夏の庭―The Friends

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198613594

感想・レビュー・書評

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  • 人は死んだらどうなるのか?

    主人公と同じ小学生の頃は私も考えたような氣がする。答えが出たのかどうかは思い出せない。大人になった今、死は近くなった気もするし、遠くなった気もする。

    おじいちゃんが死んでしまった時、私も同じように もっと一緒にいたかったって思ったけれど、それは私自身の問題だったと本を読んで気づかされた。

    死んでいく人がみな、登場人物のおじいさんのように 満ち足りた気持ちで死んでいくとは限らないけれど、私自身が死を迎える時には おじいさんの様に満足した表情で死にたいと思う。

    今はまだまだ やりたい事だらけで無理だけど。

    図書館の子供向け推薦図書の中から手に取った本だったけれど、大人が読んでも 考えさせられる事が沢山で 満足の一冊

  • 人は死んだらどうなるの?友達がおばあちゃんのお葬式に出たところからお話が始まる。

  • 小学校最後の夏休み。大きく成長したね。「死」を経験することで、生きていることがどれほどすばらしいか、この子たちはきっと感じとったと思う。生きていると困難にもぶち当たるけど、「友情」という、あたたかく、知恵を授け合えるすばらしい関係を手に入れ、相手を思いやる心をはぐくんだこの子たちは、きっと力強く前に進んでいくことだろう。

  • 何度読んでも泣いてしまう

  • 三人の小学生が老人を見張り始めたのは、死に興味を持ち、その老人はもうすぐ死にそうだから。
    でも老人は死ぬどころか、よりアクティブになり、少年たちと仲良くなってしまう。

    老人と交流していくうちに少年たちは多くを学び成長し、人の死を体験して大人になる。少年と老人の夏。

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    人の死や、人間関係、戦争、難しくて哲学的になりそうなテーマを小学生目線で掘り下げて、わかりやすく解説してくれる物語。
    小学校中学校の頃は夏休み明け、大人っぽく変わっている女の子がいたりしてドキドキした。中学校の教科書に少しだけ載っていたこの物語。続きが読みたくて図書館で借りた。読み終わった後、自分も少年たちと同じように夏休み明けの女の子たちのように成長していたのだろうか。もう戻れない遠い日の夏。

  • 死んだ人を見てみたい。そんな思いから近所の老人を見張ることにする6年生の少年3人組。老人が見られていることに気付き、次第に交流が生まれる。
    小6という心身ともに変わっていき変わることに悩む次期が、静かにユーモラスに描かれています。死という未知のものに対する恐怖は好奇心となり少年たちを動かしますが、次第に好奇心だけでない気持ちを抱かせることになる過程が素敵です。おじいさんの庭に溜まっているゴミを捨てにいこうとし、おじいさんに見付かり怒鳴られる。しかしそれを切っ掛けに交流が生まれる。おじいさんも少年たちと付き合うようになり生活に張りが出る。そして生まれる世代を超えた繋がり。これは肉親でないからこそ成し得る関係なのかも。
    あらすじを読んだ時から最後の展開は思い描いていましたが、実際その場面になると涙ボロボロでした。しかしただ単に悲しいというのではないんですね。「だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。」その言葉が心に沁みました。

  • 少年たちよ、忘れずに大きくおなり。

  • 小学6年の夏、ぼくと山下、河辺の3人は“人の死ぬ瞬間”に興味を持ち、町外れにひっそりと一人で暮らすおじいさんを見張ることにする。一方、少年たちの見張りに気付いたおじいさんは煩わしさを感じつつも、やがて少年たちの来訪を楽しみにするようになり、精力的に活動するようになる。様々な岐路に立つ少年たちと孤独であったおじいさんとの、奇妙な交流を描いたひと夏の物語。

    最初は純粋な好奇心から始まった観察が、やがて互いにとって世代を超えたかけがえのない時間へと変化していく。ところが夏の太陽がきらめく時間はそう長くは続かない。覚悟をして読み始めたものの、ラストは涙がこみ上げるものがあった。寂しさは感じるけれど、同時に晴々とした気持ちにもなるのは、少年たちの成長が見て取れるからだ。更におじいさんの最期の表情を綴った描写が、全てを語っている。

    人と人が出会い、互いの時間が重なる時間はそう多くはない。言葉にすると月並みになってしまうが、人との出会いから少しでも多くのことを学ぼうと思う。
    登場人物それぞれの心情に想いを寄せながら、「生」と「死」について向き合える良書です。

  • わからないから、怖い。という「死」の解釈にうんうん、と思いながら読みました。
    ちょうど高学年とか中学生位になると、死ぬってどういうことかなぁって考えることがあった気がするなぁ。多分12歳だったら私はよく理解できなかったと思うけれど。
    生き生きとした3人の男の子の描写が、死をくっきりとさせている感じがしました。

  • 死ぬということがどういうことなのか、その純粋な疑問に応えようとしている児童小説。
    恐らく、筆者自身も『死』がどういうものなのかは分かっていない。
    それでも、恐怖の対象ではなく自然な営みの一部であることを伝えようとしているように感じた。

    現在、化学によって『生』は解明され、その操作も可能になりつつあるが、『死』はきっと永遠に解明されない謎だと思う。
    だからこそ、神秘であり、そこには、無限大の可能性を秘めた死後の世界があるのだろう。

    小学生に読んでもらいたい一冊である。

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著者プロフィール

1959年東京都生まれ。作家。著書に、小説『夏の庭 ――The Friends――』『岸辺の旅』、絵本『くまとやまねこ』(絵:酒井駒子)『あなたがおとなになったとき』(絵:はたこうしろう)など。

「2022年 『橋の上で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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