64(ロクヨン) 下 (文春文庫 よ 18-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902933

感想・レビュー・書評

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  • R1.5.2 読了。

     ロクヨンと誘拐事件の裏にあった秘密、幸田メモ、無言電話などなど。後半に謎が説かれた時にそれまでひとつひとつが点でしかなかった事柄が、線になり思わず鳥肌ものだった。面白かった。
     また、警察組織の警務部広報課という部署についても、勉強できて良かった。

  • 上巻星4つからの加点1つでは足りませんでした。
    事件の発生からは一気に読み進みました。
    最後の三上と二渡のシーンは、発刊時に読みたかったと思わせられました。
    三人の靴の描写など味わい深い作品です。
    暫くしたら読み返したい一冊になりました。

  • 刑事部と警務部の対立、マスコミ対応する広報部の膠着状態、この行き詰りの中、警察庁長官視察前日に64(ロクヨン)誘拐の模倣事件が勃発し一気に動いた。誘拐被害者である目崎が64誘拐事件の犯人であり、模倣事件の真犯人は64事件の被害者の雨宮。14年間、電話帳全員に電話をし、犯人の声を聴き探した雨宮の正義、14年前の失態からどうにか雨宮を助けたいと思う幸田の正義は「不条理」とも言える。この怒涛のストーリーが完成したのは著者が正義を突き詰めたことに起因するだろう。また、部下を育て信頼することの一義を学んだ。

  • 記者クラブとの軋轢、
    ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。

    その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、
    長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。

    そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警を
    さらに揺るがす事件が。

    驚愕、怒濤の展開、感涙の結末。

    **************************************

    こんな展開、想像もできひん。
    最終的に全てが繋がる納得の内容。

    <上>では、何を読まされてるんやろ、って思うところもあったけど、最後まで読んでみて、こんな濃い小説はないなと思った。

    話の流れも素晴らしいねんけど、登場人物もよかった。

    初めて部下ができたと思えた瞬間。
    この人の下でもう一度働きたいと思わせる上司。

    小説だけじゃなくそれを演じてる人を観たいと思った。
    ピエール瀧、観れるやんな。

  • 2018(H30)8.29読了

    重厚。
    横山秀夫は『クライマーズ・ハイ』以来の2作品目。
    ミステリーではあるけれど、それぞれの人物の抱えているものに共感するがゆえに、40過ぎた社会人の心にズシリと響く。
    自分の生き方も考えてしまう。

  • "警察という組織には、私は決してなじまないだろう。この小説のような世界なら。
    この小説は、常に過去に起きた未解決事件を思い続ける刑事の物語だ。
    そして、事件の被害者家族の思いにも寄り添っている。加害者より、被害者となる人たちは永遠に地獄を生き続けることになる。そんな理不尽さも描いている。
    警察組織の論理、民間企業でいえば社風とでも言えばよいのか、警察組織についての物語でもある。
    異業種の世界を観ることのできる小説はおもしろい。ミステリーとしても素晴らしい。文句なく★5."

  • 私が間違っておりました。申し訳ございません。

    上巻を読んで、「男の人が好きそうな小説だよね~」なんて知った風なことを書きましたが、まったくもって浅はかでございました。

    だってさー

    “己の信ずるまま職務を遂行した。明日のためにではなく、今日のために今日を使い切った。”

    とかさー

    “「上は変わるが職務は不変だ。広報のことは広報室で決める。今ここにいる俺たちが決めるんだ」
    「上イコール組織です。組織の意志を無視した広報なんて広報と言えません」
    「個人の集まりが組織だ。個人の意思が組織の意志になることがあっていい」”

