つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。

著者 :
  • 医学書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260034593

作品紹介・あらすじ

人とを助けるひとは、なぜ自分を助けられないのか。自分の感情をないものとし、感情を出す人を「レベルが低い」と見下す“オレ様”開業医のヨウスケさん。自分の感情より相手の感情を優先して、他人の世話ばかりしてしまう“いい人”心理士のワカバさん。一見対照的なふたりですが、意外なところが似ています。それはどちらも「つらいと言えない」人たちだということ。いえ、これはもしかして、医療や福祉に携わる専門職や、ボランティア活動に勤しむ人たちに共通した特徴なのかもしれません。日々他人のために活動し、自らの感情に目を向けない。そして、そんな自分は強くなくてはならない。とても重要なことですが、ときどき息苦しくなりませんか?というわけで、そんな人たちがマインドフルネスとスキーマ療法をやってみたら……世界が違って見えてきました!…………(「私はなぜこの本を書いたのか」より抜粋)BPD【境界性パーソナリティ障害】を抱える人以上に、はるかにそれができない人たちがいます。すなわち感情を感じられない、特に「つらい」「傷ついた」「怖い」「寂しい」「腹が立つ」といった、いわゆるネガティブな感情を感じたり、表現したりすることが本当に難しい人たち。BPDの人たちはつらい感情を抱えていることを自ら知っているがゆえにそれを出すことを恐れるのですが、これらの人たちは、むしろ自分にそのような感情があること自体を知らない。というか無意識レベルで「知らんぷり」しています。あるいは「感情なんか馬鹿馬鹿しい」「感情なんか必要ない」「感情なんかくだらない」「感情より理性が重要」というように、感情を見下し、感情なんかあたかも「ない」かのように信じて、生きてきた人。そういう人は自分の感情だけでなく、他人の感情も見下します。感情を出す人を「レベルの低い人」として見下すのです。一方で、感情があることは知ってはいるのですが、あるいは感情を感じられないこともないのですが、自分の感情より他人の感情を優先する癖がついてしまっている人も、自らのネガティブな感情を認め、誰かに「つらいから助けて」と言うことができません。こういう人は他人のつらい感情には敏感で、「助けてあげたい」と思うのですが、他人の感情を優先してしまっているがゆえに、自分のつらい感情をつかまえることが非常に苦手なのです。非常に自己犠牲的です。…………

感想・レビュー・書評

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  • これまでちゃんと向き合うことを避けてきた、自分の心と向き合おうという気にさせられました。マインドフルネスとスキーマ療法はそのよい助けになってくれそう。

  • 架空の2事例を通して、認知行動療法、マインドフルネス、スキーマ療法を用いたカウンセリングの流れがつかめる構成になっている。すっきりとしたわかりやすい文体で、著者のカウンセリングもこんな風なのかなと想像させる。

    マインドフルネスがまさかここまで流行するとは思わなかった。本来は仏教の気づきの概念で、そこから宗教色を排してストレス低減法に活用されている。マインドフルネスという英訳自体、数年前には知人の僧侶に聞いても知らなかったが、その後、Googleの書籍が刊行されたことを契機に、医療よりもビジネスサイドから注目され、自己啓発系セミナーが乱立することになった。そのせいか、どこか胡散臭い感じもするが、医療ではエビデンスも出揃ってきて、かなり信頼のおけるセラピーのようだ。とはいえ、独学できるものではなく、本書の伊藤先生のようなメンターの存在が必要な気がする。

    本書はストーリー仕立てなので、より詳細な知識は、しばしば本書で紹介される著者の本を読めということか。まるで専門外だけど、この方の本なら読んでみたいかも。

  • 精神的な病気じゃなくても、人生でつらいことやストレスはあるし、もしかしたら、それで病気になる可能性もある。日頃からストレスに対処できるように自分でトレーニングして、なんとか対処できたらって思うし、みんながその方法を知っていれば、もっと生きやすい社会になるのではないかと思う。この本は、自分で実践できるマインドフルネスとスキーマ療法のことが書かれていて、実際に臨床心理士の方も自ら日々使われている手法で大変参考になった。

