俺たちのBL論

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 283
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024417

感想・レビュー・書評

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  • 「どうせ流行の男評論家先生のあっさいBL論だろ?腐女子は女性性を拒否している可哀想な存在とかそんなんだろ?」と軽く舐めた気持ちで読み始めたがディープだった。サンキュータツオさんはヤリ目自称腐男子ではなかったのだ。タツオさんが春日太一氏にBL講義をして洗脳してゆく(違)という内容。しかし、NL(男女カップリング)好き、黒髪ロング女性とNTR(寝取られ)シチュ好きな私からするとクリエイティブジェンダーの喪失感(勝手に命名)に襲われてしまう。時代劇ベストBLカプの発表がマニアックです。

  • 項目ごとにポイントが設けられ、何について論じているかチェックしながら読み進めることが出来るライト学術書。テクストや現実世界の余白・関係性に、新たな考え方を想像し当てはめる妄想の楽しさを説いている内容。それが"BL"や"やおい"についてであることに男性的な障壁が立ちはだかるのだが、非常に丁寧に論考重ねて「読む楽しみ・考える愉しみ」を提示してくれる。考え方の提示がなされた後、男性読者がいかにその先の愉しみへ進んでいくかにこの本の行く末がある(何を言っているのか……ってこれも妄想か)。

  • サンキュータツオさんの感性で要約され噛み砕かれたBL論。『俺たち』の示す範囲に留意しながら自己責任で適切に用いれば伝道書になり得ます。

  • BLや801について非常に真面目に考えて書かれた本
    今まで自分の中で感覚でやってたことを言語化してもらえてすっきりした。
    もちろん読者の中に「自分は違う!」という部分もあるかも知れないが、それでもこの本は腐女子よ頭の中やBL、801の解釈として非常に興味深いものでした!
    巻末に載ってる参考文献も読んでみたいです

  • シンプルなのに過不足ないタイトル。
    サンキュータツオさんは以前読んで
    (『東京ポッド許可局~文系芸人が行間を、裏を、未来を読む~』)
    面白かったので覚えてる。
    BL初心者の春日さんに面白さをレクチャーしていくのだけど、
    終盤の「男はBLの絡みをどう楽しめばいい?」までいくと
    女性では書けない男性ならではの視点が出てきて唸りまくり。
    草食男子の内実ってこういうことなのか?と。
    萌えは個人的に細分化された世界で、
    BLややおいを語っていくと最終的には自分のセクシュアリティにも触れざるをえず、
    「これは精神的なもの!」というイイワケを越えて
    さらに踏み込んだ先の実感や言葉に圧倒される。
    女性の世界を、男性がちゃんと興味を持って好意的にとらえ、
    男性の視点で客観的に言葉に置き換えていく文章って本当に面白い。(子育てとか)
    BLは知的遊戯。
    余白、ちょっとした違い、行間から、
    あらゆる可能性を脳内で生み出すクリエイティブな作業。
    その視点を導入することで
    面白さが倍増する未開の地がまだ山とある。時代劇とか。
    「男は丈夫だから安心」というのはけっこう大きなポイント。
    この言葉で傷つく人もいるんじゃ、と思いつつ
    この前提あればこそ、無茶な状況に放り込んでもエンタメとして楽しめる。
    以前三浦しをんの『シュミじゃないんだ』を読んだ時にも
    BLの世界の面白さや広さを感じたし、
    今回の本でも、BLやおいを読み解き、
    偏見や誤解をとっぱらって見えてくる、他ジャンルとの共通性や共感や可能性を知った。
    じゃあBL読みますかと言われると、
    恋バナを面白がれない、恋愛小説読まない人間なので、たぶん読まない。
    絵柄が好みかどうかというのも、漫画である以上、大きな要素だし。
    私はこういう評論で十分だったりする。

著者プロフィール

1976年東京生まれ。漫才師「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学・早稲田大学・成城大学で非常勤講師もつとめる。早稲田大学第一文学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。文学修士。日本初の学者芸人。ラジオのレギュラー出演のほか、雑誌連載も多数。主な著書に『これやこの サンキュータツオ随筆集』『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』『ヘンな論文』『もっとヘンな論文』(以上、KADOKAWA)など。

「2021年 『まちカドかがく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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