そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。 仕事の「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」を終わらせる

制作 : 今井 誠(編著者)  坂井 豊貴(編著者) 
  • 日経BP
2.69
  • (0)
  • (13)
  • (23)
  • (15)
  • (8)
本棚登録 : 380
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296000661

作品紹介・あらすじ

「経済学のビジネス実装」第一人者の経済学者&実務家が贈る
「現場で使える」ビジネス教養

GoogleやAmazonをはじめ、最先端企業で雇用が進む経済学者。
「最新の経済学」は、すでにさまざまなビジネスに根拠を与え、
確実性を高めることが実証されています。

一方、日本に目を向けてみれば、
仕事における「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」は珍しくありません。
知見が積み重ねられている分野でも、
「本当は防げる失敗」が繰り返されている現状があります。

「本当に役立つ経済学」をビジネスに取り入れるためには?
経済学はビジネスに、どんなポジティブな効果をもたらしてくれるのか?

ビジネスと経済学の掛け合わせが、新たなビジネスのチャンスを開きます!

【本書がもたらす「メリット」と解決できる「ビジネス課題」の例】
〇なぜGoogleやAmazonは経済学者を雇っているの?
〇経済学に裏付けられたビジネス戦略とは?
〇なぜ、経済学者がビジネスに新しい価値を付加できるのか?
〇経済学の効用が単なるフレームワークにとどまらない理由
〇お金をかけずにマーケティングする
〇SNSを効果的に活用する
〇経験と勘ではなく、理論とデータで販促・宣伝を行なう
〇利益創出の再現性のある方法を知る
〇ESGで「自分の仕事」はどう変わる?
〇数値では表現しきれない「会社の価値」とは?
〇会議は何人がベストか?
〇会議のムダをなくすには?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 安田洋祐氏や坂井豊貴氏ら経済学者による執筆であり、豪華なメンバーだなと期待して読んだが肩透かし。一編一編が浅くて物足りない。しかし、残念だなと思うと、後半、会計とESGを開設する上野雄史氏あたりから盛り返す。また、坂井豊貴氏の二編目「ダメな会議…」の話も面白い。差し引きで星三つという結論。

    結局、知らない事を知りたくて読書をするので、知っていることが多かったり、内容が薄いとガッカリするという話。その点後半はよく理解できてない内容が多かったから満足感が得られた。

    下記のような内容である。

    上場企業の行動規範を定めたコーポレートガバナンスコード。2021年改訂①取締役会の機能発揮②企業の中核人材における多様性の確保③サスティナビリティをめぐる課題への取り組み。このタイミングで、コーポレートガバナンスコードが企業に対しESGへの取り組みを強化することを義務づけた。こうして有価証券報告書にESGの取り組みを記載する企業が増えた。

    以降、ますます財務情報と非財務情報の2つの評価軸で企業評価が行われる。有価証券報告書ではなく、非財務情報も含んだ統合報告書、サスティナビリティ報告書など、ESGレポートへ。

    更に、国連が推し進める責任投資原則。2006年に当時の国連事務総長コフィーアナン氏が金融業界に向けて提唱した国際イニシアチブ。責任投資原則とは①投資分析と意思決定プロセスにESGの課題を組み込むこと②活動的な株式所有者となり、株式の所有方針・所有慣習にESG問題を組み入れること③投資対象の主体に対してESGの課題について適切な情報開示を求めることなど、ESGへの本気な構えが見える。

    坂井豊貴氏の箇所では、ニコラ・ド・コンドルセの陪審定理について。現代の社会科学は数学を多用するが、そのアプローチを切り開いたのがコンドルセ。フランス革命直前の時代に数学者として頭角を現し、数学による投票制度の分析を推し進め、政治にも関わった人物。彼が示した陪審定理は今も社会科学の金字塔。個人の判断よりも、集合知が優れている論拠を示す。

    株式市場がいかに変わったか、そこに向き合う企業のあり方、社会における人間の意思決定について考えさせられる読書だった。

  • この本は、

    どの層をターゲットにしてるのかね?

    そのビジネス課題って、どのビジネス課題や?

