ハラスのいた日々 増補版 (文春文庫 な 21-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167523015

作品紹介・あらすじ

一匹の柴犬を“もうひとりの家族”として、惜しみなく愛を注ぐ夫婦がいた。愛することの尊さと生きる歓びを、小さな生きものに教えられる、新田次郎文学賞に輝く感動の愛犬物語。

感想・レビュー・書評

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  • 30年ぶりに再読。自分が作者に近い年齢になったからか、より共感する部分が多く感じる。
    文中、ハラスを探す折り込みチラシに作者の住所や電話番号が書いてあるのは当然だが、それをそのまま出版物に載せてしまうところが時代だなぁと感じる。中野孝次さんが、まだご健在であったならば手紙を送りたかった。

  • また犬を飼いたいと思わせてくれる、犬への静かだけれど愛情深い本。
    文章がキレイで心洗われるよう。
    手もとに置き、また読みたい。
    そして、また犬と一緒に暮らしたい。

  • 我が家に暮らす犬は…

  • 著者の犬への気持ちがよく出ている名著である。

    最初、虐待のシーンがあり、読むのを止めようかとも思ったが、最後まで読んでよかった。本当に同感するところが多い。
    「文春文庫に収めるにあたって、本文に若干の修正を加え」たのなら、あのシーンもそうしてほしかった。

  • 志賀高原でマイナス20度のなか、ハラスが失踪してしまった事件の描写に胸が締めつけられる。
    ハラスが冬山に飛び出して行ってしまった理由を作者が推測して書いているのだが、そこには『ハラスの行動を冷静に分析している、愛情の眼差しをもった飼い主の姿』が浮かび上がってくるからだ。
    言葉は通じないけれど、犬とたしかに気持ちが伝わっているな、と思う瞬間は犬と暮らしている者にとってはとても身近なものだと思う。その、以心伝心の瞬間を楽しく心温まるシーンだけでなく、ハラスが雪原に飛び出していったまま行方がわからなくなってしまったという悔恨と焦りと緊張のシーンでも、我がことのように追体験してしまい、涙が止まらなかった。

    犬と人間の不変の愛とつながりを描く本作は、犬を飼ったことのある人にとっての『(飼い犬)のいた日々』であり、いつの時代でも人の心を動かす作品なのだろうと思う。

  • 自分にも、いつか愛犬との別れがくる事を思い、涙しながら読みました。

  • 子供のいない夫婦の下にやってきた、1匹の柴犬。それがハラス。
    小さな仔犬が成犬になり、やがてその命を終えるまで、家族として過ごした13年間を綴ります。

    近所の老犬との触れ合い、友達のじゃれ合い、失踪事件、じっと帰りを待つ姿、そして…別れの時。ハラスは家族であり、いかに夫婦にとってかけがえのない存在であるかをひしひしと感じます。
    犬を飼ったことがある人なら、その子を思い出す。そして今飼っている人なら、思わずその子の側に行って触れたくなる、温かくも切ない本でした。
    実際に読んだのは単行本ですが、文庫版はその後の話も入っているようです。

  • 姉からもらった本

  • 一月末に愛犬レモン(ミニチュアシュナウザー雌10歳10ヶ月)を亡くし、たまたま新聞の本紹介(犬がテーマ)で目に留まり、早速図書館で借りて読みました。 いやー 泣きましたね。 結構古い本なのに昔な感じがしなくて、愛犬を亡くされた方々は、皆こんな気持ちになってるのかと思いました。 正直こんなに悲しくなるとは自分でも想像できませんでした。 おそらく自分の親が亡くなるより悲しいと思います。 犬って言葉をしゃべらないでしょ。 でも飼い主にはその子がなにを訴えてるかがほぼ理解できるんですね。
    それでいて、留守番させられたりしてもご主人が帰ってくると不満など訴えずに全身で喜びを表現するんですね。 そして最後のそのときまで苦しいはずなのに私達家族の傍にずっと寄り添って亡くなっていくのです。 そんな気持ちがこの本を読み進めていくうちに、みんなこんなふうに感じていたんだなと、心がすーとしました。 私の犬仲間にもおすすめしたい一冊です。

  • よい本でした。
    犬に対する愛情、とってもあたたかいです。
    雪山で迷子になってしまうところ、晩年だんだんと体力が弱まってくところ、最期を看取るところ、もちろん子犬・若犬時代の楽しいエピソードも、どれも良かったです。
    思わず犬好きな人にプレゼントしました。

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著者プロフィール

1925-2004。千葉県生まれ。東京大学文学部卒、國學院大學教授。作家、評論家。『実朝考』『ブリューゲルへの旅』『麦塾るる日に』『ハラスのいた日々』『清貧の思想』『暗殺者』『いまを生きる知恵』など著作多数。


「2020年 『ローマの哲人 セネカの言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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