ハリウッド映画で学べる現代思想 映画の構造分析 (文春文庫 う 19-10)
- 文藝春秋 (2011年4月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167801250
感想・レビュー・書評
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現代思想を映画を通じて学ぶという本。映画にながれる現代思想を分析する手法はよくあり、ヒッチコックなどよく取り上げられるが、ゴーストバスターズまで、でてくるとは思わなかった。よく覚えていない映画もあり、その映画を見てから改めて読み直してみたい。
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『日本辺境論』以来、売れっ子の内田樹さん。文庫で新刊が出ていたので購入。
固いタイトルですが、「現代思想の述語を駆使した映画批評の本」ではなく「みんなが見ている映画を分析することを通じて、難解なる現代思想の述語をわかりやすく説明する本」です。
例えば
エイリアンと「フェミニズム」
ゴーストバスターズと「フロイトの精神分析」など
小津やヒッチコックの映画から、物語の「構造」や「視点」の重要性を読み解くパートは、もしかしたら仕事に活きるかもしれない。
相変わらず内田さんの「たとえ話」がわかりやすい。
ちょっとかしこくなったような気にさせてくれる一冊です。 -
いろいろと聞きかじってはいるものの、一言で言えば!的にまとめることがとても難しいのが現代思想ですが、この本の最初の30ページくらいはそのざっくりまとめがとてもよいです。構造主義の魅力は、言葉にすることができないことを言葉で追い詰めていくスリル。理論的裏付けとか、厳密性の優先度を落として徹底的にスリルを追求するとこのような文章となるのかと。
ヒッチコックの映画を読み解くのは、トリュフォーの「映画術」でいいかなと思いますが、値段が10倍で版型も厚さもぜんぜん違うので用途によって使い分けるのが吉。 -
現代思想による映画分析、ではなくて、映画による現代思想解説。ヒッチコックによるラカン。
私、映画にそれほど興味がないのですが、それでも十分楽しめました。 -
映画の話メインというよりかはタイトルにもある通り映画を通しての現代思想。自分には小難しい部分が多々あり読むのに少々苦労した。ヒッチコック映画の話は興味深かった。映画を見直して再度読み直したい。
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なかなか、楽しんで読めました。ボールには価値はない。次の多様性を引き出すパス(解釈)こそ称賛されるなんて、ホント巧いコト云いますね。
だけど、それじゃいつまでも、ゴールが無いじゃない、というのはウチダ先生に対するというより、構造主義的言説に対する不満。ポストモダンのやり方。作者を否定して、作品をテキストとして扱うというその方法に、限界を感じるというか、いい加減飽きているんですよね。だって、意識してか無意識かは判りませんが、鳥ならざる鳥を不自然に登場させているのは、ヒッチコックその人に間違いないのですから。
それでも、ウチダ先生の映画解釈はなかなか刺激的でした。
しかし、クズ映画という映画まで、よく見てられるんですね。変な処に感心。僕は、この本に取り上げられた中ではエイリアンしか見ていません。海より深く反省。 -
「アメリカは嫌いだ」と、
ぼくはぼく自身がそう思っていると感じている。
しかし無意識は、
「アメリカが好きで好きで仕方が無い」
かもしれない。
けれども、
「アメリカを手に入れられない」
という耐え切れない絶望から逃れるため、
「アメリカは嫌いだ」
という欺瞞で自分自身を守っているような気がした。
ということを考えられる本(どんな本だ)。
前文の「アメリカ」を
「女」に変えると、
この本に書いてある「アメリカのミソロジー(うろ覚え)」と同じである。
他にも、無意識の抑圧やら
代理表象やらを映画を使って説明してくれている。
さすが教師。
わかりやすい。 -
扱っている映画は数えられるくらいで、ガイド的書物を期待して読んだ気持ち的には、やや肩透かし。語り口はいつも通りで、哲学との絡みも興味深いんだけど、いかんせん、映画も哲学も初心者過ぎて、論旨についていけない部分も結構あり。せめて言及作を観て、哲学にももっと触れて、それから読んだら味わい深かったのかな。って、そんなんいつになることやら…。