猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 617
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299005304

感想・レビュー・書評

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  • 青山美智子さん、大好きなのにこの作品は図書館になく購入して手元にあったので読むのが遅くなりました(^^;)図書館が休館の今週…積んである未読作品を読みまくろうと思い手にしました。

    とある神社で、お尻に星のマークのある黒と白のハチワレ猫「ミクジ」から、タラヨウの葉に書かれたお告げを受け取った7人、失恋した美容師、娘との接し方に悩む父親、就活がうまくいかない大学生、プラモデル好きな老人、苔が好きでクラスメイトとうまくいかない小学生、漫画家の夢を諦めきれない主婦、今置かれている状況に不満を持つ占い師…など、様々な人々が登場します。どのストーリーも、読後ほっこりしよかったなぁ~と思えるものになっています。

    心に残った作中のフレーズ
    ・まだダメと、もうダメとは全然違うんだ。まだってことは、これからがあるんだろ。
    ・くやし涙が出るときって、でっかくなっている最中なんだからな。
    ・『こうに決まっている』っていうのを外すんです。決まっていると思ってしまった時には上書きしてみてください。『何も決まっていない』と。

    「ミクジ」のいる神社に行ってみたいなぁ…会えるかな、会えたらどんなお告げしてくれるんだろう??なんて想像してしまいます。

  • 読書備忘録783号。
    ★★★★★。

    青山さん!青山さん!凄すぎる。大満足!

    アンモナイトと双子ジジイだったり、図書館の司書さんだったり、やっかいな神様だったり、まだ読めてないけど公園のカバだったり。
    誰もが抱えているちょっとした悩み。悩みのない人間なんていない。だけど、悩みは自分で解決するしかない!だけど、お悩み解決の為にちょっとだけヒントをあげよう。
    姿を変え、ヒントの与え方を変えてもそこは同じ。テッパンの青山さん。ホントに凄い。

    で、今回は神社に住まうお神の?猫さん。ミクジ。
    葉に傷をつけるとその跡が残ることから昔から手紙などにも使われてきたタラヨウの葉っぱ。
    ミクジは悩める子羊たちに、タラヨウの葉を使ってお悩み解決のヒントを授ける・・・。

    悩める子羊は7人。

    「一枚目のお告げ。ニシムキ」
    みはる21歳。
    勤めているサロンの5歳年上の先輩に恋をして失恋した。この世が終わった。
    失意の中、神社で「失恋の痛みを忘れたい」と。
    猫が現れ、タラヨウの木の周りを高速に回り、最後に幹を左前脚でトンと叩く。ひらひらひらと落ちてきた一枚の葉には「ニシムキ」と書かれている。???
    神社の宮司が通りかかり「おや?ミクジが現れましたか。あなたは運が良い。」と。???
    西に行けば良いの?そして散々な目に合う。
    そりの合わなかった叔母さんの時子さんから近くに引っ越して来ましたというハガキをもらう。
    まあ、無視するのもなんだし行ってみるか。
    そして、訪れた中古マンションは西向き。
    午後の日差しでクソ熱い!地獄のような部屋。
    でもね。西向きの部屋にはとんでもない奇跡があるのよ。それはね・・・。地獄の後に訪れる奇跡・・・。

    「二枚目のお告げ。チケット」
    耕介。小さな硝子メーカーの営業マン。
    難しい年頃の中2娘さつきと上手く関われない。
    神社に。「さつきとうまくやれますように」
    ミクジから授かったお告げはチケット。
    さつきがハマっているアイドルグループのコンサートチケット。スマホでしか申し込めない。さつきはスマホを与えられていない。お父さんのスマホで申し込んで!
    そして当選!2枚!さあ、どうする耕介。

    「三枚目のお告げ。ポイント」
    田島慎。就活中。CDショップでバイト中。
    とにかく安定した職につきたい。内定が欲しい。就職というゴールに着きたい。でも面談はことごとくNG。
    神社に。「早く就職が決まりますように」
    ミクジから「ポイント」。
    同じCDショップのバイトの竜三さん。バンドをやっている。ひょんなことから竜三さんの家でギターを触らせてもらった。
    ギターの弾き方を教わり、本を買ってちょっと弾いてみた。面白い。竜三さんメジャーデビューのお祝いとして初心者曲をマスターして演奏しようしたけど、間違えてばかりだった。でも竜三さんは感動してくれた。
    「ギターは慎にあげる。練習すれば指が固くなり、そこからどんどん上手くなる。」
    そうかゴールを見るのではなく、自分の今いる場所(ポイント)を理解するということか・・・。
    そして、楽器メーカーの就活面談に臨む・・・。

