沈黙の王 (文春文庫 み 19-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259068

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  • 4-16-725906-0 317p 2001・4・5 13刷

  • 5話の短編集。

    表題の『沈黙の王』は、
    言葉が出ない王が中国で初めて、文字を創造した話。

    私は、笑わない美女・褒姒の話『妖異記』が好きです。
    周の幽王の妃。
    なんか、中国には美女に溺れて滅んだ王の話が多いような気がする。
    日本だと、あまり聞かないよね。

  • 言葉を喋れない商の王子(高宗武丁)が苦難の末、文字を創造する過程を描いた「沈黙の王」、夏王朝初期、権謀術数を尽くして天下を取ろうとする男を描いた「地中の火」や周王朝の興亡と悪女と呼ばれる褒姒を描いた「妖異記」、周王朝没落の中生き残りをかける鄭の国の秘策を描く「豊穣の門」、晋王朝の太傅、叔向の婚姻を描く「鳳凰の冠」などの夏王朝や周王朝での短編が収録されている。

    「妖異記」での笑わない王妃褒姒の最後の笑いはなかなか怖かった。
    「鳳凰の冠」での叔向の母、叔姫の気の強さは反面教師としなくては。

  •  一般的な小説として読むと、ちょっと物足りないと感じるが、歴史をフィクションを交えてかみ砕いて話してもらうと考えると、ちょうどよい。表題にもなっている沈黙の王が一番おもしろかった。

  • 中国の歴史小説をあまり読まないのですが、紀元前10世紀を舞台に活き活きと物語を展開する作者の力量に目をみはりました。おそらく、文字(漢字)の起源をテーマとしているので文献なども少なくというよりほぼない状況であるわけで、立派としかいいようがない。

    他の短編も登場人物の個性が光る一品です

  •  象形文字の漢字を創造した古代中国、商の時代の物語が表題作である。象形文字イコール表意文字ではなく、漢字は表語文字と言うらしい。文字自体が形態素の発音を表しているからなのだとか。漢字と仮名文字から成る日本語は表意と表音の組み合わせなので、文字界のコウモリ的存在なのかもしれない。遥か昔のおはなしなのでファンタシジー小説の趣がある。

  •  面白かったけど星三つなのは、この方の文章は疲れている時に読むとどうしても目が字面を滑っていってしまうから……。そんな私的事情はさておき、美姫・妖姫に絡ませつつの短編五本、良作揃いでした。特に好きなのは「豊穣の門」。鄭公の人となりに、こんな人が民の上に立ってくれたらと思わずにはいられませ。

  • 宮城谷昌光作品はやっぱり良いね。短編集ですが読み応えもあり、宮城谷昌光ワールドを十分堪能できます。

  • 相変わらず宮城谷さんの物語は面白い。下手すると司馬遼太郎より好きかも、と最近思い始めた。折に触れ読み直したい短編集だなーとか思った。

  • 収録作品のタイトルと主人公

    沈黙の王:言語障害ゆえに追放された商(殷)王朝の王子・子昭。苦難の旅の中で賢臣を得、帰国して即位、甲骨文字をつくった後の高宗武丁(周王朝22代)
    地中の火:夏王朝初期、中国で最初に弓矢をつくり射撃の名手であった后羿(こうげい)
    妖異記:周王朝・幽王に忠誠を尽くした徳望の人、名君といわれた鄭公・友(ゆう)
    豊饒の門:友の子掘突(くつとつ)。「妖異記」と同じ時代を描く。
    鳳凰の冠:晋の名臣、叔向(しゅくきょう)

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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