    この本だけ読んで、問題解決したわ
    というビジネスマン0人説を立証したい

  • よくあるビジネス書のスタイルで、章ごとのまとめを最初に確認し、興味のある章だけ斜め読みというのが程よい使い方。
    すでに解決しているだろうね、くらいの内容です。
    YouTubeあたりで1時間弱くらいにまとめてくれたら良いかも。

  • こちら(↓)で書評を書いています。

    https://www.rinen-mg.co.jp/web-rinentokeiei/entry-5298.html

    経済学のさまざまな成果を「ビジネス実装」することの重要性を説く本。
    著者6人中5人は第一線の経済学者で、残る1人は経済学のビジネス実装を業とする会社の経営者だ。

    グーグルやAmazonはすでに大量の経済学者を雇用し、彼らの知見をビジネスに生かしている。そのように、米国ではあたりまえとなっている経済学のビジネス実装が、日本では遅れている。そこにこそ日本経済再生の鍵があると、著者たちは言う。

    単純に読み物としても面白かった。

  • エコノミクスデザインという経済学を活用したコンサル会社?のメンバーによる共同編著。
    行動経済学のような、より実践的な導入から実例につなげていく構成かな?と思いきや各々が各々の書きたいことをまとめて、がっちゃんこした感じで章と章の間に全く繋がりがない。そして章によっては10年以上前から大きく展開されてあるフリーミアムをあたかも最近出てきた新しい手法のように語っていたり、経済学の中では常識かもしれないが一般的には知られていないであろう経済学者を「みなさんご存知の〜」というノリで語っていたり、期待外れだったのが正直な感想。

    メンバーが一人を除いて大学教授だからか、ビジネスパーソンの目線で記事が纏まっていないし全体を通した軸がないので、結局何が言いたかったの?と後半はだいぶ読み飛ばしがちになりました。。
    とても期待して手に取っただけにかなりがっかりでした、、全然オススメしないです。

  • タイトルから「ビジネスで多くの人が直面する課題に対して、経済学的なアプローチを紹介する」本だと思って購入。しかし本書でいわゆる経済学的アプローチが書いてあるのは半分ぐらいで、残りはビジネス書でよくあるようなフレームを提供しているだけだった。

    こちらとしてはよりアカデミックなアプローチを期待してわけで、期待値とずれが大きくあった。タイトルで騙された気がするので、評価はかなり低め。

  • タイトルの通りで、経済学の理論を仕事に使うと言う点で書かれた本
    経済学で学術的には研究されていたり、論文で発表されていても、ビジネスサイトの企業人はそれを存在すら知らなかったりする。
    著者はその橋渡しのようなことをしている。会社であるか、学術的な考え方やフレームの作り方等は、ビジネスの角度を上げる上でも大事なのだっていうのを学んだ。

  • 1章 ビジネスパーソンの「武器」としての経済学
    ■まとめ
    ・経済学は、暮らしの改善やビジネスの利益拡大に役立つ武器である。
    ・「学知というサイエンス」「現場への実装というエンジニアリング」こそ、経済学のビジネス活用の軸。
    ・「経済学にできること」のざっくりとしたイメージをもっておくことで、いざ必要になったときに、スムーズに適切な経済学者と出会える。
    ・「付加価値を上げる?コストを下げる?」などの問いに対して、経済学は第三の選択肢を提案しうる。
    ・これからの経済学にとって、ビジネスでの実用・政策提言・純粋な研究は、すべて大切な存在意義である。
    ・経済理論には、ビジネスの多様な現場に合わせたカスタマイズの可能なものも。「経済学×ビジネス」の素敵なマッチングで、ビジネスの新たな可能性が開ける。

    2章 オンライン上に新しい市場をつくる
    ■まとめ
    ・オンラインの販売サイトには市場設計の知見が有用。
    ・締め切り直前の応札合戦にはいくつか対処の方法があるが、状況に応じて丁寧に選ばねば失敗する。
    ・よいユーザー体験を与えるためには既存研究の精査が不可欠。
    ・「車輪の再発明」は費用と時間のムダ。学問というデータベースをフル活用すべし。
    ・科学と職人感覚は補い合うことが大事。

    3章 利益を最大化するツール「FSP-D」モデルの基礎知識
    ■まとめ
    ・情報化社会、デジタル革命が、既存ビジネスの衰退と新規ビジネスの勃興を引き起こしている。そのなかで「FSP‐D」モデルを用いたビジネス戦略を立てることが、今後の勝負の分かれ目になる。
    ・「F=無料」で提供することで、多くのユーザーを手っ取り早く獲得し、ユーザーが多ければ多いほど顧客満足度が高くなる「S=ソーシャル」の「ネットワーク効果」を活用できる。この戦略により適しているのは、増産コストがかからないデジタル消費財である。
    ・ソーシャルメディアの普及により、人々の消費行動は「口コミ」「シェア」がベースになっている。その効果を活用するのがもう1つの「S=ソーシャル」であるソーシャルメディア・マーケティングである。
    ・「P=価格差別」の中でも利益を最大化する仕組みは、ヘビー~ライトユーザーすべての需要を取り込む「多段階価格差別」である。
    ・「D=データ」の分析が、FSPすべての根本となる。