    「四枚目のお告げ。タネマキ」
    木下哲。ジジイ。ジジイに愛想をつかした奥さんとは離婚。息子の弘人と嫁の君枝と一緒に住むことに。しかし弘人は転勤で単身赴任。嫁の君枝と孫の未央と住むことに。君枝とはうまくやれているが、自分のやってきたことを振り返ると「何事もなく人生を終わりにしたい」。
    神社でミクジから貰ったお告げは「タネマキ」。
    自分のやってきたこと。君枝の過去。弘人の思い。種まきとは・・・。涙

    「五枚目のお告げ。マンナカ」
    小学校4年生の深見和也。転校生。
    クラスのボス的存在岡崎。いじめられているわけではないがイジメだ。牧村由紀先生。ピント外れな先生。
    だんだん学校がしんどくなってきた。
    神社に。「学校行くのが辛くなくなりますように」
    ミクジから「マンナカ」。
    クラスの真ん中。岡崎の真ん中。病んでしまった先生の真ん中。合唱コンクールで伴奏は出来ないけどピアノは大好きな遠藤さんの真ん中。そして自分の真ん中。

    「六枚目のお告げ。スペース」
    芝浦千咲35歳。主婦。なんら不自由なく、他人から見れば幸せそのもの。でも漫画家になりたかった。じゃない。今でもなりたい。
    幼稚園のママ友、パパ友。みんなキラキラしている。
    彼らとの会話の一言一言が悪意に感じてしまう・・・。
    神社に。「ちゃんと夢を諦められますように」
    ミクジから「スペース」。
    思い込みで雁字搦めとなっていた自分のこころ。前向きな気持ちになれる余地が全然ない。
    空っぽが重要?もう一度チャレンジしてみよう!
    なんか、この作品をモチーフにしてる?笑

    「七枚目のお告げ。タマタマ」
    占い師の彗星ジュリア。あだ名はニコ。
    高校時代の同級生ともやんとばったり。お互いバツイチ。自分の人生を振り返る。結婚、離婚、スナックの片隅で個人相手の占い師。評判が呼んでタレント的占い師に。ネットの誹謗中傷。
    自分の人生は正しかったのだろうか?「寂しくなかった?選択はあってた?」
    ミクジから「タマタマ」。
    人にはそれぞれ荒魂和魂がある。この世で生きていくための大切なボール。
    トークイベント会場で偶々あった高齢女性、玉木たまき。鍵を探して欲しいと。個人向けの占いはやめた。でも・・・。ああ、やっぱり自分は人に大切な言葉を届けけていきたい。

    そして、神社の宮司ヨシ坊。ミクジから「☆」。フフフ。

    • shintak5555さん
      ringさん。
      嬉しいコメントありがとうございます!
      ぜひお読みになって感想をアップ下さい。
      鎌倉、図書館、神様当番、リカバリー。同じような...
      ringさん。
      嬉しいコメントありがとうございます!
      ぜひお読みになって感想をアップ下さい。
      鎌倉、図書館、神様当番、リカバリー。同じような構成ですが大満足すること請け負います。笑笑
      2023/12/03
    • ゆーき本さん
      わー!大絶賛だ✧ \(°∀°)// ✧
      じつは青山さんの本 未読です。
      癒され効果があるのかな?
      気にはなってるんですよねー。カバヒコとか。...
      わー!大絶賛だ✧ \(°∀°)// ✧
      じつは青山さんの本 未読です。
      癒され効果があるのかな?
      気にはなってるんですよねー。カバヒコとか。
      (´˘`๑)フフフ
      2023/12/03
    • shintak5555さん
      ゆーき本さん
      青山さん未読ですか。なるほど。
      ヒトそれぞれ好みがあるのでなんとも言えませんが、一つだけ言えるのは、読みやすいのであっという間...
      ゆーき本さん
      青山さん未読ですか。なるほど。
      ヒトそれぞれ好みがあるのでなんとも言えませんが、一つだけ言えるのは、読みやすいのであっという間に読めます!ということでしょうか。
      読みたい本のスキマに入れとくのも手ですね。
      2023/12/03
  • ・ミクジのお告げには本当に深い意味が込められていて、言葉の持つ力って大切。
    ・ひとつの神社で起こるいい話を集めてひとつの小説が描かれている。短編集とは少し違うなんとも言えない心地良さが、余韻が残るところがよかった。
    ・いろいろ思い通りに行かない事があるけれど、実は周りの人の温かな心に支えられる。
    安心感は大切

