- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309029351
感想・レビュー・書評
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自転車にまつわるエッセイ集。
誰だって自転車には乗ろうとする、乗ってみようとする、でいろいろ思うわけである。
1.はじめる
2.ふりかえる
3.考える
4.旅する
5.いつでも、どこまでも
その時々で感じたことをエッセイにしている。
はじめる。では夏目漱石や萩原朔太郎も自転車に挑戦するのである。
文体に時代を感じる、、だが頑張ってる様子は伝わってくる。
この中では、小川未明の「父親と自転車」がよかった。買ってほしいと頼む吉坊に父親は、「そんなものに、乗らなくたって、いくらでも遊べるではないか、ほかの子供をけがさしてみい、たいへんだぞ。もうすこし大きくなってから、買ってやる。」というが、自転車に乗ってる友だち2人の後ろを真っ赤な顔をして追っかけてる吉坊を見て、いじらしく思い「ああ、おれが悪かった。」と心のなかで泣く。
なんとも言えない…親心に沁みる。
ふりかえる。でも織田作之助や北杜夫、江戸川乱歩など珍しい面々が登場。
金子みすゞの電報くばりの詩も味わいがある。
考える。では映画のなかの自転車というと、「E.T.」がやはりポピュラーだろう。
「自転車泥棒」も失業者のあふれる、終戦直後のローマの少し暗い話。
旅する。では「まくりのアサちゃん」の漫画が楽しめた。絵にも味わいがあるが、昭和24年9月大宮競輪後節でデビューした西村朝子物語。
いつでも、どこまでも。では益田ミリさんの「優しい言葉」自転車で転んだであろう男の子が虫カゴからこぼれた砂を一生懸命にかき集めている姿に声をかけながら涙が出そうになったこと。
自転車…最初にこまを外して乗れたときは、やった〜と思った。風が気持ちいいと感じた。
どこまでも行けるって、少しお姉さんになった気がした。
そんな遠い昔のことを思い出した。
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戦後から平成まで、幅広い作家による自転車にまつわるエッセイ集。
こういったエッセイ集は今まで触れたことのない作家さんにも巡り会えたりして面白い。
夏目漱石、江戸川乱歩、宮沢賢治といった昭和の文豪から、三浦しをん、羽田圭介、SEKAI NO OWARIの藤崎彩織といった現役バリバリの方たちまで総勢27名に渡る自転車話。
意外と面白かったのが夏目漱石。
当時の自転車にはブレーキが付いていなかったという前知識は必要だけれども、日本が誇る文豪も結構ドン臭かったのね、というのが自虐的に書かれていて思わず笑ってしまった。
今回の収穫はなんと言っても藤崎彩織さん。
彼女の作品はまだ読んだことがなかったが、軽快でウィットに富んだ文章で、彼女の小説も読んでみようという気にさせられた。
中には内容がよく理解できない作品はあったけれど、全体的に満足のいく一冊。
自転車好きでも、そうでなくてもおすすめ。 -
漱石の『自転車日記』を読みたくて
全集以外にないかと探したら(重いから)
こんな素敵なアンソロジーがあった!
河出書房さん、ありがとう。
お目当ての漱石先生「自転車修業」は
期待通りの和み度高い随筆。
いや…さんざん苦労してるから
先生的には決して和んでないけど
その頑張り具合に読むこちらは頬が緩む。
同病相憐むってやつですよ(自転車乗れない)
萩原朔太郎は乗れるようになって
角田光代は乗れたけどやめて
羽田圭介はサイクリングの実情を知り。
総勢27名の書いた自転車にまつわる話。
小川未明の『父親と自転車』は童話。
自転車を走って追いかけた子どもの気持ちに
おもわず涙しそうになる一編でした。 -
自転車に関する文筆家のアンソロジー。
専門家じゃないだけに、基本的には乗れた乗れない懐かしい足腰弱ったの気楽なエッセイが並んでいる。
愛好家ばかりじゃないので割とマイナスなイメージの文章もあり、自転車好きにはちょいと注意。 -
つまらなかった。買わなければ良かった。
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自転車ネタでバラエティに富んだ作家が大集結。時代も背景もそれぞれ、自転車に乗って楽しかったで終わらないのが文筆家だ。
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