- Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167218584
作品紹介・あらすじ
名医として町の尊敬を集めるベンだが、今まで暗い記憶を胸に秘めてきた。それは30年前に起こったある痛ましい事件に関することだ。犠牲者となった美しい少女ケリーをもっとも身近に見てきたベンが、ほろ苦い初恋の回想と共にたどりついた事件の真相は、誰もが予想しえないものだった!ミステリの枠を超えて迫る犯罪小説の傑作。
感想・レビュー・書評
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転校生ケリー・トロイを想う主人公ベン・ウェイドが現在から高校時代を振り返る一人称の独白として語られる。切なく、悲しい物語。
吉野仁氏による後書きにある作者の「闇をつかむ男」の一節、「大量死の時代にあっても、ミステリーは不法に奪われた人ひとりの生命がなおも人間の世界で重要な意味を持つと主張する、ロマンティックな個人主義の最後の砦となっている。」という文章。ミステリーが面白いのはまさにその点だと思った。言い換えると、その他大勢の命ではなく、家族や親友の人生を扱うようなものだから面白いということか。
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名医として町の尊敬を集めるベンだが、今まで暗い記憶を胸に秘めてきた。それは30年前に起こったある痛ましい事件に関することだ。犠牲者となった美しい少女ケリーをもっとも身近に見てきたベンが、ほろ苦い初恋の回想と共にたどりついた事件の真相は、誰もが予想しえないものだった!ミステリの枠を超えて迫る犯罪小説の傑作。
原題:Breakheart Hill
(1995年) -
高校生の時、文化祭で演劇を創り上げたことを思い出した。
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内容(「BOOK」データベースより)
名医として町の尊敬を集めるベンだが、今まで暗い記憶を胸に秘めてきた。それは30年前に起こったある痛ましい事件に関することだ。犠牲者となった美しい少女ケリーをもっとも身近に見てきたベンが、ほろ苦い初恋の回想と共にたどりついた事件の真相は、誰もが予想しえないものだった!ミステリの枠を超えて迫る犯罪小説の傑作。 -
ケリー・トロイが町外れのブレイクハート・ヒル(「心臓破りの丘」)で襲われた事件がベンの回想によって語られて行く。
最後の真相にショックを受けた。 -
故郷で医者を勤めるベン。しかし彼は30年前からある事件に関する暗い記憶を抱え続けていた。ベンの回想から徐々に事件の真相が明らかになっていく。
クックの小説を読むのはこれで三作目。はじめて読んだ作品は『緋色の記憶』という作品ですが、その作品も主人公が過去の事件を回想していくという形式でした。
どちらの作品にも共通して言えることは主人公の語りの美しさです。今作の主人公ベンが回想する時代は15、16歳くらいの時代です。
語りの何が美しいかというと、少年時代の主人公の心情を、30年が経ち大人になってしまった現在から語るという点です。その語り口から浮かび上がってくるのはあの頃への郷愁の念と事件に対する遺恨の念、正義心に燃える感情、そしてこの作品で何より自分の心に迫ってきたのはベンの初恋の感情です。
初恋の相手がピンチに陥るのを助ける姿を妄想したり、恋愛感情を意識してからのぎくしゃくした感情、自己否定をしてしまう主人公など、その姿はいつかどこかの自分の姿と重なる人も多いと思います。そうした感情を大人になった主人公に語らせているからこそ、青春小説の青臭さとはまた違った懐かしさと切なさを感じさせられました。
何かしら事件があり、それに主人公が関わっているということは、最初の段階から匂わせているのですが、それを最後まで具体的に語らないのもクックの手法です。回想で描かれるのは日常のシーンが多くまどろっこしく感じる部分もあるかと思います。しかし、最後まで読んだ時なぜ主人公は苦悩し続けなければならなかったのか、その本当の意味が分かります。
痛快さとは無縁の作品ですが、ミステリとしても文学としても非常によくできた作品でした。
2000年版このミステリーがすごい!海外部門3位 -
2013年12月7日(土)、読了。