三陸海岸大津波 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167169404

感想・レビュー・書評

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  • 明治から昭和にかけ三陸海岸を襲った三度の大津波の記録小説。
    著者の綿密な取材力が伺え、淡々とした描写が史実の有り様を際立たせているように感じました。
    初版が1970年とのこと。3.11を知る今、「自然は人間の想像をはるかに超える姿をみせる」という一文は痛切でした。

  • 津波は単なる自然現象でそこまでの勢力はないと思い込んでいたが、この本を読み凄まじい津波の恐ろしさは体験をしてない今の若い人々に伝えていかなくつはならないと思った。
    ぜひ、多くの人に読んで自然災害に備えて欲しいと思った。
    本書は、体験者の話も書かれていて戦争時と同じくらいの筆舌に尽くしがたい悲惨な状況が目に浮かんだ。
    リアルに津波の様子を描写していて読んでいるときに身震いをした。地震の後の津波が来る前の怪奇現象は真相を突き詰めていくことにより未来のわたしたちを守ることが出来るのではないか?

  • 昭和45年に、明治以降の、三陸海岸で起きた3回の津波について調査、聞き取りをした記録。
    実際の津波はもっと多く発生しているが、大きかったものが3回らしい。
    犠牲者は明治29年は26360、昭和8年は2995、昭和35年は105名。いろいろ対策をして、犠牲を減らせるようになっている、今後は亡くなる人もいなくなるのではないか、というセリフがある。
    2023年3月に読んでいるので、その予測が裏切られていることがらわかる。
    被害のたびに対策しても、それでも被害があるという事実を忘れずに、自分も準備しようと改めて思った。

  • 元々知っている内容ばかりだったので新たに知ることのできるものはほとんどなかったが、私が既にいろいろな媒体で知ることができたのは、そもそもこのルポルタージュを元にしてできた記事なり映像だったりするのではないだろうかと思った。それほど詳細に調べてあるということだろう。ルポルタージュということで社会情勢や被害数字もかなり分量的に多くて、新聞を読んでいるような感覚だった。

  • 田老地区の話が出てきた。
    結局、東日本では防波堤を超えてきてしまった
    いま、さらに高い防波堤を作ってる
    厳しい自然にどこまで力勝負するのか、、、と思った。いや、でも、実際生活してるひとはそうするしかないのだけど

  • 何が起きたのかがとても端的にまとめられていて、ページボリュームは少ないがとても濃い本。

  • 明治、昭和と三陸海岸には幾度となく津波が襲っている。地震が起こらないケースもあるそうで、津波警報のない昔は、いきなり襲ってきた津波にのまれた被害者が少なくない。
    本自体のボリュームは少ないが、中身は濃かった。

  • 本書で特に私の心を掴んだのは昭和8年の津波で家族の全てを失った牧野アイさん(当時尋常6年)の作文である。
    無駄な表現を取り払い、目の前で起きた現象を淡々と描写するその文章は一見すると子供っぽくて単純にうつるかもしれない。
    だが私はこれこそが本当に美しい文章だと思う。大袈裟なことを言わずとも、牧野さんのような真っ直ぐな言葉で、彼女の悲しさや絶望は十分すぎるほど伝わった。
     私たちは大人になるまでに多くの言葉に触れ、覚え、使う。そしてその過程で何故か必然性のない比喩や誇張をよく用いるようになる。しかし目の前で何が起きているか正確に掴み取り、そのまま表現することも大切だ。

  • ★★
    今月4冊目
    吉村さん独特の小説と思いきや歴史を書いたくらいの本。

  • 明治29年、昭和8年の大津波と、昭和35年チリ地震による津波が三陸沿岸にもたらした被害の記録と体験者の証言。
    特に明治29年は大災害だったんだなあ…と言葉もない。
    東日本大震災まで吉村さんが存命だったら、どんな言葉を残してくれたんだろう、と思わずにはいられなかった。
    津波をあらわす方言の「よだ」の意味に、地域差が出たり時代を経て異なってくるのも興味深い。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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