桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 モーダルな事象 (文春文庫 お 23-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (605ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167580025

感想・レビュー・書評

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  • 若干、人としてどうかと思うところも多い、短大准教授クワコーの知られざる(?)大阪時代。
    近代文学、戦争、謎のコインなどさまざまな要素がちりばめられたミステリー小説です。
    小説の舞台が大阪、東京、香川とあちこち移動し、どうやら時空も超えているようで、かなり読みごたえがありました。
    じっくりと謎解きを楽しみたい人におすすめの1冊です。

  • 世界の謎を追っていくスリルとユーモアがとても面白かったです。現実と虚構が区別なくえがかれているのだけど虚構のほうに真実があるのかなと思いました。

  • 短大で近代文学を教える桑潟幸一助教授(通称クワコー)が、あるマイナー作家について解説を書いたことをきっかけに、その作家の遺稿集を出すことになった。
    意外にも遺稿集はヒットするが、次々と殺人事件が周りで起き、クワコーは複雑怪奇な事件に巻き込まれる…。

    すごく面白かった!
    ミステリや幻想ファンタジー、メタフィクションの要素など、いろんなジャンルのごった煮、といった趣向の小説。
    事実と虚構が絶妙に同居していて、すごく楽しんで読みました。

    くどいのに流れるような描写も痛快で、奥泉節に終始酔わされてしまいます。
    小物すぎるクワコーの卑屈な自虐っぷりには爆笑させられ、北川アキの元夫婦刑事コンビの活躍には伝統的な探偵小説の味わいも楽しめました。

    終盤で何となくオチがつきましたが、ちょっとミステリの味付けが薄いかな?と思いました。
    解かれるミステリというより、人物描写や伝奇ファンタジー要素を楽しむエンタメ小説という感じで、ミステリを解くことを主眼にしないで読んだほうがいいかも。

    結構ボリュームがありますが、つまんない所が無かったです。
    知的だけど猥雑で下品な感じの文章が、単に自分の好みなんだと思います。

  • 「森娘の秘密」でクワコーを知ってその前作ということで読んでみた。二つの視点で語られる話が全く様相を呈していて、読んでるうちに不安定になる。話がどんどん広がっていくところは面白かった。

  • 立て板に水の如くもうだらだら饒舌に紙面を埋め尽くす文章に窒息寸前、詰め込み過ぎの内容物に脳内混沌としながらも気づけばのめり込むほどに面白い。バラバラなセンテンスが読み進むうちに繋がる仕組み、緻密な構成力の成せる技量。これはすごい。桑幸の魅力はそのダメダメっぷりに尽きるのか‥と思ってたら最後にちゃんとやるべきこと成し遂げて、収まるべき姿に収まってよかったよかった。笑える。けど後味は相当不気味な小説。ともあれお腹いっぱい大満足である。高源さんの解説はよく分からんかった。

  • 途中から「SF? ホラー?」と混乱しますが、物理的なものにはきちんとオチがつきます。意外とちゃんとした本格ミステリー。

  • 内容の濃いミステリー。結構苦労したけど、満足度大。

  • 桑潟幸一准教授、通称クワコーの初登場作品。

    第2作に出てくるような滑稽な語り口調は、まだそれほどないものの、
    文字の分量の割には読みやすいし、流れもはっきりしていてわかりやすい。
    ミステリというか、サスペンスとしても十分おもしろい。
    途中に入る、クワコーの妄想?(夢)の部分が少し邪魔だと思うが。

  • 私は、これまで奥泉光のよい読者ではなかったが、今回再読の機会を得て(奥泉光なんて、全然知らんかったけど、たまたま手にとってみたら、の意)感じた第一の感想は、非常に理知的な文章だということです。

  • 濃密な文章で綴られていく重厚なサスペンス。ミステリとしての驚きはないが、ただただ物語に引き込まれていく。事件に巻き込まれていくFラン最底辺女子短大助教授視点のオカルト-ホラーチックな描写と、諸橋倫敦、北川アキの元夫婦探偵視点のトラベルミステリチックな描写のパラレルな進行が面白い。また、俗っぽく最高に小市民な桑潟幸一助教授の心理描写がクセになる。

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著者プロフィール

作家、近畿大学教授

「2011年 『私と世界、世界の私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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