  • あんまり帯の言葉「人を助けるひとは、なぜ自分を助けられないのか。」はピンとこなかった。

    タイトルは合っていた。
    だいたいつらいと言えないから、つらいことに気づくことがつらいから、大変なことになっている。
    つらいと言えるようになるまでの2人の物語。
    でも、ヨウスケさんの話で本の8割は意外だった。

    「マインドフルネス&スキーマ療法BOOK1+BOOK2」の方がカラーで心和ますイラストもあるし、スキーマやスキーマモードについても詳しく書いてあるので、自分のことを自分で振り返りたい場合はそちらの方がおすすめかも。

    よくわからないけれど身体の痛みが続いて困っている人、どうにかしたい人。頭痛とか背中の痛みとか。
    いろいろマッサージとか針とか試しているけど、痛みが消えない。
    そういう人にはヨウスケさんの話を読むことで、心因性の身体化でそういう症状が出るんだ。
    心に向き合うことで、身体の症状、痛みが消えることがある。ということを知るにはいいと思う。
    ここまでで全体の8割。

    最後の最後で、自分の感情より相手の感情を優先してしまうワカバさんの話になる。
    この時点で結構息切れしてしまっているかもしれないけれど、「お母さんのことを負担に感じるなんていけないことだ。」という思いをどこかに抱えつつ、苦しんでいる人、「周りに悪いから○○しちゃいけない」と、思いすぎてしまう人には、ワカバさんの話の方が共感できるかもしれない。

    ただ、本書最後の方で書かれているが、心がとても傷ついていて一人でワークをするにはキツイ、しんどい時は信頼できる心理士(師)と一緒に取り組む方が安全。

  • スキーマ療法の日本トップランナーである伊藤絵美先生。担当心理士(以下PS)さんから、えみちゃんワールド、と条件付きで薦められた一冊。
    独特の語り口もさることながら、この本だけではスキーマが何のこっちゃ分かりにくい。そのため実際に受けたスキーマ療法の体験も交えて、少し長くレビューしたい。(そのテキストもえみちゃんワールド)

    他のレビューでスキーマ療法を「自己理解」だと超要約してしまった。そんなに外れでもないと思う。認知の歪みを治すのが認知療法、その歪みの原因を探るのがスキーマ療法。これを氷山に例えると、海面から飛び出たとこが認知、海面下の巨大な塊がスキーマと説明を受けた。なるほど。スキーマは認知に影響を及ぼしているわけね。

    その氷のカタマリを解きほぐす作業、いや「苦行」の深刻なケースが本著で紹介されている例。少しずつでも患者が変わっていく所がドラマチックだ。
    しかし私も含めて一般人のあるあるからは結構遠かったりする。治療も一年、二年三年と長期になることが繰り返し言われるのでげんなりしてしまう。
    私自身の体験を付け加えると、約半年で氷塊の宝箱にたどり着いた。人によってはここまでがしんどい。でもって大腸カメラくらいに恥ずかしい。過去の恥ずかしいことを全部大安売りする感じ。ただ、根があけすけな人間だったのが幸して比較的短期間で済んだのかも。

    本当にアタリの宝箱かは断言できない。ただ少なくとも病気だか生きづらさだかは改善。効果はあったと確信している。感謝している。こうしたスキーマの手応えを知ってから本書を手に取っていれば、もっと共感しながら読めたというのが正直な感想。
    そうはいっても間違いなく他にない良著であることに変わりはないので、トライされる方を応援したい。


    あれ…以下PSさんて、どこにも使ってへんやーん。

    これが私の生きづらさの正体の1つ。(ええかっこしい)

  • いっきに読みました。
    心理士がCBT、スキーマ療法、マインドフルネスを読者に理解してもらえるよう、分かりやすくまとめられています。事例で挙げられている2名のクライアントのそれぞれのストーリーには、時々涙が出ました。
    CBTの大まかな概要、スキーマ療法、マインドフルネスなどが功を奏した際に、どのようにクライアントに変化が起きるのか、事例とは言え結果まできちんと書かれています。
    一人の心理士の物語としても読めますし、専門的な内容を理解しながらも読めます。少なからず人それぞれ考え方の癖が誰しもあると思うので、読んでみて損のない内容だと思います。
    カウンセリングは、担当者によって相性などあるでしょうが、丁寧に真摯に向き合っている姿勢が感じられました。著者の他書も読んでみたくなりました。

