書いてあって違和感なく読めます。昨年末の出版作品なのでリアルタイムな環境や背景がかなりよく分かります。

  • 毎回、様々な社会問題を描く作者。
    今回のテーマはアフターコロナの介護業界の闇。
    巨大団地で起きた介護施設経営者の殺人事件。
    捜査一課でかつてその団地に住んでいた刑事と、経営者の施設で働くヘルパー、現在は女性実業家となった幼馴染3人を軸に事件解決だけでなく、介護の現場のブラックな勤務体系や診療報酬の水増し、昭和の時代にこぞって建てられたマンモス団地の現在から貧困の問題まで、盛沢山に描かれている。
    事件そのものは、犯人が明かされてみれば、もっと早い段階で気づかないものなのか・・・と思うぐらい、引っ張っている感は否めない。
    しかし、主人公3人の幼少期の貧困の様子は自分の幼少期に重なるし、巨大団地の過疎化は現代社会の象徴であり、介護の問題はもはや全く関係ない人などいないのではないかと思うぐらい、次から次へといろいろなことを考えさせられる内容だった。
    ベースを警察小説にしているので、最近の作者の作品の中ではページ数の割には読みやすかったけど、少し詰め込み過ぎだったかなぁ。
    もっといろいろ分けて作品にしても良かった気がする。

  • 殺人事件で背景は重い。
    老後の問題。
    それを食い物にしている人達。
    ミステリーの題材なんですけどね。
    背景が身に積まされます。

  • 説明
    ニッポンの介護は限界だ!

    アフターコロナの介護業界の闇に迫る社会派ミステリー。
    高齢化が進んだ団地は、都心の限界集落といえる。ここでは、独居老人の孤独死も多発している。そんななか、この場所で、介護施設経営者が殺害された。
    殺人事件を担当することになった警視庁の刑事、介護施設で働く男、被害者と会っていた美人投資家。事件をきっかけに、かつて団地で育った3人の幼馴染が再会。容疑者となった旧友を救うため、刑事が駆ける。





    高齢者が多くなってきて 介護施設で働く方達は大変だろうなぁと想像する。
    自分もいつか、お世話になるかもしれない場所。
    旦那さんの両親がお世話になっていたので 介護士さんには頭が下がります。
    医療の発達で 平均寿命は伸びて喜ばしいことなのかもしれませんが その後の事も考えないとね…
    健康寿命から 本当の意味での寿命までが 長ければ長いほどしんどい日々が続くんだよね。

    住んでいない家もあちこちに増えてきたと思ってた。新しい家もあちこちに増えてる。
    何が建つのかな?って思ってたら 戸建の家かマンションってことが多いように思う。
    人口は減ってるし 結婚する人達も減ってるだろうに 辻褄が合わないような…

    最後の方まで あまり犯人は誰か?って考えることなく読んでたように思います。
    推理小説というより 現在の日本のあらゆる問題を考えさせられる内容だったなと思いました。

  • 真犯人が浮かび上がってから一気に真相に迫ったせいかそれまでの大半が色褪せてしまったような気がする。どうしてチェリーホームじゃないとダメなのかという理由も描かれてはいるが薄く、いっそのこと環の意地と言ってもらった方がスッキリする。熊谷の脅しにも屈しそうになって、最終的ににはクビにしたが初期の時点で不正の証拠も掴んでいたのだから強請られる前にさっさとクビにできたと思う。介護問題と貧困問題を組み合わせる点は素晴らしいと思うが、筆者にしては構成が雑で期待したほどではなかった。

  • 骨太な捜査モノというだけではなくて現実世界の社会問題が根底に横たわっている点が読ませる。犯人やトリックがメインでは無い新ジャンルの警察モノとしてシリーズ化を望む。

  • 刑事物+高齢化社会、介護問題、認知症、貧困…社会問題を絡めて読みごたえあった。

  • 死体発見というミステリー推理に、介護問題、介護ヘルパーの低収入、戦後に建てられ取り残された団地、社会問題てんこ盛りのなかで、進められていく捜査。
    刑事自身もまた、母親の介護というこれから起こりうる問題が頭にちらつきながら捜査をすすめていく。

    担当する刑事もこの団地で育ち、この事件を機に幼馴染二人と再会する。同じ団地で育った三人が、当然だが今はまったく別の人生を歩んでいる。

    どこで、どちら側に、どんな状況に陥るか、自分を振り返らずにいられなくなる作品。
    読めば、どれか一つの社会問題に自分も足を突っ込みかけている、そういう違った恐ろしさを感じます。

  • いつものようにスイスイ読めたが、終盤、何となく読めてやや期待ハズレでした。

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著者プロフィール

1967年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、時事通信社へ。経済部記者を務める。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。『震える牛』がベストセラーに。『血の轍』『ガラパゴス(上・下)』『不発弾』『トップリーグ』他、映像化作品多数。主な著書に『ファンクション7』『偽金 フェイクマネー』『復讐の血』『共震』『アンダークラス』『Exit イグジット』『レッドネック』『マンモスの抜け殻』『覇王の轍』がある。

「2023年 『心眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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