猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299005304

感想・レビュー・書評

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  •  町の小さな神社で悩める人に神の(?)お告げを伝える猫を描いた連作短編集。7話とエピローグからなる。

         * * * * *

     何ともほのぼのしたファンタジーでした。なのに決して子どもじみてはいず、つい読まされる出来栄えだったと思います。

     まず設定がいい。

     運気順調なときは見逃しがちな小さな神社。親しみやすく包容力のある宮司。そして神託を告げる役割を担うのが猫。

     この猫がまた、なかなか貫禄のあるいいキャラで素敵でした。
     どこからともなく現れ、お告げとなるキーワードが書かれた木の葉を1枚、参拝者の前に落とす。参拝者もつい手に取り見てしまう。きっと猫の持つ何かがそうさせるのでしょう。

     さらにその木の葉が文の樹と呼ばれるタラヨウの葉であることや、お告げの言葉が授かった本人にしか見えないなど、こだわりの設定が好もしい。

     7つのエピソードもよく考えられています。特に4話目の「タネマキ」。最後の最後まで読ませます。見事と言うしかありません。

     ところで、悩みの最中にある参拝者。当人たちは途方に暮れ、どうしていいかわからない。
     でも猫から見れば、彼らには進むべき方向が実は朧気ながら見えていることがわかるのでしょう。だから猫にもたらすお告げは、そんな悩める者の背中をそっと押すだけ。

     例え行き詰まっても、よりよい方向に向かおうとする努力を忘れない。そんな人にこそ、神(猫?)は救いの手を差し伸べてくれるのだと思いました。

  • 4話 タネマキに出てくるお嫁さんのように青山さんの本には明るく元気なキャラが登場してきます。
    そこがまた良い。
    ミクジのお告げの言葉に私自身色々考えながら読み進めることができ 答えがあるようで無いような
    悩んだり迷ったり考えたり クヨクヨするも良し。少しのきっかけで楽しい時間を作ることも有り。
    短編なので読みやすく癒しの読書時間を与えてくれた本です。

  • 大好きな青山美智子さんの本。何冊目だろう…。
    今回も、読後ほっこり優しい気持ちに包まれます。
    猫のミクジに、会おうと思って会えるわけではない。お告げをもらおうと思ってもらえるわけではない。
    そんなミクジからもらったお告げから、自分で前向きな未来を見つけていく話。
    神社の宮司さんの「あなたは、運がいい」という言葉に、本当にそんな気になって前向きになれる。
    自分で「運がいい!」と思うことも大事かもしれないけれど、人に言ってもらえることで、より一層そう思える気持ちになる魔法の言葉だなぁ、と思った。

  • 神が降りてくる、そう思ったことがある。
    気のせいかと思ったけど、私、変じゃないかも。
    神様の降りてくるスペースをつくることが大切。
    なんかよくわからんけど。そうかと納得。
    タラヨウの樹に会いたい、見てみたい。
    調べてみた、やはり神社にあることが多い。
    4月の終わりに、見てみたい。もしかしたら私もミクジにあえるかも。

  • 7つの優しい話。

    今ほんのちょっと心が疲れています。
    読書で癒されたい週間真っ只中(°▽°)

    とてもとても優しい気持ちになりました。

  • 今回は前回の著書「木曜日にはココアを」を読み返したくなった
    輝也パパが登場したから!
    前回の著書の登場人物が続編でもないのに登場するなんて青山ファンからしたらたまらない
    後に出版された別の本には今回登場した姫野先生がまたもや登場してるらしい
    なんとも全て繋がってる世界が嬉しい

  • 猫がくれる「オミクジ」。本人しか見えない一言。徐々にその言葉の意味がわかって来ます。7つの短編は、それぞれ結論までは至らないけど、希望につながっていきます。ほっとする読後感です。

  • 様々な登場人物たちが、ミクジにお告げをもらい、そのお告げの意味を自分なりに解釈しストーリーが展開していく。
    とても心温まるお話。

  • 青山さん作品は初めて手に取った短編集だったけど、
    単純に一話完結じゃないので、
    全部読んで満足な読み応え!
    一冊の作り方がお見事で、青山さんってすごーいと思いながら思わず微笑んでしまう世界

    そうつまり、各話がつながっているー!
    ページを戻ったり、次の主人公は誰かを想像して読むのが楽しかった!
    自分以外の他の人はうまくいっているように見えるけれど
    あなたは素晴らしいんだよ
    そしてこの世界ではあちこちで誰かが誰かを支えてる
    ってテーマ?をより盛り上げてる気がした

    愛知県在住には嬉しいスガキヤネタ
    そうそう!と思いながら読んだ。
    クリぜん食べたくなった

    すきなフレーズ
    ●家族は電車みたいなもの
    ●雨が降っている事実をどう受け止めるかは自分次第←このシーン好き!
    ●最初は魅力的に思えて手に取ったものも
    出番がないのにしつこく持っているとそれは美しくはなくなる
    ●人間は生きてる限りゴミが出る 不要な感情を持ってしまったら祓えばいい

  • オムニバスだけど、必ず同じ猫のお告げをきっかけにして物語が進んでゆく。全てハッピーエンドなので癒される。少しだけ違う話で被っている場面が出たりしているのもいい感じです。「木曜日にはココアを」も良かったけど、こちらも良いです♪

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

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