  • この本は認知行動療法と言われる治療法の具体的な実践例を通じて、本人がメンタルの問題として捉えてなかった問題をメンタルの問題として自覚し、解決に向かう話だ。
    TBSラジオsession22にて自身もうつ病に罹患した事を公表している荻上チキが「荻上チキが間違って2冊買っちゃったけどイイ本だったので1冊あげちゃうよSP!」にてお勧めしていたので、読んだ。

    マインドフルネスは最近ビジネス書でもよく見かける手法で、スキーマ療法は心の深いレベルでの認知の傷つきを理解し癒す手法だ。

    非常に胸を打つ話だった。自身が心を守るために行ってきた行為、例えば感情を出さないとか、弱味を見せないとか、自分の感じている事を遮断しようとするという事とか、そうした行為を早期に身につけ、身につけたその対処法が不健全な為、今度はその後の人生において生きづらさの原因となる。

    さらにその苦しさの背景が本人にはわからず、苦しさから解放されるために何らかの依存症、苦痛を和らげる薬やお酒にのめり込んでいく場合もある。

    この状況は「反省させると犯罪者になります(新潮新書)」でも似たような事が書かれていた。著者の岡本茂樹は刑務所での累犯受刑者の更生支援にも関わっていた人間だ。
    彼は犯罪者の多くが小さい時に親から受容されなかった経験を持ち、その時身につけた人間関係の対処法、暴言や暴力を伴うような対処法を身につけるようになる。
    だから刑務所によって反省文や反省する姿勢を表面的に行う事は出来るようになっても、もともと身につけている犯罪に繋がるやり方(ある種の苦しみからの解決法)を抱える本人の解決にはならないという事だった。

    自己肯定感や承認欲求とかそういうものにも繋がるわかりやすく良い本だった。

  • 二つのケースをあげて、マインドフルネスやスキーマ療法について分かりやすく解説されており、更に詳しく知りたくなる。難しいクライアントにも根気強く対応する著者の対応に、好感をもった。

  • 「人を助ける人は、なぜ自分を助けられないのか」と衝撃的な副題。対人関係職に就く人には、自分の感情を押し殺していたり、自分の感情より他人の感情を優先する人が多いかもしれない。そうだから、この職業を選ぶのかもしれないが。ただ、初級者の時はいいかもしれないが、複雑なケースを扱ったり、仕事が増えてくると、自分をスポイルしてきたり、疲れ切ってしまう時も出てくる。そうなった時、もしくは、ならないためのセルフヘルプ本でもあり、マインドフルネス、スキーマ療法を学ぶきっかけになる良本である。著者は、分かりやすい事例を提供することで、読む者を引き付ける本を書かれる。一気読みして、さらに勉強を深めたいと思える本である。

  • いっきに読みました。いつも一緒にカウンセリング受けてる気になります。
    伊藤さんの本はほとんど読んで、ほぼ同じ内容なのだけど、わかりやすいのとかカラフルなのとか、違うタイプの人が出てきたりとか、とてもよいです。

  • めちゃくちゃ良い本!烏山図書館。
    スキーマ療法で自己愛性パーソナリティ障害のヨウスケさんとHSP毒親育ちのヨウコさんの生きづらさがなくなっていくという本。
    えー、買おうかな。
    すごくわかりやすい。

    環境(ストレッサー)
    状況
    出来事
    対人関係など

    ↓↑相互作用

    個人(ストレス反応)
    気分・感情
    認知
    身体反応
    行動

    自己愛性パーソナリティや境界性パーソナリティはストレッサーと行動しか認知できない。

  • 「生きづらさ」を感じている人たちの言語化できない部分。それらを、根気強く丁寧に見つけていけるようなスキーマ療法、認知行動療法が、非常にわかりやすく書かれている。これを読めたことで新しい発見がいくつもあった。スキーマ療法、面白い。

