ノウイットオール あなただけが知っている

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917207

感想・レビュー・書評

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  • ブラックジャックばりの高額料金をふっかける名探偵、M-1を目指す高校生コンビ、失恋続きのOLに未来人や魔法使いまで…
    地方都市•切縞(きりしま)市を舞台に繰り広げられる5つの物語。“あなただけが知っている”真相とは??

    各話が独立した短編のようで実は…という連作短編集ではおなじみの構図ではあるが、各話それぞれが趣を異にするジャンルミックスというのは画期的。
    ミステリ、青春小説、SF、ファンタジー、恋愛小説とジャンルてんこ盛りで、著者のチャレンジ精神と引き出しの多さが窺い知れる。世界観が高低差ありすぎて、耳キーンなるわ!

    青春小説が最も熱い。私もM-1は好きだが、漫才におけるプロとアマの違いを言及したくだり(声と体の向きと距離感)や、つかみのボケは面白かった。

    根底にあるのはミッシングリンク(見えない共通点)系ミステリで、ジャンル設定やキーアイテム及び共通場面を活用したリンク付けによる意外性の演出が上手い。登場人物相関図を描きたくなる一冊。

    松本清張賞受賞(2023年)

  • 第1章 推理小説
    第2章 青春小説
    第3章 科学小説
    第4章 幻想小説
    第5章 恋愛小説
    エピローグ

    5話の連作短編集。なんだけど、5つに分けた長編と捉えたほうが良いのだろうか?帯にある「この小説は、選考委員への「挑戦状」だ。」という惹句が気になり読んでみたのだが、この小説を楽しむのは前情報なしで読むに限る。と思う。5つの物語があることは帯にも書かれているので、これに関しては良しとして、読み終えてみるとそうなっていることに納得する。個人的には読んでいる間ずっと頭の中で実写ではなくアニメとして映像化されていたので、読みやすく追いかけやすい物語だった。人によっては物足りなく消化不良と感じるところもあるかもしれないが、音楽フェスに行ったら普段聞かないジャンルも聞けて音楽三昧サイコー!みたいな楽しみを味わえると思う。大いに楽しめた。

    具体的なことは省いて、フィルターなしで以下にもう少しだけ書き連ねようと思うが、未読の方はこの先は読まないほうが楽しめるのではないかと思います。

    物語の本筋として低通するのは第3章、第4章の内容であり、そのあたりを読み進めると第1章のあるものが思い当たったり、関連することからさらに物語が膨らんでいき、ググッと入り込んでいく。第2章は思いのほか良く(失礼)ちょっとウルっときた。そして、ここもやはり第4章がそのウルッときた気持ちを加速させる。そして、第5章では今までの内容からすると少し弱いかなと思っていたら、中盤から引き込まれていき、まだその先のエピローグが待っていた。最後の一行まで抜かりない。ここでまたさらに今までの物語が色めいて高速再生されるような感覚だった。

    こうやって書いていると、具体的にあれもこれもと書きたくなってしまうので、頭の中だけでもう少し想像しておこう。

  • 松本清張賞を受賞した連作短編集。
    読み始めて、ミステリなのかと思ったら、2作目で青春小説となり、3作目はなんとタイムリープするSFとなる。
    違う世界線を同じ街、同じ時代で紐づけてゆくところがとても新鮮だった。
    エピローグでは、すべての始まりを予感させる内容となり…
    少し読み返してみたら、そこかしこに繋がりを連想させるワードがあって2度おいしかった。
    期待の新人です。

  • 小説のジャンルを変えながら、登場人物たちを交錯させる、面白い趣向の連作短編集。

    個人的には、「イチウケ!」に出て来る、M-1チャンピオンを目指す、高校生コンビ「ニケトロフィー」の話が、すごく良い。
    単に漫才の内容で持っていくのではなく(いや、漫才の呼吸感を文字にするのは、至難の業と思うけれど)、技術として磨いていく二人の姿が、一話のざっくりとした探偵モノとのギャップになって、良かったというか(笑)

    SFやファンタジーの話のインパクトに負けない質量の物語にしようと、試みた結果なのかなと思う。
    いや、勝手にそう思ってるだけですが。

    最後の恋愛小説も、同じ意味でインパクトを施しにくい設定なわけだが、ここでは「それまでの装置(伏線)」が機能しているわけで、回収に向かっていける優位性があるのかなと思って読んでいた。

    とにかくエピローグまで読んで、繋がりを一つ一つ辿っていくのが、面白い。
    よくできた一冊。楽しかった。

  • 推理小説から青春などそれぞれテイストが異なる5つの物語それぞれも面白いですが、登場人物や出来事が重なり合って最後のエピローグへと繋がり感動しました。オススメ。

  • 切縞市という街を舞台に描かれる5つ世界は、少しずつ重なり合い、影響を与え合い、思わぬ結末を引き起こす。すべてを目撃するのは読者であるあなただけ?!

    私はM-1を目指す高校生コンビのお話しがスムーズに読めました。

  • 第30回松本清張賞受賞作だったので、読んでみた。
    伏線がたくさん散りばめてある連作短編集のような長編小説。
    現代の高校生の話がいちばん好き。
    その他に時空を移動してきた未来人の話、魔法使いの話、その他、全部で5つの章になっている。(短編集のようだった)
    よく詰め込んだなぁという感じだけど、うまくまとまっていてすごい。

    力士じゃねぇけど力士より強いぜ。
    浅黄のネタは面白い。M-1で優勝する。
    指輪でできること。
    技術の移管→スキルトランスファー。
    技術や経験や知識の引き継ぎができるデバイス。

    キーワードがたくさん。
    クリスマスイブの花火、
    冬木千秋、
    夏目桜花、など。
    桜花と土橋千尋のお別れのシーンで悲しいはずなのに桜花がサバサバしていたのは、次の章で理由がわかる。
    だってそんな事情なら仕方がない。
    事情が壮大すぎる。
    ラストは、そう繋がるんだなぁと納得。
    楽しかった。

  • 一つ一つのお話の登場人物が少し重なっていて、繋がりを感じる短編集はよく読むけれど
    これは時間も空間も異世界も小説ジャンルも超えて繋がり合って、ビックリでした。

    爽やかな青春モノと普通の恋愛モノの間に
    異世界の話をぶっ込んくるって。
    常人には思いつかないです。

    ノウイットオール、読者は全部知っている
    ってことなのですね。
    楽しく読めました。

  • 面白い!いい意味でバラエティパックみたいな本だな。特にM-1の話が好き。
    文章のリズムや言葉が心地良い。元々は『ノウイットオール』だけだったみたいだけど、なんで副題つけたんだろう、長いなと思ったが、読み終わって副題がじわじわきた。

  • 複雑な構成だけど一読の価値あり。

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