三陸海岸大津波 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167169404

感想・レビュー・書評

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  •  薄い本だが、かなり昔の三陸津波災害の様子を記録した珍しい本。田老地区はこの100年ちょっとの間に4度も大津波にあっているのだと知る。
     小説でも、記録文学でもなく、ノンフィクション?とかジャンルにちょっと迷う。重要データ集と言っていいかもしれない。先の震災前に本書の存在を知っていたならば、恐らく少しでも被害が軽減されることがあったかもしれない。体験記も多く読んだが、その内容は100年前、60年前とほぼ同じであるようにも取れる。

  • 東北地方の太平洋に連なるリアス式海岸と分類される三陸海岸は、何かで(おそらくは自分が小学生の頃、担任の教師が言ったのだと思う)過去に何度も大きな津波が来ているという話は聞いていて、頭の中にはそういった情報もあるつもりでいた。
    本書の存在を知ったのは、3.11以降に書店でこの本が数多く積まれていたのを目撃し、興味を持ったところからだったため、読むのにはかなり時間が経ってしまった。

    本書はルポルタージュや資料としての側面が強いため、ページ数はそれほど無く、小説のように言葉を飾っているわけではないので、作者が聞いた生の言葉がそのままに記されている。鋭い言葉も多く、歴史という認識の重要性を改めて再認識が出来る良い読書だったと思う。
    今日も未だに復興の開発が行われ、放射能を始めとした問題は解消されず、そんな中でも人は生活を取り戻しつつある…しかし果たして、半世紀後に、同じように再び大きな津波が襲うという惨事が仮に起こったとして、そこに住まう全ての人々が一切犠牲にならず済むという状況を、自分は想像できずにいる。

  • 読み易くはないから、結構時間がかかっちゃった。
    やっぱり思い出すのは3.11の震災。
    これだけの情報がある中(あったからこその苦難はあるとは思けど)、あの、想像を絶する災害になったわけで、今の様な重機もないであろう明治や昭和初期だったら、と思うとその大変さを考えると…。

  • 三陸沿岸を歩き明治三陸津波、昭和三陸津波、チリ津波の体験者からの話しを元にした記録文学。

    東日本大震災の後だけに感じるところが多い。豊かな自然と海の幸を有する三陸だが、自然は時に恐ろしい姿を見せる。

    過去の記録のみならず将来の防災教育にも資する一冊。

  •  読むのは今回で3度目になる。しかし震災後のことだ。3.11 以前に読もうと思いながらも読まずにいたら、読まないうちにとうとう東日本大震災を経験してしまった。私の住んでいる八戸は他に比べると被害は少なかったが、それでも震災以前にこれを読んでいたら心構えが全然違ったことだろう。

     著者の吉村昭は特に地震や津波の専門家というわけではない。三陸の風光が好きで巡っているうちに、過去の津波の話を聞き興味を持ったという。それでもあの3.11よりずっと以前にこれだけ情報を集め整理して、津波はまた必ず来ると警鐘を鳴らしていたのだから、もっと耳を傾けるべきであった。

     本書は
    ・明治29年の津波(1896年)
    ・昭和8年の津波(1933年)
    ・チリ地震津波(1960年、昭和35年)
    の三回の大津波について書かれている。そして2011年の東日本大震災が起きた。三陸海岸はおおよそ50年ごとに津波に襲われていることがわかる。当時の記録や証言を発掘したものを読んでみると、同じことを繰り返しているようにみえる。高台移転や避難経路の問題など、当時から指摘されていたことなのだ。そしてそれはまたしても解決されないまま、私たちは3.11 に遭遇した。

     物理的に地震や津波を防ぐことは難しい。だからこそ私たちはその時にどう対応するか、備えておかなければならない。

     

  • ずいぶん長いことかかって読み終わった。東日本大震災で被害を受けた地区の名前がたくさん出てきた。なんども被害をうけてきたところなんだと知った。

  • 三陸海岸の津波の歴史。明治二十九年、昭和八年および三十五年の津波などを体験者の言葉や生き残った子供たちの作文など生の声を多くまとめている。
    東日本大震災が記憶に新しいが次に津波がいつ来るのかは分からない。テレビの方が警鐘としては優れていると思うから30年後の3月11日にもテレビ局がこぞって警鐘を鳴らしてもらいたい。

  • 繰り返す三陸での津波との闘いの歴史。いかに人は無力なのか。

  • 三陸海岸を何度も襲った大津波の記録が描かれているが、東日本大震災で起こったと見聞きしたこと、そのままのように感じた。
    「歴史は繰り返される」そんな言葉が何度も頭の中を巡った。
    この作者は、東日本大震災の後、何を思ったのだろうか?そこにとても興味を引かれる。

    2014.4.16

  • 2014年4月10日

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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