    - 浅いレベルの認知:自動思考。より瞬間的な認知
     より深いレベルの認知:スキーマ。より継続的な認知(価値観・信念・自己イメージ)

    - CBT
     - 環境・事象(ストレッサー)、認知・感情・身体反応・行動(個人的ストレス)
     - 関与できるのは感情と行動

    - スキーマ療法で扱う早期不適応的スキーマ;人生の早期に形成され、後にその人を生きづらくさせるスキーマ

    - 育て直し。治療的再養育法。子供時代にいかせてもらえなかった部分を、今満たしてあげれば良いではないか、と言う考え方。自分の中に残っている「傷ついた子供」の部分を、治療の中で、健全な方向に育成していこうと

    - 自分の体験をありのままに気づき受け止めるためには、自分の体験に巻き込まれず、自分の体験を見ることができる「もう1人の自分」が必要です。もう1人の自分、は自分の体験に興味を持って優しい眼差しで観察します。「ふーん、そうなんだ」「へー、それで今こんな感情が湧いているんだなぁ」「ほー、体にこんな反応が出てるんだなあ」。「良い」「悪い」でもなく「好き」「嫌い」でもなく、ただ、ありのままに感情を受け入れ、味わうこと。

  • はるさん推薦
    自分を整えるのによい


    読んでものすごくよかった!
    スキーマ療法とマインドフルネスに興味をもった!

    生きづらさを感じている人は
    ぜひ一読を!
    物語調で読みやすく、
    しかも概念もきちんと節約されているので、
    勉強になる。

    ・マインドフルネス

    マインドフルネスとは、
    自らの体験(自分自身を取り巻く環境や自分自身の反応)に、
    リアルタイムで気づきを向けて評価や判断を加えずにそのまま受け止め、味わい手放すこと。

    体験を評価したり判断したりするのではなく、
    体の反応や感情を
    そうなんだと受け止めること。




    ・レーズンエクササイズ 83

    レーズンをひとつぶ食べるのにあたり、
    手に取り、眺めて、匂いを嗅ぎ、
    手のひらの上で転がして、
    口の中に盛り込んで、
    舌先で触れて口の中で転がして、
    噛み砕き、噛み砕き切ったら飲み込む
    というふうに
    レーズン1粒食べると言うことをスモールステップで少しずつ行う。
    その時の身体感覚を一つ一つ描写し、
    行動を細分化することで、
    自動思考や感情を受け止める。



    ・呼吸のマインドフルネス 113

    生きている限り
    ずっとする呼吸。
    呼吸マインドフルネスでは、
    自動的に呼吸するのではなく自分の呼吸を買ったらそのまま感じる。


    ・歩くマインドフルネス 116
    歩くと言うことを通じて、
    足をはじめとする身体の様々な箇所に注意を向け、様々な感覚に気づき、
    それらの感覚をありのままに受け止め、味わうと言うワーク。

    自宅など人がいないところでやったほうがいい。


    ・ボディースキャン 119
    このワークは、
    頭のてっぺんから足の爪の先まで体を輪切りにするイメージでそれぞれの箇所について、
    身体感覚をモニターしていく。
    横になっても
    座った状態でも立った状態でもオーケー。
    頭から始めてもいいし
    入れても良い。CT scanと言う病院の検査のように
    体動きにして画像を撮るイメージ。


    ・スキーマ療法とは 141

    認知の階層モデル
    浅いレベルの認知を自動思考
    深いレベルの継続的な認知をスキーマと呼ぶ。

    認知行動療法では
    まず自動思考セルフモニタリングし、
    それに伴う気分や感情、身体反応に対してマインドフルネスのワークを行う。
    つまり自動思考に重きを置く。

    クライアントが自動思考に焦点を当て、回復に至った場合は、そこでセラピーは終了。
    しかし、回復に至らない場合がある。

    そういう人は
    心の深いレベルで
    つまりスキーマレベルで大きな傷を負っている。
    その場合、
    自動思考だけではなく、
    隙間にも目を向けて、
    心の深い部分の傷つきにも目を向けて、
    理解して癒していく。
    それがスキーマ療法