    とか、男の人の好きそうなお仕事小説。組織論なんだもの。
    女の私はたいがいこういうのの外にいさせられますから、「け」と思って読んでいた部分があります。

    けど、残り200ページ、第二の誘拐事件が起きたことによって、大きく話が動きます。
    まさに怒涛の展開。
    ページを繰る手が止まりません。

    そして事件の全貌が明らかになったとき、第二の誘拐事件の犯人たちの人生を思うと涙が止まりませんでした。
    ネタバレになってしまいますから詳しくは書けませんが、実行犯の彼の義に殉じた人生と、彼の家族の今後を思うと…。

    上巻を読んで感じた数々の小さな違和が、最後まで読んだときにきちんと決着がついていました。

    そもそもこれは三上目線の語りなわけです。
    彼は刑事という仕事、つまり人間を見きわめることを生業としてきたので、彼の人間観察は多分正しい。
    だけど、彼が揺れると、私も揺らいでしまう。
    誰が本当に信じられる人なのか。
    どれが先入観で、どれが客観的な判断なのかを、常に整理しながら読まないと流されてしまう。

    そう思いながら読んでいたのに、雨宮の「大丈夫か?」には、そんな意味が込められていたとは。

    上巻を読んでいたとき、誘拐がメインじゃないのなら、タイトルに偽りありなんじゃないの?なんて思っていましたが、これはもう、このタイトルでなければなりません。
    全てはそこから始まったのですから。

    ただひとつだけ疑問な点を。
    三上が佐藤浩一ってミスキャストじゃないの?
    彼がお父さんだったら、娘の家出はないんじゃない?

  • 下巻後半の後半にぐっとストーリーが進み出す。上巻から歯軋りするような苦しい人間模様に翻弄されたが、ここにきて全てはやはりここに繋がった気がするのだ、ロクヨン。物語はここまでだが、ロクヨンの捜査は新しい展開を迎えさらに続いていく。そして、それが解決されときには広報課は確実死ぬことになる。しかし今の広報課はそこで終わることはないだろう。三上をはじめ課員たちは必ずや記者や世間に叩きのめされても立ち上がり誇りを持って仕事を全うするはず。
    ロクヨン被害者である雨宮の電話の数字ボタンを押す指先。元刑事、幸田の示す正義。松岡参事官の背中に、権力争いの上層部の怒鳴り声、記者たちの罵声に……いろんな人間の感情が上下巻を読み終わったあと胸の奥を駆け抜けていった。
    「たまたまが一生になることもある」元刑事部長尾坂別の言葉は、わたしの中に重く響いた。

  • 下巻に入る
    ワクワクの筈だったが、相変わらず刑事と警務の間で自分の立ち居地が定まらず、逡巡し疑心にかられ切れたり塞いだりする三上に多少イライラしながら頁を捲る。
    しかし、この鬱屈が後半への伏線。三上が刑事も警務もなく広報官として職務に向き合うと決めた時から物語は一気に動く。
    腹を括って匿名問題にケリを付けたのも束の間、“ロクヨン”を模倣したと思しき誘拐が勃発し、再び、今度は東京も含めたマスコミとの対峙の時が来る。
    身代金を運ぶ親の車を追って物語は緊迫の度を深め、全てが収束する思いもかけぬ真相へと雪崩打つ。最後まで精緻に積み重ねられた物語の紡ぎ方には身震いする程の物凄さ。
    もとより作者が得意とする警察を舞台にしたミステリー仕立ての話にして、仕事にどう向き合うか(これも作者が描いてきた“矜持”)の話であり、更にはその矜持を胸にしながら家族とどう向き合うかの話であった。
    昨日の朝刊の広告に『たちまち重版、累計80万部突破!』の文字が躍ったが、さもありなん。

  • 映像映えするだろうな、というのが読んでいての印象。
    記者会見の場面、目崎さんが車を走らせる場面。
    きっと迫力ある映画だったんだろうな。
    すべての内容にはっきり答えが出きった
    わけではなかったので、これはどうなるんだろう
    (どうだったんだろう)と思える部分は残ったが
    どう決着がつくのか、気になって一気に読めた。
    64の犯人とこんな風につながってたのか、と最後は
    驚きもある展開でした。

著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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