    4章 世界標準の学知に基づく新しい顧客関係管理
     実務では新規顧客キャンペーンや既存顧客キャンペーンとして別々に掛けるコストを決めて実施することがありますが、CRMの思考法は一気通貫です。つまり、
    ①新規顧客獲得においては、相応の営業や広告、販促コストを掛けてでも「利益をもたらす顧客」なら獲得し、コストに見合う利益をもたらさない顧客ならコストを掛けてまで獲得しないこと。さらに獲得時の営業や広告、販促といった各種手段にどれだけコストを配分するか決めること
    ②既存顧客維持においては、その顧客が他社に乗り換える可能性や自社顧客であり続ける場合の利益額を踏まえて離脱防止のための施策を打つ、あるいは打たないこと
    ③これらを利益の指標である顧客生涯価値(LTV:Life-Time Value) で統 一的に管理する、場合によっては全社の利益最大化の観点から新規顧客獲得と既存顧客維持にどのようにコストを配分するか、さらには営業、広告、販管のコスト(投資)の比率や総額そのものを決めること

     ここではその例の1つとして、4か国の携帯電話会社のデータを用いた有名な研究を取り上げましょう(Minら2016)。
     ここでは4半期ごとの新規加入者数と現在の顧客から離脱率を計算し、また販促費の変動と新規顧客数・維持された既存顧客数の関係から成立する式を導いて、1人の新規顧客獲得のコストと既存顧客維持コストを出しています(図)。
     結果として得られた知見のうちいくつかを紹介します。
    ①原則として既存顧客維持コストは安い(1新規顧客獲得のコストは1既存顧客維持コストの平均2~5倍)
    ②競合が増えると新規顧客獲得コストは増える。一方、競合が増えても顧客維持コストは変わらない
    ③顧客維持はリーダー(トップ企業)とフォロワー(2位以下)で変わらない
    ④リーダー企業の新規顧客コストは、その製品・サービスが普及すると大分下がる。その理由としては、新しい製品やサービスを後から利用するようになった顧客(有名なロジャースの分類でいう後期大衆)はリスク回避的であり、最大手を選ぶためだと思われる
     つまり革新的な製品やサービスは競合が増える前にどれだけ新規顧客を刈り取るかが重要であり、一方、もしあなたがフォロワー企業の立場なら、早期であればまだ新規顧客獲得が重要であるが、成熟期なら既存顧客維持が重要であることを示唆しています。

    ■顧客生涯価値の計算にはどんな情報が必要か?
     顧客あるいは顧客のタイプ(セグメント)ごと、場合によっては契約種別ごとに、
    ①離脱率の予測値を出す(ここが肝)
     顧客のタイプや契約形態、利用形態が同じような人"での過去の離脱率から計算
    ②月間あるいは年間の収益の予測をする
    “同じような人”での過去のデータや経済状況による変化などから計算
    ③コストの計算をする
     獲得コストと獲得確率、および獲得後の維持コストから計算
    が必要となります。
     獲得コストはBtoCであれば広告や新規顧客への値引きなど、BtoBであれば営業活動のコスト、コンペへの対応費用、初年度の契約の優遇による利益減少額などです。

     本来投資すべきは、新たな利益となる新規顧客と、まだまだ自社にもたらしてくれる利益に「伸び代」があるライト~ミドルの顧客です。
     一方、上顧客がロイヤル顧客であって「貴社だけから購入している」とすれば、追加で購入させることが難しいのは当然ですね。すでに伸び代いっぱいまで利益をもたらしてくれている上得意は、追加購買という、投資に対するリターンは低いと見なすべきなのです。
     上得意よりライト・ミドル層の顧客のほうが割引やポイントプログラムの効果が高いという結果は、非常に多くの研究で報告されています。
     例えば小売業のポイントプログラムについての有名な研究(Liu,2007)では、図のように、ポイントプログラム開始時点でヘビー・ミドル・ライトの3群に顧客を分けると、開始後の顧客の購買頻度や購入量はヘビーではほとんど増えず、一方ミドル・ライトで上昇していることが分かります。