    ・早期不適応的スキーマ

    早期不適応的スキーマとは、
    人生の早期に形成され、
    後にその人を生き辛くさせるスキーマのこと。

    幼少期は子ども時代に
    適切に中核的感情欲求が満たされると
    ヘルシーでハッピーが好きな形成される。
    しかし、
    それができずに満たされないと、
    早期不適応的スキーマが形成されてしまう。

    認知行動療法では
    なかなか解消されない
    慢性的で強固な問題の背景には、
    早期不適応的スキーマの存在があると仮定する。

    この人の抱える早期不適応的スキーマが
    何であるかを理解し、
    それらの早期不適応的スキーマを
    乗り越えていくことで、
    慢性的な問題や行きづらさを解消し
    回復を図るというのがスキーマ療法の目的。


    ・愛されたい欲求が満たされるのはどうなるか
    愛されたい
    理解してもらいたい、
    受け入れてもらいたい
    という欲求が幼少期に満たされないことがある。

    それは、
    養育者による十分な愛情が受けられなかったり、
    条件付きの愛情を注がれた場合。
    (いい子であれば受け入れてあげるとか
    成績の良い子ならいるけれども、
    悪い子であれば、いらないなど限定的な愛情)

    欲求がほとんど満たされず、
    かえってその欲求が傷つけられるような体験を
    特に子供ども時代に多く持った時に
    早期不適応的スキーマが形成される。

    この場合は
    愛されない、
    わかってもらえないスキーマということになる。

    このようなスキーマを持った子どもが
    大人になった場合、
    行きづらい原因になる。

    いつまでも
    自分は誰からも愛されない
    自分は誰にもわかってもらえない、
    自分は誰にも受け入れてもらえないと言う思いのまま生きていくことになるから。

    このような早期不適応スキーマに
    焦点を当てて、
    スキーマを理解して、乗り越えようとする。


    ・ヤングの5つの中核的感情欲求

    1愛してもらいたい。
    守ってもらいたい。
    理解してもらいたい。

    2有能な人間になりたい。
    いろんなことがうまくできるようになりたい。

    3自分の感情や思いを自由に表現したい。
    自分の意思を大切にしたい。

    4自由にのびのびと生きて動きたい。
    楽しく遊びたい。
    生き生きと楽しみたい。

    5自律性のある人間になりたい。
    ある程度自分をコントロールできる
    しっかりとした人間になりたい。


    それぞれの中核的感情欲求が
    満たされなかった結果
    次の5つの領域の傷つきが発生すると考えた。


    1人との関わりが断絶されること

    2できない自分にしかならないこと

    3他者を優先して、自分を抑えること

    4物事を悲観し、他人や自分を追い詰めること

    5自分勝手になりすぎること



    ・18の好き不適応的隙間


    第一領域人との関わりが断絶されること

    ①見捨てられスキーマ

    ②不信、虐待スキーマ

    ③愛されない、分かってもらえないスキーマ

    ④欠陥、恥スキーマ

    ⑤子率スキーマ

    第二領域できない自分にしかなれないこと

    ⑥無能、依存スキーマ

    ⑦この世には何があるか分からないし
    自分はそれらにいとも簡単にやられてしまうスキーマ

    ⑧巻き込まれスキーマ

    ⑨失敗スキーマ

    第3領域他者を優先して自分を抑えること

    ⑩服従スキーマ

    ⑪自己犠牲スキーマ

    ⑫褒められたい、評価されたいスキーマ

    第4領域物事を悲観して自分や他人を追い詰めること

    13否定、悲観スキーマ

    14感情抑制スキーマ

    15完璧主義的べきスキーマ

    16できなければ罰されるべき隙間


    第5領域自分勝手になりすぎること

    17俺様、女王様スキーマ

    18自分をコントロールできないスキーマ



    ・早期不適応的スキーマのモデルに基づく
    スキーマ療法の進め方

    1安全なイメージと安全な儀式

    2過去体験のヒアリング

    3早期不適応的スキーマの理解とスキーママップの作成

    4様々な技法を用いてのハッピースキーマの形成

    5治療的再養育法について

    育て直し


    ・スキーマモードと言う新しいモデル

    スキーマモードとは
    今現在、その人はどのような感情状態にあるのかと言うことを表した用語

    ①傷ついた子どもモード

    ②傷つける大人モード

    ③いただけない対処モード

    ④ヘルシーモード(幸せな子どもモード)

