武士道セブンティーン (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167780036

感想・レビュー・書評

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  • 剣道にはさして興味はないのに...何でこんなに面白いんだ??武士道シリーズ第二弾。同じ高校剣道部だった香織と早苗は転校で離れ離れに。前作では荒くれものだった香織は随分まるくなり、ノホホンお気楽だった早苗は何だかお悩みモード。とにかく二人の目線で語られる物語は、各々特徴的な文体で魅力的。前作よりも、香織が素直になったぶん楽しめた。剣道とは、スポーツなだけでない、武道である!!武士道の通った勝負がしたい!!二人の少女の熱い思いが爽やかに、ユニークに、胸を駆け抜ける良作。続編も楽しみ。

  • 武士道シリーズ2作目

    早苗は福岡へ転校
    前巻でインターハイまで描いていたのはなかった事にして新学年になるとこから
    今回も香織視点と早苗視点の交互

    香織が精神的に成長している
    「武者」ではなく「武士」になったんだね
    なので自分の「国」や「藩」とも言える学校のために後輩を育てたり後輩に成長の機会を作ったりとかね

    そして玄明先生はお客さんにはそこまで厳しくはない
    早苗が玄人好みという考えもわかる
    その辺もやはり主人公属性なんだよなぁ


    あと、吉野先生の言ってる「スポーツと武道の違い」の話は長年の疑問に思っていたというか腑に落ちないところが解消した

    剣道の「浅い」とか「ズレている」とか「気迫がない」とかって理由で一本にならないというルール
    浅くてもズレてても真剣だったらむしろ死んでるし、気迫が足りなくても斬れてるしって思ってたんだが、想定している有効打というのが違ったんだね
    相手を殺すための剣ではなく、事態を収拾するための剣が武士道
    なるほど、確かに礼が大事なわけだ

    同じように武道が源流だけど世界的に広まってる柔道
    こっちは完全に競技化の一途で揺り戻しはないようで
    技あり二つで一本はともかく、効果や有効はいくらとっても一本にはならないと思うんだがなぁ
    本来は一本のみが正しい勝利で、ポイントを取るための技なんてないんだけどね
    諸手刈りが蔓延してレスリングっぽくなったから禁止して、立ちでの下半身攻撃禁止の流れはポイント制柔道への牽制かと思いきや、結局は柔道が着衣レスリングというポジションに成り下がったように見える
    国際ルールは講道館柔道とはコンセプトも前より一層かけ離れてきたよな
    武道の競技化とはこういうものであるという前例としては興味深い

    多分、剣道が競技化・グルーバル化したらフェンシングっぽくなっちゃうんだろうなと思う
    とりあえず当たればOKみたいなのとか、そのうちポイント制が導入されたりするんだろうなぁという予測はできる


    玉竜旗とかは実在の大会なので、学校もリアルにそうかと思ってしまう人がいるのかもしれない
    東松のモデルが桐蔭なのは前巻の謝辞でわかってて、福岡南の元ネタは中村学園だろうなぁとは思ってたけどやはりそうだったね
    でも校風はフィクションだと明記されているあたり、何かご意見が届いたのかなぁ~と邪推してしまう
    テレビで取り上げられてたのを見るに、中村学園はちゃんと武道としての剣道をやってると思うよ


    あと、一度は言ってみたい言葉
    「命までは取らない」(笑)

    個人的には「ここは俺に任せて先にいけ!なに、後で追いつくさ」とか「俺、この〇〇が終わったら結婚するんだ」とか
    明らかな死亡フラグは言ってみたい
    それが剣道やってる人だったら、あんなセリフになるんだね(笑)

  • 何度読んでもいいな。
    今回は早苗とレナの決闘後で吉野先生の武士道への想い。武道、武士の仕事は、戦いを収めることばい。スポーツと武道の違いは日本人として心に染みる。
    香織の武士道も男前。安心しろ。命まではとりはしない。かっこいい。
    また数年後読み返すのは決まってる。
    その時にまた新しい面白さに気づくのが今から楽しみ。

  • 磯山と早苗の成長をただただ嬉しく思いながら親のように見守りながら読んでしまった。
    戦いを収めるのが武士道...。ふむふむ爽やかで清々しく魅力的な世界がそこには広がっていた。次作も楽しみ。

  • やっぱり面白い。武士道か…深いね。あと、オリンピック競技として別ものになってしまった柔道を想起しました。スポーツとは違う処にある魅力は残してほしいものですよね

  • 続編も面白い。武士道とはという命題にそれぞれが答えを導き出す。その迷いと決断。ラストのそれぞれの決闘がスリリングで良い

  • THE青春小説。前作を深掘りし、物語に厚み増す。エンディングに感涙。

  • 強さへの問い

    自分の強さ
    相手の強さ

    自身の弱さ
    相手の弱さ

    勝つということ
    負けるということ

    己に勝つということ
    相手に勝つということ

    それらの問いへの一つの答え

    勝負ではない
    決着ではない

    収着ということ
    収めるということ

    勝つということではない
    負けることは恥ではない

    いかに勝つかということではない
    いかに終わらせるかということ

    終わらせるための
    力であるとき
    人にとって一番の敵は己になる
    己の弱さ怖さと、向き合うことになる

    勝つということは
    己になのか
    それとも相手になのか

  • 前作では香織ちゃんが悩んでましたが、今作では早苗ちゃんが悩む番でしたね。相変わらず2人ともとても可愛いです。早苗ちゃんのライバル校に転校して香織ちゃんに絶交されたらどうしよう、なんて、女子高生らしい悩みが本当に可愛くて、ニヤニヤしちゃいます。そして前作の最初では強くなることしか頭になかった香織ちゃんが、思いがけずいい先輩に成長していて、後輩のために頭を下げたところでは感極まって思わず涙が出てしまいました。2人の再会シーンでも涙涙。2人とも一年分、ちゃんと成長しているところが素晴らしい。そして早苗ちゃんが自分の武士道を見つけることができてよかった。次回はいよいよ2人が全国大会で戦うのでしょうか。ますます成長した2人の物語が楽しみです。文句なしの星5。

  • 『武士道シックスティーン』の続編である『武士道セブンティーン』は、早苗と香織の別れのシーンから始まる…。

    今回は、前作以上に対比が素晴らしい。
    “早苗と香織”、“東松と福岡南”、“静と動”、“剛と柔”、“武士道とスポーツ”
    どの対比も一概にはどちらが良いとは言えないものに対するそれぞれの思いや悩みが非常に上手く表現されており共感出来る。

    『武士道エイティーン』も楽しみである。

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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