    ■まとめ
    ・顧客は「自社に利益をもたらす存在」であり、「中長期的にどれくらいの利益をもたらしてくれるのか」(顧客生涯価値)で、その顧客に対する投資額(金銭的・時間的・人的)を決めるべきである。
    ・顧客生涯価値の計算に基づかないCRMシステムは何の役にも立たない。
    ・BBにおいても営業すべき先の選定などで顧客生涯価値の計算は重要。
    ・顧客生涯価値に基づく施策決定にあたっては顧客データがなくてもシミュレーションはできるが、精度を上げるにはデータ分析が必要。
    ・一律投資よりも、「高いリターンが見込める顧客に集中投資」のほうが、効率がいい。
    ・獲得したい新規顧客が、中長期的に投資額を上回るリターンをもたらしてくれるのなら、多額の初期投資をしてでも獲得すべき。
    ・原則として上得意の既存顧客に値引きなどの「金銭的なベネフィット」は愚であり、「特別扱い」を感じさせる「非金銭的なベネフィット」が効く。

    5章 会計とESG 価値観とルールの大きな変化をざっくりつかむ
    ■まとめ
    ・会計は企業の一つの全体像を写す 「カメラ」。
    ・会計への理解を深めることが、世の中や経済そのものの理解につながる。
    ・近年、金銭で価値を測りにくい要素で企業価値を測る動きが盛ん。 ESGはその代表例。
    ・ESG投資の流れが盛ん。企業はESG投資を受けられるように動く。
    ・ESGによって、企業に求められる価値、ビジネスで生み出すべき価値が大きく変化していくことは確実である。

    6章 ダメな会議はなぜダメで、どうすれば改善できるか
     結論をまとめると、独立した人々による目的の共有が、集団がうまく機能するための条件です。陪審定理以外の集団の意思決定に関する定理でも、大抵これと同様の結論になります。
     一例を挙げましょう。コンドルセは社会科学に数学を持ち込んだ開祖のような人です。彼が蒔いた種は20世紀になってから、まず経済学、続いて政治学や社会学で実りました。そこで近年得られた重要成果のひとつに、多様性定理があります。本当の名前はもう少し長くて「Diversity Trumps Ability Theorem」、直訳すると「多様性は能力に打ち勝つ定理」です。
     この定理は「さまざまな認知能力を使って解決する必要がある問題を解く際には、多様な人々の集団のほうが一人の高能力者よりも早く問題を解く」ことを示しています。
     人間の認知能力には広いバラエティがあります。私たち一人ひとりは、それぞれ得意なことが異なっている。「さまざまなメンバーが自分の能力を会議に持ち寄るとよい」というのが、多様性定理が会議の研究に教えることです。そして、この多様性定理においても、目的の共有と独立性は必要です。
     より砕いていうと、集団での意思決定においては、人々は同じ方向を向かねばならない。そのためには組織のミッションやビジョンを共有し、かつ利害も共有する必要があるでしょう。

     私なりの答えを申し上げます。1人と複数人のパフォーマンス比較では、ほぼすべての実験で、複数人のほうに軍配が上がります。そして、4人や5人から人数を増やしても、パフォーマンスはとくに上がるわけではなく、全体としては下がる傾向が強いです。
     では4人と5人とでは、どちらがよいのか。私は5人を推します。メンバーの間で意見が割れたとき、奇数なら賛否同数にならず、多数決で決定を下せるからです。5人だと各人の発言時間も確保できますし、各人が自分の存在感を感じられます。
     では3人と5人ではどちらがよいのか?はっきりした答えはありません。実験によっては、3人から人数を増やしても、集団のパフォーマンスは上がらなかったと結論付けるものもあります。
     あとは現場で判断ということになるのだと思います。それでも適切な参加者数は3人から5人程度と、範囲を絞れました。この知見は非常に便利です。

    ■まとめ
    ・会議では、みなで目的を共有することと、他の参加者に忖度しないことが決定的に大事。
    ・参加者が自由に発言しにくい空気をつくる者は、会議に入れないほうがよい。
    ・人数が増えるにつれ、多数のメリットが増えていくにせよ、増え方は減っていく。一方、人件費は人数と同じペースで増え続ける。
    ・「何となく」や「念のため」で会議の参加者を増やすのはダメ。
    ・集団は個人の総和ではない。人数を増やしたせいで、人々のやる気の総和は減りうる。

  • むずかしいというか…
    よく分からなかった。正直。
    自分の問題なのか、相性の問題なのか。
    でも、何個かはメモとりましたけど。

  • 331||Im

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

静岡県立大学経営情報学部教授、株式会社エコノミクスデザイン・シニアエコノミスト2000年に関西学院大学商学部卒業。同大学で2002年に修士号、2007年に博士号を取得。2005年より静岡県立大学経営情報学部助手を経て、2021年より現職。財務会計、経営分析。年金、保険、リスクのトライアングル関係を、会計学の視点で研究を進める。2011年日本年金学会創立30周年記念賞佳作、2012年生命保険文化センター優秀論文賞、2017年日本リスク学会大会優秀発表賞を受賞。

「2022年 『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上野雄史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×