    ⑤ヘルシーモード(ヘルシーな大人モード)



    ・モードモデルに基づくスキーマ療法の進め方

    1今、
    自分がどのモードに入っているのか
    気付けるようになる必要がある。

    2イメージの中で
    各モードに対して適切な対応をする。

    具体的には

    ・傷ついた子どもモードに対して
    その子どもの感情を理解し、
    受け止めて適切に癒す。

    ・傷つける大人モードに対して
    この傷つける大人モードの言いなりなると
    ますます傷つく。
    基本的に出て行ってもらう。
    言葉で、
    もうこれ以上聞きたくない!
    出て行って!
    もう言うと来ないで!
    と言う。


    ・いただけない対処モードに対して

    一見自分で好きなように見えながら
    実際には助けになっていないっていうのが
    このモード。

    助けてくれるのはわかるけれども
    結果的に助けになっていないね。
    だからそろそろ引退してくれないかな。
    お疲れ様でしたと言って退いてもらう

    ・幸せな子どもモードに対して

    よかったね、安心しているんだね、楽しんでね見守る

    ・ヘルシーな大人モードに対して

    このモードをはぐくみ、強化していくに限る。





    ○ヨウスケさんの事例

    ・レーズンエクササイズ
    取り組むまでに1年以上かかった。
    初めて取り組んだとき
    3分で終わってしまった。
    レーズンだなと。

    そこで、
    細分化することを提案し、
    エクササイズに取り組むと、
    自らの体験を細分化し、
    それを自発的に報告できるになった。

    →食事も味わってゆっくり食べ、
    味付けに使う調味料の量が減り、
    体重も減った


    ・背中の痛みに対して、
    痛み日記をつける

    ①日々背中の痛みをモニターし、
    痛みの度合いに数字をつける
    ②痛みはただ痛みとして
    マインドフルに受け止めようと努める
    ③痛み日記をつけること
    その際、同時に飲酒と抗不安薬の摂取についても記録を取ること
    ④痛みをモニターする中で気づいたことは
    何でもメモすること


    →対人関係を上下でしか見ることができないと言うことに気がついた。

    両親、祖父母、で 親戚に対しての引け目
    税理士や両親とクリニックの経営について話すとき生じる不安
    妻や子どもに対して見下されているような不安
    同級生に対して
    自分は見えない劣っているのではないか、見下していないかと言う不安
    こうした不安があると、背中がじわりと痛くなってくる。
    もっと不安になったら、もっと痛くなったらどうしようと言う不安→自動思考が生じ実際に不安や痛みが強まる。
    すると耐えられない
    →自動思考が出てきて、
    抗不安薬やアルコール使ってしまう。
    一度薬やお酒を体に入ると、
    もう家で投げやりな気持ちになってしまい、
    薬や酒の効果を持つことができる、
    多くの薬を服用したり、
    酒飲みすぎたりしてしまう。



    ○ワカバさんの事例

    慢性的な行きづらさを持っている。
    真面目で隙がない印象。
    常に疲労感が抜けず、
    何事にも悪いと思っていた。

    悪いと言う思いは
    母親との関係に起因。

    スキーマモニターと行動変容し
    自分のために生きることを決めた。

    スキーマが出てきたときは、
    小さなワカバちゃんを大切にし
    悪いと思っている事も
    少しずつやってみることにした。

    本当は自分はどうしたいのか?を尋ね
    相手のためではなく
    自分のために行動する。

    その結果、
    疲労感も抜けた。


    #心理学 #スキーマ療法 #マインドフルネス
    #読んでよかった本 #伊藤絵美 #心理 #ヤング

  • 荻上チキのsession22で紹介されていたので読んでみた。

    著者は臨床心理士で、認知行動療法(CBT)という心理利用を専門にしている。CBTは、ストレスに対する方法で、大雑把にまとめると、ストレスになるような事柄に触れると、1.気分 2.身体反応 3.認知 4.行動の反応をする。気分と身体反応は変えられないが、認知と行動は自分の努力で変えられる、とのこと。CBTには、別のモデルもあって、それが浅いレベルの認知の自動思考と深いレベルの認知のスキーマに分けられて、みたいな話。

