不倫 (文春新書 1160)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611607

感想・レビュー・書評

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  • 豆知識たくさん

  • (こちらが勝手に想像してるのですが)著者のメタメッセージが面白い。

  • 人類は遺伝子的にそもそも乱婚、一夫一婦は社会における最近のしくみにすぎない。生殖コストが高い日本では、不倫は、フリーライダーとして妬みの対象となり、バッシングも続く。

    結婚しない女性に関する本を読んでいると、不倫が出てくることが多いように思います。高すぎる結婚&子育てコストなのですね。

  • もともと一夫一婦制の結婚に向いていないタイプが人口の半数程度いる。遺伝子的に。
    母親との接し方で、安定型、回避型、不安型に分類される。
    後天的に型は変わる可能性もある。
    不倫が社会的制裁を受けるのは、フリーライダーを排除したいため。

  • 話題になった本。発売からしばらくの間平積になっていて、話題になった。不倫について、生物学、心理学、分子生物学など科学的側面からダイジェストで述べられている。詳しい参考文献までは挙げられていないものの、いくつかの論文はオープンアクセスなので、学者名などからあたることができた。入門解説書としては、かなり上出来だと感じた。興味をそそられる平易な内容で、一気に読めた。ただ、一部に著者の考え(その場合は、「~ではないか。」とか、「~と考えることもできる」など婉曲的表現)の部分が、あたかも証明されたかのように、ちょっと混乱しそうになるので、気を付けたい。その部分でマイナス一星。

  • テレビなどで見て、面白い人だなあと思っていた著者。
    脳の構造から、人は何故不倫をするのか、何故不倫はバッシングされるのか、を説明する。
    タイトルが直接的過ぎるところが、かえって目を惹く。

  • 2019 2/9

  • 不倫はなくならないし、不倫に対するバッシングもなくならないことを科学的に説明した本。論理的でわかりやすい。面白く読めた。
    「日本はおそらく世界の中では不倫率が高い部類の国だろうことが予想できます。日本社会はとくに近年、不倫が発覚した著名人に対するバッシングが凄まじいわりには、実際には社会のそこかしこで不倫が行われているという、まことに不思議な状態にあると言えます」p23
    「特定のパートナー以外との性行為をすることは、生物界では普通のことです。むしろ一夫一婦型のほうが珍しい変わり者と言えます」p35
    「富や地位の格差が大きく、それらが子供に受け継がれる社会は女性の貞操に厳しい傾向がある(ステファニー・クーンツ)」p44
    「実は男性にとって、一夫多妻は一夫一婦よりもはるかに面倒でストレスフルな制度なのです。多くの女性を心理的にも肉体的にも満足させ、些細な面倒事にも嫌がらずに対応し、妻たちの信頼を勝ち得なければならない。そもそも多くの妻や子供を養えるだけの経済力がなければ、一夫多妻型の家を維持するのは不可能です」p47
    「不倫は、現代日本人の心情からすると許しがたい逸脱に見えるかもしれません。しかし、人類だけでなくすべての生物の婚姻の形態が「生存・繁殖のために適応的」であるかどうかの1点だけで決まってきたのです」p50
    「「一夫一婦が正しい結婚」「不倫は悪」といった倫理観は、後付で人間社会の中に生じたものであり、もともと人類が持ち合わせていた観念とは言いにくいでしょう」p54
    「(遺伝子解析)不倫型と貞淑型の割合については研究者によって多少のバラつきはありますが、おおむね5:5だろうと推測されています。つまり、あなたの周囲の2人に1人は、本質的には一夫一婦制には向いていないのです」p65
    「恋愛中に上昇したドーパミンと低下したセロトニン濃度は1年から2年ほどで通常レベルに戻り、恋愛特有の高揚感は失われていきます」p120
    「(フリーライダーの検出)私たちは子供の頃から「利己的に振る舞ってはいけない」と教育されます。自分を犠牲とし、コミュニティ全体の利益となる行為が推奨されるのです」p137
    「日本は歴史的に長い間、けっしてリソースの豊かな環境ではありませんでした。台風や地震などの自然災害が多く、四季の変化が大きい風土の中で農耕を続けるのは、相当な困難を伴ったはずです。その結果、日本人はアクティブで冒険好きな遺伝子が淘汰され、共同体内の作業に向いた遺伝子をもつ個体が生き延びてきたのだと推測されます」p141
    「不倫を撲滅するとか、逆に結婚制度をなくすといったことは、非現実的です。人間も生物である以上、こうした矛盾や課題がもたらす苦しみを抱えながら生きる以外ないのです」p183

  • 不倫はワイドショーや雑誌といったメディアの格好の話題だ。
    センセーショナルだし、見ている方はちっとも傷つかない上に「それはいかん」と正義漢ぶれる。
    リスクの高い行為であるが、示されたデータは、結婚相手、または交際相手がいながら、その相手以外にセックスする人がいる割合は、男性26.9%、女性16.3%だそうだ。
    意外と高い。
    これだけ皆さん楽しんでいるのだから、容認したっていいじゃないですか、ねえ?!

    第三章の愛着理論の考察、四章の社会的排除の仕組みは興味深い。
    オキシトシン、俗に幸せホルモンと呼ばれるこの物質がもたらす影響に驚く。
    母と子のスキンシップでオキシトシン量が上昇、愛着形成がなされ、抗ストレス効果もあるという素晴らしい代物だが、その一方で攻撃性も発現させるという。
    ホルモンの影響、遺伝子、環境、たくさんの要素が絡み合って生まれる「不倫」。
    思っていたより単純な話ではなさそうだ。

    さらにこの問題の難しいところは、不倫が「いけない」ことという認識にある。
    フリーライダー論(社会学的考察)は納得できるが、それによる過剰な断罪の危険性におののく。
    著者も「『不倫は悪』と過剰に叩いたり『夫婦はこうあるべきだ』と断定的に決める必要はありません。そうしたところで、幸せをもたらすとは限りません。」(183頁)と述べている。

    不倫に賛成はできない。特にあなたが女性なら。
    はしたないから、ではない。
    失うものが多いし、その人はあなたの美味しいところだけを持っていく。
    といったところで、やめられない人はやめられないだろうな。

  • 脳科学者の中野信子が、文字通り不倫について分析する一冊。

    生物学的にフリーライダーを攻撃するというのは非常に勉強になった。

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著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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