  • 小さな神社に現れる、お尻に星マークのついた猫。
    この猫に出会えた人は幸運だ。そしてタラヨウの葉っぱを受けとることができれば。
    受け取った人だけに見える、その人を導いてくれる"お告げ"の書かれた葉っぱを。

    失恋した女の子、娘とのつきあい方に悩むお父さん、就職の決まらない大学生…
    悩める人たちを導いてくれる不思議な猫とお告げの物語。

    どの話も優しくて、悩んでいる登場人物に感情移入しやすくて、読んでいて泣きたくなる事も多々あり。
    神社へ行ったら猫を探したくなること間違いなし!

  • やっぱり青山美智子さんの作品は、読んで心がほっとあったかくなる。

    幸せは手に入れるかどうかじゃなくて、気付けるかどうかなんだろうなと改めて再確認。

    1番心に残ったフレーズは、3枚目ポイントの

    僕はずっとどこへ行けばいいのかわからないと思っていた。何を選べばいいのか、何を決めればいいのか。先にある終着点を探していた。でも、それよりも前に、もっとわかっていないことがあった。
    まず知るべきは、目的地じゃない。
    現在地だったんだ。

    現在地を知ること。ついつい疎かにしがちだけど、現在地がわかっていないと、地図も読めないし描けない。
    大切だなあ。

  • 心がほかほかする短編連作。陰陽を上手く描き分け、前作読了者へのギフトもあり、大満足! 強いて言うなら「タマタマ」が好みかな。リミッターを外すことの怖さ、喜び、可能性...。明日への一歩を踏み出す力を与えてくれる一冊。猫好きは必読!

  •  心からの優しい言葉をたくさんかけてもらったような読後感の7つ+1の短編。人が人を思う気持ち(猫のクロベエのことも)に泣けてきた。コンサート帰りの電車のなかでのお父さん、ギターを教えてくれた竜三さん、学校をやめた先生の言葉。宮司さん。「何も決まっていない。」「すべてはこれから。」「自分のいるところが真ん中。自分が本当に思うことが真ん中。自分の中の真ん中。それがこの世界の、真ん中だ。」
     占い師になったニコさんの「伝えたいたったひとつのこと」は、弱気になったり迷ったりしている人へ、作者が最も伝えたいことなのだろうと思った。

  • 相変わらず、すらすら気軽に読める青山美智子作品。猫のお告げがそれぞれの主人公に幸福をもたらしますが、全て気持ちの持ちようから生まれるもの。ポジティブな気持ちになる作品でした。


  • 人生に悩んだ7人が出会った、神社に現れる不思議な猫「ミクジ」。
    そんなミクジのお告げのお陰で、人生が好転するちょっぴり変わった心温まる物語。

    お告げを頂く事で、これまで気に留めてもいなかった自分の行動や言動に対し、目を向けてみる、考え方を変えて自ら幸運へと導き出している所が良かった。

    どうしても良くない事が起きるとマイナス思考になりがち。自分自身を内観し、プラス思考に考えていければもっと楽に生きれるのかも。


    2つ目の物語で印象に残ったフレーズがあった。

    “家族って、電車に乗り合わせたようなもんだ。
    最初は一緒に乗っていたって、いつか乗り継ぎ駅がきて、子どもは違う場所へと行ってしまう。

    それまで隣に座っていたのに。

    同じ景色を見ていたのに。

    揺られながらいろんな話をしたのに。”


  • 不思議なお告げをする猫のミクジと、神社の宮司さんが魅力的で、悩みを持ち神社を訪れる人々が、ミクジのお告げから自分で前向きな未来を見つけていける温かい話でした。ミクジに出会ってタラヨウのお告げを貰いたい!

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

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