- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309409719
作品紹介・あらすじ
七つめの感覚である第七官-人間の五官と第六感を超えた感覚に響くような詩を書きたいと願う、赤いちぢれ毛の少女・町子。分裂心理や蘚の恋愛を研究する一風変わった兄弟と従兄、そして町子が陥る恋の行方は?読む者にいまだ新鮮な感覚を呼び起こさせる、忘れられた作家・尾崎翠再発見の契機となった傑作。
感想・レビュー・書評
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読みたかった本。90年前に書かれた作品とは思えない軽やかさ。東京に出て兄二人と従兄と共に四人で暮らす私こと小野町子。コミックオペラが歌われたり変な学術論文が出てきたり恋にまつわる論争など個性豊かな登場人物たちが愛おしい。
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しずくさん、111108さん、こんにちは。
予告編見てみました。この映画は、尾崎翠ご本人にもスポットが当たっていてより理解が深まりそうです...しずくさん、111108さん、こんにちは。
予告編見てみました。この映画は、尾崎翠ご本人にもスポットが当たっていてより理解が深まりそうですね。私はもしかしたら漫画より映画の方が入りやすいかも、と思いました。
教えてくださってありがとうございます!
2024/04/08 -
予告編を観て下さったのね。確かに、映画には当時の時代背景も伺われ想像がさらに膨らみますもの。私も新たに見直してまた観たい気持ちが再燃していま...予告編を観て下さったのね。確かに、映画には当時の時代背景も伺われ想像がさらに膨らみますもの。私も新たに見直してまた観たい気持ちが再燃しています。
実は『第七官界彷徨』と尾崎翠さんを知ったのは、三上幸四郎さんの『蒼天の鳥』https://booklog.jp/users/lemontea393/archives/1/B0CJM5ZW69を読んだのがきっかけでした。『蒼天の鳥』の小説に実在の 鳥取市気高町出身の女流作家・田中古代子(たなか・こよこ)さんと、娘の千鳥(7歳で夭折)が登場。尾崎翠さんは田中さんと同郷で友人の女流作家として出ていたの。彼女らは新しい女性の生き方を目指す先駆者として描かれ、私は小説その物より実在した3人の女たちに心奪われてしまいました。実際の田中古代子さんと娘の千鳥さんがその後どうなったのかを追いかけている内に、尾崎翠さんの『第七官界彷徨』に行き着いたというわけです。
何度もしつこくて申し訳ありません・・・
2024/04/08 -
予告編、私も観てきました!翠の生涯と『第七官界彷徨』の作中作との構成が面白そうですね。
『蒼天の鳥』は読んだことなく田中古代子さん、千鳥さ...予告編、私も観てきました!翠の生涯と『第七官界彷徨』の作中作との構成が面白そうですね。
『蒼天の鳥』は読んだことなく田中古代子さん、千鳥さんも知りませんでしたが、「新しい女性の生き方を目指す先駆者」というのに惹かれます。
この河出文庫の解説で尾崎翠の生涯が紹介されてますが、そこでは上京後に松下文子や林芙美子といった同時代のシスターフッドの絆が翠の執筆活動にとってかなり重要であったと書いてあります。私も翠達の姿を追いたくなりました♪2024/04/08
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大学の授業で扱い、読んだ。初めて読んだ尾崎翠の作品がこれで本当によかったなと思う。表紙がとってもきれいだから、まずはそれだけでお気に入りになった。本棚をさわやかに彩ってくれる。もちろん、小説の中身もおもしろい。私は主人公の町子が従兄の三五郎に赤い髪を切られ、切られたあとに散ったその短い髪が粉のように細かく細かく散らばっている…というところがとても印象に残ったけれど、大学の友人は町子の兄の二助が研究している、蘚の恋愛のことを話していて、同じ小説を同じ時期に読んでも、覚えているところは全然違うなあ、と面白かった。
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表紙と題名が気に入って買って、そのまま本棚に入れっぱなしだった本。
ふと気になって引っ張り出して読んでみたら、ジャケ買いした自分グッジョブ!と思うくらいよかった。神秘的な表紙と題名からイメージする儚い内容ではないけど、でも苔の恋愛を表現しようとしたらこうなるのかもしれない。ブックデザインは難しい。面白い、かわいい、いじらしい話。 -
人間の五感を超え、第六官を超えた先の「第七官」に響くような詩を書きたいという少女の話。では第七官とはいかにぞや?
精神病院の医師の一助、苔の恋愛を研究するニ助、音楽学校の入学を目指して勉強中の三五郎。そして主人公の少女。
ガーリーで恋愛小説のようでもありSF小説のようでもある。難しい文体ではないのでサクサク読み進められるけれど、解釈にひと工夫必要な小説。
結局、「第七官」とは何だったのか。「仰向けで『空』を眺めていたのに『井戸』の底を覗き込んでしまうような」感覚。それが第七官。わかりました?
これはつまり「読者それぞれの第七官を見つけてね」ということなのか。第七官界を彷徨う小説。とてもアヴァンギャルドである。 -
おちゃめで独創的!!個性的な身内と住む独特な世界観が不思議と引き寄せられる物語だった。
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わたしの読書はこの小説から始まった
愛してやまない永遠の作家 -
読まなければならないと感じつつ、なかなか手にすることができなかった本。遂に読むことができた。少女漫画、私としては70年代のロマンチック漫画を読んでいるような気分になり、心地良かった。もっともっと若い時に読んで理解できたら、相当素敵だと思うが、残念ながら私には今読むのがちょうど良かった。若い時には、良さが分からなかったように思う。かわいらしい世界を堪能できた。
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会話がとにかく面白かったです。
「説明でなく場面の描写」を意図したという著者の構想ノートのとおり、ワンシーンが映画の長回しのようにじっくり描かれています。印象的なアイテムを登場させるところも、映像的に感じました。
とても現代的な感覚だと思ったのが、兄二人に従兄弟と妹、故郷の祖母という家庭や、隣家は女二人暮らしの家庭を描いていたこと。
どこかおままごとみたいな生活と青春と失恋の憂い。
印象的なバランスで編まれた小説でした。 -
文章が優しくてかわいらしくてするする読めました。第七感、というものについて考えを廻らせるなか、匂いなどの五感の描写がわりと出てくるのもよかったです。恋というものをはっきりと言葉やわかりやすい描写でなく描かれていて、でも恋なんだとわかるのが個人的に好きでした。その後にやってくるうっすらとした失恋もなんとなくもの淋しさがあったりしてよかったです。