    そして、実際にクライアントの実例を示して、CBTやマインドフルネスを使って治療の実際を教えてくれる。

    方法論も面白いのだけれど、実例がとてつもなく面白い。背中の痛みが精神的なものだと言われてやってきた傲慢な内科医。よーく話を聞いてみると(なかなか話そうともしないのだけれど)、意外な事実が浮かび上がる。この治療の過程でCBTやスキーマやマインドフルネスの具体的なやり方が紹介されていて、それも面白かった。

    自分自身の心のトラブルを何とかしたいと思ってる人がや、人の心に興味のある人にオススメ。マインドフルネスについて書かれている本はたくさんあるけれど、これはかなり良かった。

  • 「私は私のために生きる。」「自分を大切にする。」

    この類の言葉を何度言い聞かせても、どういうことなのか、なかなか咀嚼できずに過ごす毎日。

    一体、自分は何に困っているのか、何を軽減したいと思っているのか。実は深層心理のところで、自分に真向向き合うことには痛みが伴い、難しいため、避けていることが多い。

    この本に出会え、様々な私自身のつらさに関して、溜飲が下がった。救われた。具体的かつ論理的で、わかりやすい表現や例が多用され、何度も読み返したくなる。

    この類の著作は、実は30年以上何冊も読んでいるが、そのなかでも私にとって大切な一冊に加わった。

    自分はどうしたいのか、何を望んでいるのかを
    日々、とことん自分自身に問い、心の声を聴いて、極力それを優先する。

    家族も含め、他者の反応は私の所為ではない。他者の問題を我がことのように、察し、思い悩み、解決するばかりの人生は、私の人生ではないな。

    寂しさ、心細さ、空腹、痛みなど、感情や感覚を表現しても、感じても大丈夫。辛いから助けてほしいと、訴えても大丈夫。

    辛いとき、心細いとき、怒りに震えたときは、この本に手を当てて、子どもたちの幼いころの手の感触や笑顔を蘇らせて安全基地にして、私をまず維持しよう!

  • スキーマ療法というのはあまり聞いたことがなかったのだが認知行動療法の一種とのこと。

    この本では二人のモデルとなる人物を中心にマインドフルネスやスキーマ療法を通じて変化してくようすが書かれています。

    物語風なので読みやすい。

    自分の事は自分が一番知らないのかもしれません。

  • 具体的でわかりやすく、一気に読み終えました。

    CBT、マインドフルネス、スキーマ療法のつながりがわかり、すっきりしました。
    自分でもやってみたくなりました。

  • 第3世代行動療法と言われるスキーマ療法の事例紹介本。「行きづらい」と感じている人に導入として良い本だと思う。

  • [図書館]
    読了:2017/12/28

    2日で読み切ってしまった。
    語り口に温かさがありながらも整然と経過がまとめられていて読みやすかった。
    スキーマ療法に興味を持った。

  • 伊藤絵美先生の本は、本当にわかりやすい。さらさらと読めて、少しずつ私に吸収されていきます。

    この本は専門書ではないかもしれない。
    でも、ワークについてもわかりやすくまとめられていて勉強になりました。

    専門書を読んでいると砂時計の砂のように知識が私自身に流れ、溜まっていきますが、残念ながら凡人の私は底がザルになっているようで、溜まったそばから抜け落ちていきます。
    繰り返し繰り返し読んで自分の中に吸収していきたいです。

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著者プロフィール

公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士。洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。専門は臨床心理学、ストレス心理学、認知行動療法、スキーマ療法。2004年より認知行動療法に基づくカウンセリングを提供する専門機関を開設。

「2023年 『攻略!きみのストレスを発見せよ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊藤絵美の作品

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